Renta@人間を突き動かす力について考える人

このアカウントにお越しいただきありがとうございます! このアカウントでは、哲学や社会学…

Renta@人間を突き動かす力について考える人

このアカウントにお越しいただきありがとうございます! このアカウントでは、哲学や社会学、国際関係論などのアウトプットを通して、「人間を突き動かす力」について考察するnoteを主に投稿していきます。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

このnoteの今後について

久しぶりの投稿となりました。また読みに来ていただいてありがとうございます! ノッティンガム大学マレーシアの卒業迫っており、卒論で忙しく投稿が出来ておりませんでした(提出はできたので後は受かるかどうか)。 この間でnoteの方針の変更について思案しましたのでぜひ読んでいただけたらなと思います。 結論から言ってしまうと、このnoteのトピックを国際関係論から哲学の方に移していきます。その背景として、神戸大学大学院国際文化学研究科モダニティ論コースにて修士課程に入るつもりだか

    • アダム・スミス問題

      アダム・スミスは、18世紀のイギリスこ哲学者・経済学者であり、「経済学の父」と呼ばれています。 彼の思想は、先行する思想家たちが非社会的な社交性によって社会が成立するという見方に疑問を呈しました。非社会的な社交性とは、人間は他人を嫌うもので争ってしまうが、争いという相互作用の結果意図せざる結果として社会が登場する、という考え方です。これに対して、スミスは人間は本来的に社交的な側面をもっており、社会の発生や文明の発展はそれによって支えられているという立場を取りました。スミスの

      • ルソー思想の問題意識

        『人間不平等起源論』への導入ヒュームを挟みましたが、ホッブス、ロックと続いたら次に来るのはルソーでしょう。 ルソーも社会契約を唱えた人なので(むしろ最初に社会契約という言葉を使ったのはルソーです)、ホッブスやロックと似たような課題意識(理想の社会秩序の論理的必然性の証明)を持っています。 ただし、ルソー独自の課題意識としてこれまでの社会秩序論者は人間本性を正確に捉えられておらず、当時の論者が身を置いた社会情勢(ホッブスだったらイングランド内戦、ロックだったら新大陸のコミ

        • PANCADAのジャケットはなぜ飛行船なのか

          はじめに、と議論の要約こんにちは、こんばんは、おはようございます! 前回に引き続き、PLEVAIL関連の考察を行います。 今回のテーマはPLEVAILのサードアルバムであるPANCADAのジャケット(このnoteのサムネイル)についてです。これがなぜ飛行船なのかを思考します。 その際、(SEのbeyond the horizonを除いて)PANCADAの1曲目であるHorizonを参照します。これを通して、Pancandaのジャケットの飛行船は重力という制限を受ける船

        マガジン

        • マレーシアの歴史
          12本
        • 国際秩序のモデルから見る近代現史
          6本

        記事

          PLEVAIL歌詞解釈~Mimesisとポラリス、あと精神分析をひとつなぎにする試み~

          1.イントロダクションと言い訳その1こんにちは、こんばんは、おはようございます!今回はPLEVAILというアイドルの「Mimesis」と「ポラリス」という曲の歌詞を解釈してみようという試みです。 PLEVAILは東名阪を中心に活動をしているエモーショナル・ロックアイドルです。 Mimesis ポラリス このnoteではMimesisとポラリスのつながりを見出す解釈をします。それを精神分析の知見を参照しつつ示します。精神分析理論のたとえとして漫画ONE PIECEに時

          PLEVAIL歌詞解釈~Mimesisとポラリス、あと精神分析をひとつなぎにする試み~

          ヒュームの知覚論と正義の感覚

          ヒュームは、18世紀のスコットランドで生まれた独特の学派、スコットランド啓蒙の一員でした。この学派は、産業化が進むイングランドに対して、スコットランドとしてのアイデンティティをどのように保つかという問いを抱えていました。 ヒュームの哲学は、ロックと同様に知覚の検討から始まり、観念の考察に至ります。ヒュームにとって知覚とは、感覚対象の知覚、文の理解、情念、価値観など、広範な領域を包括します。 ヒュームの知覚論には、「印象」と「観念」という二つのカテゴリーがあります。印象は生

          ロックの観念論と社会契約論のつながり

          ロックの観念論ホッブズと同じ社会契約論を論じた人なので、課題意識は省略します。 ロックは観念論から展開します。 ロックにとって観念とは「およそ人間が思考する時に知性の対象となるもの一切を表示する概念」と定義されています。 その範囲はかなり広く、心象(イメージ)、センスデータ(感覚)、知識、思考、存在や単一などの高度に一般的な概念まで含みます。 言い換えれば私たちの観念は私たちが世界を理解しようと努力する試みにおいて生まれるものです。 少し脇道に逸れますが、ロックが属

          ロックの観念論と社会契約論のつながり

          ホッブズの社会契約論の論理的一貫性

          イントロダクションホッブズは、16世紀のイングランドの政治家で、『リヴァイアサン』や『市民論』という本を著しました。彼は、当時のヨーロッパで起こっていた宗教戦争や革命などの政治的混乱によって、既存の政治体制の権力と権威が揺らいでいたことに対処するために、論理的に正統性がある政治秩序とはどんなものかという問題に取り組みました。 この問題は、社会契約論と呼ばれる思想潮流の基本的な問いでもあります。社会契約論者は、現実の社会秩序を一度、論理的に解体した上で、それが歴史のある段階

          ホッブズの社会契約論の論理的一貫性

          マキャベリ

          近代社会思想の考察はマキャベリから始まります。 マキャヴェリは、16世紀のフィレンツェの政治家で、『君主論』や『ディスコルシ』という本を著しました。彼が本を書いたのは、彼の祖国フィレンツェが強大な外国(フランスなど)の脅威にさらされていたからです。この状況を切り抜けるために必要な要素を考察したのが、彼の政治思想です。 『君主論』は、君主が国家を統治するために必要な知恵や技術を説いた本です。マキャヴェリは、人間は全て自己利益を追求すると考えていました。これは、近代的な発想で、

          黒死病と西欧の近代化

          イントロダクション こんにちは、こんばんは、おはようございます!Renta@マレーシアから国際関係論について考える人です! 今回は前回の続きで、大学の課題エッセイを掲載します。 ヨーロッパと黒死病GomezとVerduは2017年の論文において、ネットワーク理論を用いて中世ヨーロッパにおける黒死病の広がりを説明しています。 それには2つの重要な要素があります。1つ目はトランジティビティで、これは各ポイントの密集度を示します。2つ目はセントラリティで、これは各ポイントへ

          中世のシルクロードと世界システム

          イントロダクション こんにちは、こんばんは、おはようございます!Renta@マレーシアから国際関係論について考える人です! 今回は、前々回の投稿で示した課題エッセイの前半についてです。内容としては、中世のシルクロードはユーラシア大陸中に経済的繋がりが出来ているが、その性質は近代以降のものと異なるというものです。 早速見ていきましょう。 後期中世のシルクロードにおける経済的結びつきの性質後期中世における東洋と西洋の経済的結びつきの性質は、アブ・ルゴッドによる世界システム理

          中世のシルクロードと世界システム

          先週に引き続き、執筆中の課題エッセイの構成の後半を紹介します。 1.西洋の大転換 黒死病以降の西洋の近代における発展について考察します。 2.近代の東洋的起源 ホブソンを参考に、近代化に影響を与えた技術や学問が中世にシルクロードによって東洋から西洋に伝わったことを示します。

          先週に引き続き、執筆中の課題エッセイの構成の後半を紹介します。 1.西洋の大転換 黒死病以降の西洋の近代における発展について考察します。 2.近代の東洋的起源 ホブソンを参考に、近代化に影響を与えた技術や学問が中世にシルクロードによって東洋から西洋に伝わったことを示します。

          今回は現在執筆中の課題エッセイのストラクチャーの前半を提示します テーマ:後期中世(12世紀~15世紀)における東洋と西洋の交易の性質と程度について ルゴドの「13世紀の世界システム」を参照し、上下的な経済関係を伴う近代の世界システムと異なる、対等的な経済関係を描き出します。

          今回は現在執筆中の課題エッセイのストラクチャーの前半を提示します テーマ:後期中世(12世紀~15世紀)における東洋と西洋の交易の性質と程度について ルゴドの「13世紀の世界システム」を参照し、上下的な経済関係を伴う近代の世界システムと異なる、対等的な経済関係を描き出します。

          中世~近世の海洋シルクロード

          イントロダクション こんにちは、こんばんは、おはようございます! Renta@マレーシアから国際関係論について考える人です!今回は、14世紀~18世紀ごろの海洋シルクロード(主に中華帝国と東南アジア)における貿易を見ていこうと思います。 貿易という観点から中世~近世の中華帝国史を振り返るシルクロードは中華帝国が大きなエンジンとなっています。現在もですが、中華大陸は大規模な人口を擁しているため、生産力も市場も大きいからです。そこで、貿易という観点から中華帝国の歴史を振り返っ

          モンゴル帝国が準備した近代化

          イントロダクション こんにちは、こんばんは、おはようございます!Renta@マレーシアから国際関係論について考える人です! 今回のテーマは2つです。1つ目がモンゴル帝国で2つ目が西ヨーロッパの近代化です。 面白いのは、モンゴル帝国が西ヨーロッパの近代化の基礎を準備したということです。早速見ていきましょう。 暗黒の中世という誤解とモンゴル帝国ヨーロッパの中世は、14世紀イタリアの学者であるペトラルカによって「暗黒の中世」と呼ばれました。 ギリシア・ローマなどの軍事的に

          9~10世紀のシルクロードと近代への序曲

          イントロダクション こんにちは、こんばんは、おはようございます!Renta@マレーシアから国際関係論について考える人です!今回は9~10世紀のシルクロードを概観し、近代への序曲として位置づけてみようと思います。 シルクロードの復習はじめに、シルクロードとはどんなものか復習しておきましょう。 シルクロードは、古代の交易路であり、東西の文化、宗教、技術、芸術が交流した場でした。地理的には中国から地中海までの広大な地域を結ぶ交易路であり、その名前は主要な交易品である中国の絹(

          9~10世紀のシルクロードと近代への序曲