このnoteの今後について

久しぶりの投稿となりました。また読みに来ていただいてありがとうございます!

ノッティンガム大学マレーシアの卒業迫っており、卒論で忙しく投稿が出来ておりませんでした(提出はできたので後は受かるかどうか)。

この間でnoteの方針の変更について思案しましたのでぜひ読んでいただけたらなと思います。

結論から言ってしまうと、このnoteのトピックを国際関係論から哲学の方に移していきます。その背景として、神戸大学大学院国際文化学研究科モダニティ論コースにて修士課程に入るつもりだからです(院試は2024年11月)。

研究対象は日本の文芸批評家・哲学者の柄谷行人の『力と交換様式』です。

研究対象と大学院の選択理由の1つ目は「人間を突き動かす力」という自分の興味関心の軸に気づいたことです。

2つ目が「人間を突き動かす力」を巡る様々な問題(ナショナリズムや資本主義)、その乗り越えを考察するために、柄谷行人の『力と交換様式』が最適な巨人の肩であり、神戸大学大学院国際文化研究科が最適な環境だったからです。

ですので、今後のnoteは国際関係論の記事をたまに挟みつつも、哲学の投稿をメインに行っていく予定です(上記の「人間の突き動かす力」に当たる領域を投稿の領域にしていくとも言えます)。


1.Rentaの興味関心の軸

バックグラウンドとして説明しておきたいのが、自分の興味関心の軸が「人間を突き動かす力」であるということです。

私の興味の対象はだいたい地政学・国際関係論・哲学・社会学・歴史あたりです。

これらは「人間を突き動かす力」の探究としてまとめることが出来ます(少なくとも私にとっては)

国家の行動の原因に地政学はパワー争いと地理を置きますし、国際関係論は経済的繋がりや国家のアイデンティティやイデオロギー、国内政治などを置きます。

この「人間を突き動かす力」の考察対象を個人やその集合にすれば社会学になりますし、哲学は個人や国家のイデオロギーやアイデンティティについて説明したり創造したりする学問です。そして、それらが作動する文脈を説明するのが歴史です。

さらに、現在取り組んでいる卒論はアイルランドにおけるナショナリズムとポピュリズムの関係についてです。

ざっくばらんに言えば「(少なくとも自分の視点から見て)合理性に反する行動を取ってしまうのはなぜか?」という問いに関わる領域に興味を持ってきました。

このトピックに興味を持つようになったキッカケとしては、ノッティンガム大学マレーシアというインクルーシブな環境に身を置く中で、マレーシアの選挙で右派が大勝したことや、個人レベルではそれなりに交流出来るが国家レベルになると対立が起きやすい国際情勢にギャップを感じたという事があります。

もう1つきっかけを挙げるとすれば、高校生の時に読んだユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」です。この本は国家も企業もお金もフィクションだ、という主張をしています。

私はこの主張を説得的だと感じると共に、「ではなぜ私達はフィクションによって時には熱狂し、泣き、愛し、憎みあうのか。フィクションならば心理的距離を取ることができるはずなのに。」ということを説明してないように思えました。

2.なぜ国際関係論で満足せずに哲学に鞍替えするのか。

1つ目には、2022年のロシアのウクライナ侵攻の予測を外したことにあります。

この時私は、国際関係論のフレームを使って「侵攻は起こらないだろう」と予測していました。というのも、ロシアが侵攻せずに圧力だけをかけた方が交渉が有利に進むだろうと考えたからです。

しかし実際にはそんなことはなく、プーチン大統領の演説を聞くとナショナリストど真ん中なことを言っていました。

ここから、戦略的理性だけでなくナショナリズムも個人や国家の行為の重要なファクターになるのではと思い始めます。

2つ目には、国家やナショナリズムに加えて資本主義についても考えたくなったということがあります。きっかけは、現在も関わっているVARIETASという企業でnoteを執筆する際に読んだ「構造と力」(浅田彰)と「現代思想入門」(千葉雅也)です。

この2つの本は、社会が個人に刷り込ませようとする「規範的人間像」に従わない思想運動を紹介している本です。その中で、資本主義的人間像(ひたすら競争に励んだり資本家-労働者の対立があるから資本家側に回ろうという発想をしたりする人間)についても紹介されていました。競争や切磋琢磨は非常に刺激的で、自身の成長に繋がる有益な経験です。

しかし、それ以外の生き方や社会構造はないのかな?とも思いました。実際にJ.S.ミルやカール・マルクス(彼らの思想も今後の学習アウトプットで紹介します)がオルタナティブな社会像を示しているのに、そちらにうまく移行していないのは何故なのか?そこには、「人間を突き動かす力」が絡んでいるのではないか?と考えました。

ナショナリズムの問題だけなら国際関係論でカバー出来ます。しかし、二領域に跨るとスタンダードな学術研究では難しくなってきます(それでもモダニズムという視点から資本主義とナショナリズムの関係を考察する研究はありますが)。そして、ナショナリズムを語るにあたってステートについて考えないわけにはいきません。なぜならば、ナショナリズムはステートありきの運動だからです。

ここまでをまとめると、私の読書や発信の動機は「人間を突き動かす力」について知ることにあり、それは具体的には資本・ネーション・ステートの問題にまとめられます。

これらについて、まとまった論考を著した人はいるのでしょうか?

そう、それが冒頭で述べた柄谷行人です。

柄谷行人は『力と交換様式』という著書で、「人間社会は交換様式で決まる(私の関心に引き寄せて言い換えれば交換が人間を突き動かす)」という考えのもと、ナショナリズム、ステート、資本主義について考察しています。

3つ目の理由として、柄谷行人はこれら3つが結びついた資本=ネーション=ステートを批判的に見ており、これを乗り越えた理想社会とそれを可能にする力にも言及しています。私からすれば「人間を突き動かす力」について思索できるし、資本主義的人間像にも若干の違和感を感じていたので、それについても考える土台になるなあと思い、研究対象にしようと決めました(リサーチクエスチョンはまだ考え中です)。

3.なぜ神戸大学大学院国際文化研究科なのか

日本の大学院にした理由としては、柄谷行人の著書は日本語で書かれたものがほとんどなので、当然日本の大学院の方が文献が豊富で指導できる教授陣も多いはずだと考えたからです。

また、ご存命なので必要であればインタビューをしやすい日本の大学院にしようと決めました。

(ただし、研究対象と大学院は実際には同時並行で探したので研究対象が柄谷行人で確定するまでは、他の地域の大学院も探していました)

とはいえ、国内の大学院も豊富にあります。ただし、資本=ネーション=ステートという横断的な領域を論じている哲学者の研究なので、通常の人文研究科よりは、領域横断的な研究を推進しているところが良いなと判断しました。

その結果、関西圏では京都大学大学院の人間環境学か神戸大学大学院の国際文化研究科が良さそうだったので、実際に研究テーマが近そうな教授にアプローチし、お話させていただきました。

結果としては、神戸大学の教授の方がテーマが合っているなと感じたので、神戸大学を志望することにしました。

4.修士課程を修了したらどうするのか

方針としては、「人間を突き動かす力」について考えを広げたり深めたりしながら、その発信を通してお金を稼げる職に就きたいと考えています。

具体的に何を発信するのかと言うと、現在起きている社会現象(戦争や選挙結果など)のストーリーです。また、現状の社会問題に対するスキームや提言も出していきます。

ここでストーリーと言うのは、楠木健「ストーリーとしての競争戦略」を参考にしています。この著書はストーリーとは、各要素が強力な因果で繋がっている論理体系としています(もちろん、経営学の本なので経営で勝つための諸要素も議論されていますが、ここではストーリーというキーワードを抜き出しています)。

現状がいかにして発生したかという説明のストーリーと、入手可能なデータに基づけばこのようなシナリオが可能である、という情報を提供することで、個人や企業や国家の意思決定をサポートしていきたいと思っています。そしてそのストーリーには「人間を突き動かす力」が関わってくるはずです。

その仕事をする第一の理由としては自分の好奇心を満たし続けたいということがあります。ストーリーを描くためには、多分野にわたる情報収集が欠かせません。

もう1つ付け加えるならば、自分がここまで知的刺激を受けてきた文系学問の有用性を微力でも社会に示していきたいということがあります。

更に個人的理由として、そもそも自分が得た知見を周囲に伝える喜びを好み、先行する議論を参考にして新しい知識を生み出すことが好きだからということがあります。直近では、大学院のための学習アウトプットも複数の教科書や概説書を参照し、自分なりの哲学者のストーリーをアウトプットしています。

ということで、既に大阪にある「学問で時代を作る」というビジョンを掲げた民間研究所(応用社会心理学研究所)に目を付けて、院試が落ち着いたらアプローチをかけようと画策しています。

ただし、何でもかんでも「人間を突き動かす力」に収斂して行くと思考や行動が硬直化(ツリー化)しそうなので、その都度(リゾーム的に)自分が唆る本や活動に手を出していこうと思います。


5.今後のnoteの方針について

4の内容とも重なりますが、「人間を突き動かす力」について考えを広げたり深めたりしながら、その投稿を行っていきます。

その範囲は地政学・国際関係論・哲学・社会学・歴史あたりです。また、ら宗教や音楽、文化に関する自分の気づきなどについても投稿していけたらなと思います。

ひとまず2024年11月の大学院入試に備えなければならないので、しばらくは哲学系の投稿が続きます。無事入学出来たら授業のアウトプットや研究の進捗を投稿していきます。

また、学習の拠点がマレーシアから日本に移ることと、学習の内容が国際関係論だけではなくなるので、アカウント名を「Renta@人間を突き動かす力について考える人」に変更します。
とはいえ、仮名ではあるのでより良いアカウント名が思いついたり拠点を移すことになったりしたらアカウント名変更はあり得ます。

今後とも私Rentaの投稿を良かったら見ていただけると幸いです!

最後までお読みいただきありがとうございました!


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