岩井圭也

小説家。このnoteでは「活字ラジオ」と題して、音声入力で作成したコラムを2023/6…

岩井圭也

小説家。このnoteでは「活字ラジオ」と題して、音声入力で作成したコラムを2023/6/17から毎日投稿しています。毎朝7時更新。直近約1週間分は無料公開しています。

マガジン

  • 活字ラジオ 2024年1月

    2024年1月分の活字ラジオです。

  • 活字ラジオ 2023年12月

    2023年12月分の活字ラジオです。

  • 活字ラジオ 2023年11月

    2023年11月分の活字ラジオです。

  • 活字ラジオ 2023年10月

    2023年10月分の活字ラジオです。

  • 活字ラジオ 2023年9月

    2023年9月分の活字ラジオです。

最近の記事

  • 固定された記事

このnoteについて

小説家の岩井圭也といいます。 このnoteでは「活字ラジオ」と題し、音声入力によって作成した1000字前後のコラムを2023年6月17日から毎日更新しています。 岩井圭也について 作家。1987年生まれ。大阪府出身。 2018年、『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。2023年、『最後の鑑定人』で第76回日本推理作家協会賞(長編および短編集部門)候補、『完全なる白銀』で第36回山本周五郎賞候補、『文身』でKaBoSコレクション2024金

    • その夜妻は「会社、辞めてもいいよ」と言った

      10年勤めた会社を退職しようと決意したのは、ちょうど2年前のことでした。 当時、僕はデビューして4年目の兼業作家でした。ありがたいことに複数の出版社から声をかけていただいていましたが、作品が文学賞の候補になることもなく、大きな話題になることもありませんでした。今だから告白できますが、その時点で8冊ほど本を出して、一度も重版がかかったことがありませんでした。 そのような状況だったので、会社員の仕事を辞めて作家1本でやっていくということは、全く想像もしていませんでした。しかし

      • 青春のスープカレー

        僕は高校3年生まで大阪に住んでいて、大学進学を機に札幌に引っ越し、そこから6年間住んでいました。その6年間ですっかり札幌名物のスープカレー好きになってしまい、就職で関東に来てからもスープカレーのお店を探してはちょくちょく足を運んでいます。 最近のお気に入りは、綱島にあるらっきょ&Starというお店で、東急東横沿線に行く時は必ずと言っていいほどランチに立ち寄っています。(画像のスープカレーはこちらのお店です) なんでスープカレー好きになったのか記憶を紐解いてみると、最初の出

        • 作者による『楽園の犬』解題

          僕は今まで作品の執筆経緯を紹介することはあっても、作品のテーマそのものに関して解説することはほとんどありませんでした。というのも、小説は刊行された時点で作者の手を離れているもので、読者の方がどう読もうが100%自由だというのが僕の考えだからです。作者が「この作品のテーマはこうです」と解説しすぎてしまうと、自由な読みが制限されてしまう。そのことが非常に気になって、僕自身は自作解説をすることがありませんでした。 ですが、今回初めて、昨年9月に刊行した『楽園の犬』という小説につい

        • 固定された記事

        このnoteについて

        マガジン

        • 活字ラジオ 2024年1月
          31本
          ¥300
        • 活字ラジオ 2023年12月
          31本
          ¥300
        • 活字ラジオ 2023年11月
          30本
          ¥300
        • 活字ラジオ 2023年10月
          31本
          ¥300
        • 活字ラジオ 2023年9月
          30本
          ¥300
        • 活字ラジオ 2023年8月
          31本
          ¥300

        記事

          うつのみや大賞を受賞しました!

          昨日発表されましたが、『楽園の犬』(角川春樹事務所)という作品が、うつのみや大賞の文芸書部門を受賞いたしました。 うつのみや大賞というのは、石川県内に書店を展開されているうつのみやさんが独自に開催されている賞になります。今回で13回目ということで、他の候補作は『十戒』と『よき時を思う』でした。店頭でのお客様の投票と、X(旧Twitter)でのいいねの数を合計して大賞を決める、という仕組みです。 書店主催の賞をいただくのはこれが2度目でして。昨年は『文身』が勝木書店さんのK

          うつのみや大賞を受賞しました!

          豪快に遊ぶ作家がいなくなったのは

          先日編集者と話していて、先輩作家の豪快な遊び方の話になりました。銀座とか沖縄にある有名なクラブのエピソードとか、いろいろ聞かせてもらいました。 こういうエピソードって少し前の売れっ子作家(男性)にはつきもので、作家として売れると顔なじみのクラブやキャバレーで粋にお金を使うというのが一つのモデルケースというか、憧れとしてあったと思うんですけれども。そういう大人って確かにかっこいいと思う面もありますし、余裕や風格を感じることもありますよね。 一方で、自分がそうなりたいのかと問

          豪快に遊ぶ作家がいなくなったのは

          本を読んでいると「すごいね!」と言われてしまうことについて

          今日は頂いた質問にお答えしていきます。なお、岩井への質問はこちらからいつでも、どなたでも、どんな内容でも投稿していただけます。(質問の採否は岩井にお任せください) 本日お答えする質問はこちらです 「活字ラジオ」毎日楽しみにしてくださってありがとうございます! 質問いただいた件ですが、僕もよくわかります。読書が趣味って言うと「すごいね」って言われたり、本を読んでると「難しそうなの読んでるね」って言われることありますよね。おっしゃる通り、自分としてはいち娯楽として楽しんでい

          本を読んでいると「すごいね!」と言われてしまうことについて

          三日坊主で終わらないようにするには

          今日は頂いた質問にお答えしていきます。なお、岩井への質問はいつでも、どなたでも、どんな内容でも、こちらから投稿していただけます。(質問の採否は岩井にお任せください) 本日お答えする質問はこちらです。 はじめに、誤解のないようにご説明しておこうと思います。この活字ラジオは毎朝7時に更新してるんですが、7時に投稿のボタンを押してるわけではなく、予約投稿の機能を使っています。だいたい前日とか前々日に準備して、予約投稿しておくということが多いですね。実際の朝7時には別の作業をして

          三日坊主で終わらないようにするには

          書くことと、忘れること

          僕たちは日常的にSNSやメール、勤め先や役所の書類、日記や手帳などいろいろなものを「書く」ことで毎日を過ごしています。ではなぜ、僕らは物を書くのか。一介の物書きとして、僕はずっとそのことが気になっていました。 岸田奈美さんの「忘れるという才能」というエッセイに、次のような一節があります。 忘れてしまうから、人間は書く。これはすごく腑に落ちる説明です。僕もこの「活字ラジオ」をやっているのは、自分がその時々で考えてることを記録するためです。僕自身もすごく忘れっぽい人間なので

          書くことと、忘れること

          「小説で書く」という言葉の意味

          一昨日、「森村誠一・山村正夫記念小説講座」の開講記念として行われた、受講生の方向けの鼎談に呼んでいただきました。名誉塾長の今野敏先生、OGの新川帆立先生と3人でお話をしました。すごく楽しかったですし、僕個人としても勉強になる時間でした。 その中で今野さんが繰り返しおっしゃってたのが、「小説を書く」のではなく「小説で書く」んだということです。

          有料
          100

          「小説で書く」という言葉の意味

          才能と努力、どちらが大切か?

          今日は頂いた質問にお答えします。なお、岩井への質問はこちらからいつでも、どなたでも、どんな内容でも投稿することができます。(質問の採否は岩井にお任せください) 今日お答えする質問は、こちらです。

          有料
          100

          才能と努力、どちらが大切か?

          創作活動と「長距離走者の孤独」

          この一節は、アラン・シリトーの小説「長距離走者の孤独」から引用しました。短編集『長距離走者の孤独』(新潮文庫)に収められた表題作なんですが、非常に良い小説で僕も愛読しています。

          有料
          100

          創作活動と「長距離走者の孤独」

          「書物固有の快楽」とはなにか

          水村美苗という作家が、「この世紀末、文学に希望が持てるか」というエッセイでこんなエピソードを紹介しています。(ちくま文庫『日本語で書くということ』所収)1991年、京都大学で著者が講演をしている最中のことです。 今から30年以上前のエピソードですけれども、これに対する著者の回答が実に奮っています。少し長いですが、引用させてもらいます。

          有料
          100

          「書物固有の快楽」とはなにか

          専業作家と健康習慣

          今日は頂いた質問にお答えしていこうと思います。なお岩井への質問は、こちらからどなたでも、いつでも、どんな内容でも投稿できます。(質問の採否は岩井にお任せください) 今日お答えする質問はこちらです。僕から紹介するのはちょっと恥ずかしいんですけれども……

          有料
          100

          専業作家と健康習慣

          「負ける建築」と「負ける文学」

          隈研吾『負ける建築』(岩波現代文庫)を読みました。福井市の勝木書店さんで購入した本です。

          有料
          100

          「負ける建築」と「負ける文学」

          『われは熊楠』が著者の手を離れました

          先日、5月15日に刊行する新刊『われは熊楠』が著者の手を離れました。かなりギリギリまでやらせてもらったんですけれども、著者がやるべき原稿作業はこれで終了なので、あとは刊行されるのを待つばかりという段階です。

          有料
          100

          『われは熊楠』が著者の手を離れました