見出し画像

マーケティング グロースハック入門 Part3

グロースハック入門、第3回目です。デジタルマーケティングにおける、グロースハックのメソッドについて解説します。今回お話する原則は「貢献アイテムを見つける」です。メソッド全体の「肝」の部分にあたります。


はじめに

デジタルマーケティング・グロースハック「10原則」のうち、今回は4番目と5番目の「貢献アイテムを見つける」をテーマにお話します。なお、10原則を以下にまとめておきます。Part1、Part2でお話した部分はリンクを貼っておきますので、できるだけ、1、2、を読んだ上で、お読みいただけると助かります。(次回から毎回貼っておきますね)

0: 事前準備(Part1)
1: まずはバケツの穴を塞ぐ(Part1)
2: バケツの穴は後ろから塞ぐ
(Part1)
3: 改善対象は二兎を追わず一度に1つずつ(Part2)
4: CV貢献アイテムを見つける
5: リテンション貢献アイテムを見つける
6: アイテムへの誘導方法を工夫する
7: ABテストは顧客の理解の為に使う
8: とにかくテストの数を重ねる
9: シナリオ全体の整合性を整える
10:シナリオの命名法則を整え整理整頓する

4: CV貢献アイテムを見つける

グロースハック10原則の「肝」の部分となるのが、この「CV貢献アイテムを見つける」という原則になります。

どのような原則かと言うと、「CVに間接的に強く寄与するアイテム(商品やコンテンツ)を見つけましょう」という事です。そして見つけたアイテムを、意図的にユーザーに接触させる事で、CVRを向上させていくという方法になります。

画像1

ユーザーがWebサイトやアプリに訪れる理由は様々ですが、集約すればその目的は「何かの課題を解決する為のソリューション(商品やサービス)を探しており、もしニーズと合えば雇用(購入または利用)したい」という、事になります。(メディアサイトは違うかも)

重要な事は、ユーザーの最終目的は「商品やサービスを買う事」では無く、「何かの課題を解決したい」という点です。検索行動や比較検討、そして購買自体は、あくまでもその「手段」にすぎません。

そしてその課題解決において「失敗したく無い」という、強いニーズを持っています。つまり、「この商品を買って良かった」または「ここで買って良かった」という、納得を欲しています。

よって、「ユーザーの課題をその商品やサービスがどう解決するのか」、また、「なぜその商品でなければならないのか」、そして「自社で購入すべきなのか」を、ユーザーが如何に納得できる状態を作れるかが、CVRに大きな影響を与えます。

この、ユーザーが納得できる状態を作るアイテムが「CV貢献アイテム」です

もちろん、この「CV貢献アイテム」には、クーポンやポイント、キャンペーン等も含みます。しかし、それ以外にも様々存在するはずであり、それらを見つける事が出来れば、コストのかかる販促策に頼らずに、CVRの向上をはかっていける可能性が広がります。

5: リテンション貢献アイテムを見つける

CV貢献アイテム同様に重要になるのが、「リテンション貢献アイテム」です。CV貢献アイテムと考え方は一緒になりますが、ユーザーのリテンションに繋がる施策やコンテンツを指します。

CV貢献アイテムとの違いとしては、やはりリテンション施策となるため、購入や利用後のアクションが中心になります。よって主役はメールやLINE、コンテンツマーケとなってきますが、「初回利用時の体験」がかなりリテンションに影響を与える点に注意が必要です。

画像2

認知的不協和の解消を行う

では「CV貢献アイテム」にはどのようなモノがあるのでしょうか?

様々ありますが、CVにもリテンションにも影響を与える、重要なアイテムが「認知的不協和解消系アイテム」です。

認知的不況はとは人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。です。と言ってもわけわかんないですよね。

具体的に言うと、「自分の判断は間違っているのでは無いか?と不安になっている状態」といった感じです。そして人は、この不安を解消したいという強い欲求を持ちます。

これが買い物等にどう関係してくるのでしょうか?

① 購入前

関係してくる場面は2箇所あり、その一つが「購入前」です。自分の判断の正当性を高める為に、人は買い物行動時にできるだけ、「判断の納得度」を上げる為の行動を行います。具体的には、「口コミを読む」や、「比較サイトで検討する」といった行為です。

そして「果たしてこのECサイトで購入すべきなのか?」といった事も、購買いおいて非常に重要な判断となります。ここで自信が持てない場合、購入直前に断念する、バスケットに入れたけど放棄する、といった行動を取る可能性が高まります。

よって、これらの不安を解消するアイテム(コンテンツやサービス)を、ECサイトに用意する必要があり、なおかつ、しっかりとユーザーに接触させる必要があります。

② 購入後

もう一つの関係してくる場面が「購入後」です。多くのECサイト等では、この部分を重要視しない傾向がありますが、これが意外なほど、大きな影響を与えます。

具体的には、CVRにはもちろん関係しない(買ってますからね)のですが、その後のリピート率に大きく影響を与えるのです。

ユーザーは何かの商品やサービスを購入した後に、「果たしてこの商品で本当に良かったのだろうか?もっと他に良いのがあったのではないか?」といった不安を抱きます。(認知的不協和が発生している状態)

そして多くのユーザーが、実は購入後に、再び自分が購入した商品の口コミを見たり、カタログを読み返したりします。それにより、自分の判断の正当性を高めようとします。これは認知的不協和を解消しようとする行動です。

そしてここで認知的不協和が解消されない場合、「失敗したのでは?」という感情が大きくなり、結果的に「購入における満足度」は下がります。そしてとばっちりとも言えますが、その商品を勧めたお店に対しての満足度も下がるのです。

また、ユーザーは商品そのものだけでなく、「そもそも、このお店で買って本当に正解だったのか?」といった事に対しても不安を持ちます。「購入店舗の選択」も判断の一部の為、この判断に自信が持てなかった場合、やはり満足度は下がります。

よって、結果的に「リピート率」に大きな影響が発生します。

よって、購入したユーザーの認知的不協和の解消を、積極的に行う事が重要となるのですが、その為の手法をいくつか上げておきますね。

【認知的不協和解消アイテム】

・購入者に対し、他に同じ商品を購入したユーザーの好意的なレビューをメールで送る
・購入商品のメーカー作成のカッコいいカタログを同封する
・購入した商品のブランドヒストリーコンテンツを送る
・購入した商品の性能を最大限引き出す方法をコンテンツで送る
・自社の利用者の喜びの声、自社顧客に対する手厚いサービスをアピールする資料を送る。

貢献アイテム発見の、データ分析アプローチ

貢献アイテムの発見を、より科学的に行いたい場合には、データ分析によるアプローチも可能です。

最も簡単な方法は、Webサイトであれば、Googleアナリティクスの「アトリビューション(Attribution)」分析を用いて見つける方法です。これについては、専門的に解説しているブログが沢山あるので、そちらを参照して頂ければと思います。

アプリの場合はやや大変です。Reproを用いている場合には、予め、関係してそうなコンテンツ等に「イベント設定」をしておく必要があります。そして「ファネル分析」を用いて、「CVポイント」と「対象イベント」の二点間計測を行います(予め仕掛けておく必要があります)

これらによって、ある程度は発見する事が可能となります。

しかし、CV貢献アイテムは、実は、それぞれが相互に干渉(影響)しあっており、最終的なCVへの貢献度も、その影響を勘案した上での数値となるため、より正しい結果を得る為には、それに特化したツールを用いる必要があります。

また、GoogleアナリティクスもReproも、「全数総当たり(コンテンツ総当たり)」の分析や、「解釈のしやすさ」には向いておらず、最大の欠点として、「行動ログで取得できるモノ」しか、その対象とできません。

ややお値段は張りますが、このCV貢献アイテムを総当たりで、なおかつ解釈しやすい状態にしてくれるツールとして、「amplitude(アンプリチュード)」があります。(使った事はありません)

また、行動ログ以外の情報も取り込んだ上で、分析に詳しく無い人でも、かなりわかりやすく結果が得られるツールとして、「(株)キーエンスのデータアナリティクスツール」があります。

特にキーエンスのデータアナリティクスツールは、データマイニング等に携わってきた自分から見ても、相当に優れたツールで、データサイエンティストのいない企業であっても、かなり近いレベルの分析を、マーケター自身で行えます。(こちらも使った事はありません)

どちらも、結構、高額なので、ご予算に余裕のある会社であれば、上司におねだりしてみるのも、ありかもしれません。

ただ、忘れないで頂きたいのが、「データ分析」はあくまでも補完的な措置です。大事なのは、マーケター自身がユーザー行動の背景にある、「課題」や、「その課題が発生しているシチュエーション」を、いかに想像できるかであり、何をすればそれを解消できるのか、という、発想力です。

最後に

今回は、グロースハック10原則の中でも、もっとも「肝」の部分となる、貢献アイテムの発見についてお話させていただきました。

役にたったよ! という方は、ぜひ「シェア」や「スキ」をお願いします。


また、全6回に渡り「LTVを向上させる方法」についても、別のノートで書いてますので、合わせてお読み頂けますと幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?