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第171回直木三十五賞、受賞ならず

昨日は第171回直木三十五賞の選考会が行われ、一穂ミチさんの『ツミデミック』(光文社)が受賞作に決まりました。ノミネートされていた拙著『われは熊楠』は受賞ならずでした。詳しくは各種報道をご覧いただければと思います。

残念ながら受賞はできなかったんですけれども、初めて直木賞にノミネートされたことで、その反響の大きさが実感できました。本当にいい経験ができたと思いますし、候補にしていただいたこと自体が貴重な経験だったと思っています。

昨日は編集者の皆さんに集まっていただいて、都内で待ち会をやりました。文学賞の候補になるのはこれが4回目なんですけど、僕は今まで大々的な待ち会を開いたことがなかったんです。だいたい担当編集者の方、あとは主催の版元があったらそこの担当者の方と待つという、最小限の人数で待機していたんですけれど。一度くらいは大きい待ち会をやってみたいということで、今回初めて各社に声をかけて20名くらいでやりました。

今まで待ち会をやらなかったのは、落選した時の気まずさが嫌だったからなんですよね。もちろん、受賞した時の盛り上がりはすごいんだと思うんですけど、「落選してしまいました」となった時の沈黙や静寂に耐えられないんじゃないかということで、最小人数でやっていました。

昨日はワンフロア貸切でやらせてもらって、最初は静かな立ち上がりだったんですけど、会が進むにつれてどんどん盛り上がってきて、いい空気になったあたりで電話がかかってきました。電話を終えて「残念!」と皆さんにお伝えしたところ、その場にいた皆さんから一斉に、健闘を讃える拍手をしてもらいました。おかげで、想像していたような気まずい空気にはならずに済んだんですよね。これは集まった 編集者の皆さんが場を温めてくださったおかげだし、僕に気まずい思いをさせないように、という気遣いだったんだと思うんですが、僕も過剰に落ち込むことなく、その後の会も楽しく過ごせました。

僕が思っていたよりも、待ち会って和気あいあいとしたものなんだな、というのは、昨日初めてやってみて思ったところです。

参加してくださった編集者の方からも、「昔からの知り合いとずいぶん久しぶりに会えた」とか「異動してきたばかりだけどたくさんの編集者に挨拶できてよかった」と言っていただきました。待ち会をやるかどうかの判断は作家の意思に委ねられていると思いますが、必ずしも作家のためだけではないのかなとも思わせてもらいました。受け止め方として素朴すぎるかもしれませんが、裏を読むよりも、そこは言葉通り受け止めたいと思っています。

昨日は体調があまり良くなくて、お酒は飲めなかったんですけれど、もし次の機会があったら楽しいお酒を飲めるように、また今日から精進していきたいと思います。応援してくださった皆さん、ありがとうございます。

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