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ひとりごと

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2022年9月の記事一覧

冬の匂い

冬の匂い

まだ九月なのに冬の匂いがする。フランスに来て8か月目。
日本に帰りたいかと言われれば分からない。
かといってフランスに残りたいかと言われれば分からない。
日本にもフランスにもそこには変わらず私の日常がある。
便利さや不便さ。言葉の違いや文化の違い。
小さな違いはあるけれど、自分主体の日常であることに変わりはないなと思う。

夏は気怠くクーラーのない暑さを溶けるように生きていたが
秋になると、残暑は

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Cotton candy sunset

Cotton candy sunset

なんて可愛らしくて素敵な響きなのだろう。
聞いた瞬間に甘くて儚く溶ける
夕焼けの空を想像した。

夕焼けの時間はとても特別な時間だと思う。
昼から夜へと変わっていく曖昧な時間、
何色とも言えぬ様々な色が
混ざり合い溶けあっていくパレット
括ることのできないものは
一際美しく思える

暮れ泥む
美しい日本語だ。
混ざり合い混沌となる世界の趣を感じる。

海辺での夕暮れ
川辺での夕暮れ
山中での夕暮れ

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ガレット屋さんにて

ガレット屋さんにて

ある日ガレット屋さんに行った。
街の小さなガレット屋さん
小さなお店の中には6テーブルほどあって、
ほとんどの席が埋まってた。
テラス席ではコーヒーを片手に
ただゆっくりと時間を過ごすおじさまが。
のどかで平和な午前中

私たちが座ったテーブルに隣には
マダムと小さな男の子が座っていた。
男の子は私たちが話す日本語に興味津々
ずっとこっちを見つめてくる。
そっと目を合わせて微笑むと
嬉しそうにたく

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マーメイド

マーメイド

小さい頃マーメイドになりたかった
どうしてだったのだろう
フワフワとしたドレスやティアラも
可愛くて魅力的だったのだが
何よりも海の中の世界が魅力的であった。

水の中の世界は、
余計な音が聞こえなくて
余計な考えも振り落とされて
すごく好きだ。
あまりに長い時間プールの中で潜水しているので
親や友達に心配された

フワフワと沈むなか
音は聞こえず
周りは水色で満たされている
とても贅沢な時間だっ

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