ちっぽけなプライドは捨てて。
こんにちは、今日もお疲れ様です。結城りんねです。
この凶悪な猛暑の中、なんとか勇気を振り絞って本屋へ向かいました。
ワンピースの最新刊を手に入れるためです。
命からがら駅にたどり着き、しっかりと冷房の効いた本屋に入店。
発売初日だったのもあり、店内でもっとも目を引くようにワンピースの最新刊は積み上げられていました。
僕には目的の行動をあまりにも無駄なくスマートにこなしすぎてしまうところがあるので、なにも考えなければまっすぐワンピースを手に取り、まっすぐレジに向かってしまう恐れがあります。
別になにもおかしくはないんですが、実際にこれをやっちゃうとわりと奇妙に見えちゃうような気がして。あいつワンピース買うまでの足取り迷いも無駄もなさすぎやろ、、、みたいな。ねえ?思われそうじゃないですか。
そこで僕は、ワンピースが無事に発売されていること、そして売り切れる心配はなさそうであることを確認し、まだそれは手に取らないことにしました。
そして向かった先は文庫本コーナー(僕は大体ここかイオンモールのソファにいます。探してみてください。)。ワンピースの発売日にだけ本屋に来るやつだと思われると何かと都合が悪いですからね。まあ本当に欲しい文庫本はたくさんありますし。
僕はいつも通り化学者が薬品を探すときのように書棚に目を通しました。すると、僕よりはるかに難しい顔をしている眼鏡をかけた高校生くらいの男の子が目についたんです。彼が見つめているのは漫画の書棚。目当てのものが見つからないのでしょうか。
書店を主な生息地としている方にはわかってもらえると思いますが、どれだけ険しい顔をしていたとしても書棚を眺めている時間と言うのは人生でも指折りの至福のひとときです。
僕も彼と同じように再度目の前の書棚に向き合い、悩んだ末、夏目漱石の「こころ」を買うことに決めました。
文庫本を1冊選び抜いたこの時の僕はどこに出しても恥ずかしくない状態です。堂々とした足取りでワンピースの回収に向かいます。
その足でレジへ向かったところ、さっきの眼鏡の彼が僕より先にレジに着くところでした。僕は彼の後ろへ。
店員さんが「○○円になります」と彼に伝えたところ、「○○円、、、」と彼が財布の中身を探り始めましたが、様子がおかしい。どうやら手持ちが不足していたようです。
どうするんだろうと思っていた次の瞬間、
「母上!母上!」
と彼は右手を上げてお母さんを呼び始めました。
僕は驚きのあまり2冊の本を落としそうになりました。
すると彼のSOSを聞きつけて姿を現したのは、彼にそっくりの母上。
初対面の僕でも親子だと確信できるほどに瓜二つ。
お母さんは非常に落ち着いていました。その落ち着きっぷりはまさに母上たるもの。
彼もすごく安心した様子でした。母親ってすごいですねー。
そして何といってもその親子の仲睦まじいこと。彼も年頃だろうにまったくもってお母さんを邪険にしません。
その親子を見ていると、美しい夕焼けのような良いものを見ている気分になりました。
それと同時にただ欲しい本を買うだけで人にどう思われるかを気にしていた僕が恥ずかしくなってきたんです。
僕も彼を見習って、ちっぽけなプライドは捨てて、困ったときには堂々と助けを求めることができるようになりたい。そう思いました。
そして今度帰ったら母親のことを「母上」と呼んでみようかな。
いや、それはやめとく。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
レジで「カバーつけますか」って尋ねられなかったときに、「カバーお願いします」って10回に1回ぐらいしか言えないので、10回に3回くらいは言えるようになりたい。
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