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今を受け入れ、他人と繋がりつつ自立する生き方

 承認欲求に振り回されていた私

他人のことを気にしてはいけないと、頭では分かっているものの、つい嫉妬してしまう。私はそんな人間だった。仕事で誰かが称賛されていると、つい聞き耳を立てさえすることすら。そんな自分が嫌だったが、変えられないことの方がさらに嫌だった。

また、上司との関係にも悩んでいた。無理難題…とまではいかなくても、あれこれと依頼され続ける中で、それに応えるのに辛さを感じるような状態。そんな中、ただこの本が売れているというだけで、中身をよく知らずに手にとった。

私にとって、どのような本となったか。思わず時間を忘れて読み込み、持つ手が震えだすような、強い感動とともに人生を変えられる予感を持てる本だ。そこから得た重要な学びを抜粋していく。

他人を仲間と認識しつつも、課題を分離する

他人は他人の人生を生きている。私の人生を生きているわけではない。つまり、自分の敵ではなく、嫉妬の対象ではない。むしろ、個々人がその人自身の人生を歩んでいるという点で、実は他人は仲間だと言える。

それぞれが、自分の人生における固有の課題を引き受けている。実際には他人の課題なのに、無理に自分のものだと勘違いしてはいけない。最終的な責任の行き場を考え、自分に来るものを見出し、適切に課題を分離する。そして、自分の課題を解くことにフォーカスしさえすれば良い。

もし逆に、課題を分離できていなかったらどうなるだろうか。その場合、自分の人生を全うことができず、他人の人生を羨むばかりになる。過去を悔やみ、未来を妄想するだけで、今ここに意識を集中することが出来ない状態に留まり続けることになる。

自己受容→他者信頼→他者貢献のループが、幸福を生み続ける

自分の課題を特定する際に、ひとつ気をつけなければいけない点がある。それは、等身大の自分を受け入れ、「今ここ」に存在する課題を引き受けることだ。自分が普段とは異なり格好良く難問を解いて、他人に称賛されるような妄想を考えてはならない。また、過去を悔やんだり、未来をただ不安がることは、全く意味のないことだ。

いま存在する等身大の自分を受け入れることで、他人と比較しなくなる。自分の損得ばかり気にする感情を抑え、自我に執着しなくなる。そうすると、他人が敵ではなく仲間となり、自分がその人から何を得られるか(または奪われるか)などを気にしない。

他人が仲間となるので、その人をありのまま信頼することが出来る。その人が自分に何をしてくれるかという保証は、もはや必要なくなる。担保を求めるなら、それは信頼でなく信用だ。この信頼が出来るようになれば、自由で素直な気持ちになれて、その人の役に立とうと思えるようになる。このようにして、他者貢献という過程そのものが自分に幸福感を生みだすのだ。他者からの承認ではなく、「他人の役に立っている」という一瞬一瞬こそが、自分の人生を充実させる。すると、いっそう自分を受け入れることができる。

実は、ここにループ構造がある。「自己受容」が「他者信頼」を可能にし、「他者信頼」が「他者貢献」を可能にする。そして「他者貢献」の過程のなかにこそ幸福感が生まれ、より深い「自己受容」に進むことができる。まさに、無理をせずしかし現実をありのまま受け止め、他人と仲間意識を持ちながらしかも自由に生き幸福になる哲学だ。人間という不可思議な存在を探求し人格を磨き上げる座右の書の一つとしたい。




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