一 枚 ぬ い で み る
朝 鳴き始めた ひぐらし 横になったまま 窓のほうを見ると 淡い水色が 目に入り 鳴き声が うぐいすに 代わる頃 それは 徐々に 白く 白く 庭に出ると 風が触れて…
今日は 友だちの誕生日 出会ったとき 私たちは 高校一年生でした 彼女は 陸上部で短距離を走りながら かけもちで 文芸部に所属して 小説を書いていました 実は 一度だ…
雨続き 洗濯物が乾かなくて 仕方なくコインランドリーへ 待つ間 街をぶらつきながら 足下を 山からの伏流水が 流れていることを ふと思い出し 暗渠となった その流れに…
もう少しで 触れることが できるかもしれない そんな風にかんじたのは あのときがはじめてでした ガードレールをはさんで 隣り合わせの それは 若い牡鹿でした 長く 終…
朝がきて ひぐらし カナカナカナカナ 背中から 布団の海に沈みこみ あなたの声で 目がさめて まとまらぬ 髪を何度も結いなおし 書いて消し 消しては書いて また消して …
時
朝 いつもと同じ 穏やかな空気 でも なにかが ちがう なんだろうと どこか フワフワしていたら 沿道から 草刈りの音がして 慌てて着替えて 飛び出しました 軍手と…
ポ ケ ッ ト の 中 に
たまに所用で 都内へ行くのですが 今日はその日で 朝から あちこち巡ろうと 楽しみにしていたところ 途中 思わぬ足止めを 食らいました 車を停めて 駅へ向かう途中 …
久しぶりの 鍾乳洞 一步踏み入れた その瞬間 ここはもう かつての場所では ないことに気づきました 広々とした空間 さまざまに変化する色彩 岩肌も一様ではなく たど…
今月も 残すところ あとわずかとなりましたが いかがお過ごしでしょうか 実は 六月は わたしが幼い頃 一緒に暮らしていた 祖父の命日があり ふだんあまり見かけない 生…
今日は 久しぶりに 会いに行ってきました わたしの いいところも わるいところも たぶん一番 知ってる人に 昔 勤めてた先の上司であり 母親代わりみたいな ひとなのだ…
朝のショッピングモール 開店時間を待つ車内で 雨粒の弾ける音を 聞きながら うたたねしていると スルスルと 手から 余計なちからが 抜けていく気がした このまま…
今日は珍しく 他の人に便乗して 三人組で山へ まだ 十歩くらいしか 数えぬうちから 早くも ついていかれぬ気配に 慌てて 腰を立てなおしました 広葉樹の なだらかな小…
今日は 駅に向かう途中 藪の中に ルリボシカミキリを 見つけました ルリボシカミキリ を見ると ふっと 思い出すのが とある博士の書いた 本のタイトルと その中におさめ…
W
2024年7月22日 14:00
一 枚ぬ い でみ る
2024年7月21日 23:01
朝鳴き始めたひぐらし横になったまま窓のほうを見ると淡い水色が 目に入り鳴き声がうぐいすに代わる頃それは 徐々に 白く 白く庭に出ると 風が触れて洗い上がりの洗濯物にバッタが一匹飛びついてシーツの白に緑が映えて見つめていたら思わず時間が止まるようそれから緑を手に乗せ甘噛みされてはじめてここ数日の忙しなさからようやく目
2024年7月17日 13:47
今日は友だちの誕生日出会ったとき私たちは 高校一年生でした彼女は陸上部で短距離を走りながらかけもちで文芸部に所属して小説を書いていました実は一度だけ彼女の小説の登場人物になったことがありました授業をボイコットする主謀者みたいな役だったのでちょっとびっくりしたけど休みがちで教室にいることの少ない私を思い出してくれていることが嬉しかった彼女とは
2024年7月16日 22:00
雨続き洗濯物が乾かなくて仕方なくコインランドリーへ待つ間街をぶらつきながら足下を山からの伏流水が流れていることをふと思い出し暗渠となったその流れに沿って歩いてゆくとその先には神社があり気まぐれに白い鳥居をくぐりました雨だけど人がぽつりぽつり柏手の音が響く中自分でも打ちながら人によって音がさまざまで面白いなと思ったり帰り道も一つ小
2024年7月13日 23:29
もう少しで触れることができるかもしれないそんな風にかんじたのはあのときがはじめてでしたガードレールをはさんで隣り合わせのそれは若い牡鹿でした長く終わりの見えない当時の生活に終止符を打ちたくていつものパンプスを履いて自転車で向かった先は駅ではなくまだ行ったことのない山でした誰かの歩いたはずの道をたどりながら岩肌をなで鎖場を越え傾きか
2024年7月10日 22:55
朝がきてひぐらしカナカナカナカナ背中から布団の海に沈みこみあなたの声で目がさめてまとまらぬ髪を何度も結いなおし書いて消し消しては書いてまた消して夕になりまたひぐらしカナカナカナカナ
2024年7月8日 10:17
2024年7月7日 13:00
朝いつもと同じ穏やかな空気でも なにかが ちがうなんだろうとどこかフワフワしていたら沿道から草刈りの音がして慌てて着替えて飛び出しました軍手と鎌を片手に走りどんな顔して誰に話しかけたらいいのかと思いながら駆けつけるとご近所の方々はもう帰支度をはじめるところでした一番近くにいた人に遅れてすみませんと頭を下げて一人でもやろうと草をいじ
2024年7月4日 14:14
ポ ケ ッ ト の中 に
2024年7月2日 11:22
たまに所用で都内へ行くのですが今日はその日で朝からあちこち巡ろうと楽しみにしていたところ途中思わぬ足止めを食らいました車を停めて駅へ向かう途中少し時間が早いからと立ち寄った公園で一本の木のそばにさしかかったときのことこんなによいお天気なのにぽたりぽたりとしきりに音がしてなんだろうと梢を見上げると目の中に何かが落ちてきてそれは小
2024年7月1日 13:55
久しぶりの鍾乳洞一步踏み入れたその瞬間ここはもうかつての場所ではないことに気づきました広々とした空間さまざまに変化する色彩岩肌も一様ではなくたどりついたその場所は記憶には定かではないけれどどこか胎内を思わせるものでしたなめらかな凹凸を目で触れながら身を任せられる場所を探ししばらく放心しているとどこからかあたたかい風を かんじぽち
2024年6月28日 19:00
今月も残すところあとわずかとなりましたがいかがお過ごしでしょうか実は六月はわたしが幼い頃一緒に暮らしていた祖父の命日がありふだんあまり見かけない生きものを目にして祖父が会いに来てくれたのかな?なんて思うことが何度かありました。そんな流れで今日は祖父のことをすこし書きたいのですが……祖父は埼玉の田舎の生まれで前橋、山形、長崎と単身転々としながら学
2024年6月23日 21:55
今日は久しぶりに会いに行ってきましたわたしのいいところもわるいところもたぶん一番知ってる人に昔勤めてた先の上司であり母親代わりみたいなひとなのだけどたぶんお互いに大好きで 大嫌いで数年前に今思えばささいなことがきっかけでもう一生会うことないかもなんて思っていたけど今日はあの人にどうしても会いたかったそうして たぶん叱って
2024年6月21日 16:56
朝のショッピングモール開店時間を待つ車内で雨粒の弾ける音を聞きながらうたたねしているとスルスルと手から余計なちからが抜けていく気がしたこのまま開店時間になってもずっと このまま微睡んでいたかったたのまれたおつかいは今日発売の新刊の漫画を二冊うん わかってる引き受けたことを一瞬 後悔し眠気と少しのやるせなさを音も
2024年6月20日 13:12
今日は珍しく他の人に便乗して三人組で山へまだ十歩くらいしか数えぬうちから早くもついていかれぬ気配に慌てて腰を立てなおしました広葉樹のなだらかな小径が次第に針葉樹の斜面にかわり傾斜が急になる度にまた腰を立てなおし踵で地面を捉えなおす軽く顎を引いて呼吸を深く保ちながら首はできるだけ自由に最適な次の一歩を探しながらときには鹿の
2024年6月19日 12:55
今日は駅に向かう途中藪の中にルリボシカミキリを見つけましたルリボシカミキリを見るとふっと思い出すのがとある博士の書いた本のタイトルとその中におさめられたお話の一つそれからそのお話を一緒に読んだ当時中学生だったある男の子のこと彼とはわたしが二十代半ばに田舎の家庭教師をしていたときに出会いほんの一時姉と弟みたいに過ごしたのだけどある