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マーケティング グロースハック入門 Part2

前回に引き続き、デジタルマーケティングにおける、グロースハックのメソッドについて解説します。今回お話する原則は「二兎を追わない」です。デジマ初心者の方、または担当者の教育に悩まれるマネージャーの方向けに作成しています。


前回の振り返り

前回のPart1では、このメソッドが一般的なECサイトやアプリを対象とし、CVRを向上させる為の、全体的なグロースハックメソッドについて書かれているという事と、メソッドそのものの重要性、そして「事前準備」と「10個ある原則」のうち、前半2つを紹介させて頂きました。

今回は第3の原則について書きたいと思います。もしPart1をまだお読みで無い方は、ぜひPart1を読んでから、このPart2をお読みいただければと思います。

3: 改善対象は二兎を追わず一度に1つずつ

3つ目の原則は、ABテスト等を行っている方であれば、みんな知ってる「一度にテストは1つづつ」の原則です。同時に複数の改善に手を出さずに、できるだけ1つに集中しましょうね、というお話です。

では、なぜ二兎を追わない方がよいのでしょうか?そこには以下の3つの理由があります。

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① 効果検証を正しく行うため

一つ目の理由は正しく改善の効果をはかるためです。もし相互に影響しあう領域を同時に改変してしまった場合、結果の効果が、どちらによるものなのか、わかりにくくなってしまうからですね。

わかりやすい例としては、バスケット投入率の改善を行うために、バスケットボタンの「色」と、記載される「文言」を同時に修正した場合、色による効果なのか、文言による効果なのか、どちらかわからなくなるという具合です。これはよく語られる内容ですよね。

よく発生するのが、例えばキャンペーンの1枚ペラのLPがあるとして、CVが「申し込み」だった場合、キャンペーンページに誘導する「広告バナー」の訴求デザインの変更と、キャンペーンページそのもののデザインや文言を、同時に修正してしまった場合等のケースです。

この場合、仮にCVR(申し込み率)が上がったとしても、LPのリニューアルによる効果なのか、それともバナーの訴求が変わった事により「来訪するユーザーの特性やモチベーション」が変わった為なのかが、判断できなくなります。

つまり、「ファネルの前後も相互に影響しあう」という事を、忘れないようにする必要があります。運営者側にとっては、それぞれが独立した個別のプロセスに見えていたとしても、ユーザーにとっては「一連の行動の一つの流れ」の中の一部であり、「ストーリー」として捉える必要があります。

② 短期間に効果を発揮させるため

経験曲線効果という言葉をご存知でしょうか?

個人や組織が「特定の課題について」経験を蓄積するにつれて、より効率的にその課題をこなせるようになることを指す言葉。製造業では累積生産量の増加に伴って、製品数量ごとの間接費を含めた総コストが予測可能な一定の割合で低下していくことを指す。(Wikipedia)

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ここで重要なのは「特定の課題について経験を蓄積する」という点です。1つの課題に対し分析やABテストを、ある一定期間集中的に行う事で、複数の課題を同時平行するよりも、効率的に成果を上げる事ができます。

理由は様々あるかと思います。1つはその課題に纏わる周辺情報を「思い出す」という作業自体の効率が上がるためです。複数課題に取り組んでいると「頭を切り替える」必要があるため、再度、その課題に取り組む場合には、頭の切り替えと同時に、再度関連情報を思い出すプロセスが走ります。

またもう一つは、「無意識での脳の情報整理効率向上」です。人間は仕事中だけでなく、例えば食事をするといった別の行為を行っている際にも、無意識下で脳はそれまでに得た情報を体系立てて「整理整頓」しています。その際に、1つの課題に集中する事で、体系が散漫になりにくくなり、より効率的に情報整理や「情報間の結合」が進むものと考えています。

③ 二兎を追う場合は干渉し合わない領域を

改善対象とする課題は一度に一つ!と言われても、実際のビジネスの現場では、そんな悠長な事も言っておられず、現実的には複数の領域の課題を平行して改善していく事が求められます。

ただその際にも、できるだけお互いに干渉しあわない領域を行うようにする工夫が必要です。特にユーザーの主動上の前後関係にあるような領域や、ユーザーの「心理」に同じような影響を与え合うような領域は、ちょっと気をつけましょう。

工夫としておすすめなのは(というか皆さんやってると思いますが)、予め、どの領域を、いつからいつまで行うのか、というロードマップを引く事です。

そして、それぞれの領域に対して「一時終了のKPI目標」と「期限」を定めます。「5%」改善したらその時点で終了、目標値まで達していなくても2月10日は終了、という具合に、「目標値 OR 期限」で撤退条件を定めておく事がオススメです。

改善活動にゴールは存在しない為、やろうと思えば、永遠に同じ課題に取り組む事もできてしまいます。そして、課題によって「労せず効果が発揮できる」ものと「やっても中々成果が上がらないもの」が、どうしても存在し、効率を上げる為には「見切り」が重要となるためです。

KPIとKGI両方を見てグロースハックしましょう!

グロースハックを行う上で、実は結構重要なのが、「KPIとKGIの両方を同時に見る」という点です。

何を言っているかというと、例えば以下のようなファネルで、「商品詳細からバスケットへの投入率を上げたい」といったような場合です。

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この場合、直接の改善施策は「商品詳細ページのバスケットボタンの改善」といったような打ち手が考えられるかと思います。その際の「直接KPI」は「バスケット投入率」となります。

しかし、施策自体の最終目的は「購入完了」のはずです。よって「KGI」として「購入完了率」も同時に見ていく必要があります。よってみるべきKPIは以下の通りとなります。

KGI: 商品詳細購入完了率(購入完了数÷商品詳細セッション数)
KPI: バスケット投入率(バスケット数÷商品詳細セッション数)
KPI: 購入完了率(購入完了数÷バスケット投入数)

実際に施策をまわしていると、例えばバスケットボタンの文言の変更を行った場合、バスケット投入率も変化しますが、同時に、購入完了率も動いてしまい、結果としてKGIである「商品詳細購入完了率」はあまり上がらなかった、といったような症状によくぶつかります。

超極端な例として以下のようなケースで考えてみましょう。(こんな文言付ける人いないと思いますが)

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上のケースでは、バスケットに投入する心理ハードルが下がるため、バスケット投入率は上がるかもしれませんが、そもそものモチベーションが低いため、購入完了率はあまり上がらないかもしれません。

逆に下の場合には、バスケット投入に対する心理ハードルは高くなりますが、モチベーションが高く、購入完了率は高くなります。

ちなみに、KGIである「商品詳細購入完了率」は両者とも変わりません。

上記は極端な例ですが、「木を見て森を見ず」(使い方間違ってるかも)ではありませんが、意外に「KGI」を見据えずに、「目先のKPI」だけに注力してしまうミスを起こしやすいものです。

ぜひ、「KPIとKGIの両方を同時に見る」事が結構大事ですよ、という事をご理解頂けますと幸いです。

今回はここまで

次回は第4、第五の原則について書きます。




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