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病院通いの憂鬱

15時50分。今日は16時半に病院の予約がある。病院は、家から歩いてちょうど20分。あと20分で、家を出なければいけない。
病院。それはメンタルクリニックという名前で、私は4年前からそこに通っている。たいてい2、3週間に一回。一度もさぼったことはない。

今日は14時に起きた。正確に言うと、10時に布団を出て、しばらくソファでうだうだしているうちに眠ってしまった。何度か目は覚めたけれど起きたくなくて、無理やりに眠り続け、もうこれ以上眠れないと諦めて起き上がったのが14時だった。

寝すぎて頭がぼうっとする。ぼうっとしながらコーヒーを淹れて飲み、昨日買った江國香織を読み、スピッツを聞き、残り物のフライドポテトを食べた。まともな食事をとる気力がなかったのだ。
昨日はざくざくしておいしかったポテトは、しなびてべたべたしていた。私は麦茶を飲みながら、それを無理にお腹に入れた。

病院が好きな人はあまりいないかもしれないが、私はこのメンタルクリニックがずっと苦手だ。
駅前の雑居ビルの一角にあり、古びたエレベーターでその階まで上ると決まって憂鬱な気持ちになる。

病院のフロアは明るく清潔だが、受付の女性たちはみな事務的で冷たい印象を受ける。
間違えてお薬手帳を出してしまったり、別の病院の診察券を出してしまったりして、「こちらは必要ないです」と言われると、私はいつも「怒られた」と感じてしまうのだった。

なにより、待ち時間。予約通りの時間に来ても、診察に呼ばれるまでは早くて30分、遅いと1時間半待つこともある。
いつ呼ばれるかわからないまま待ち続けるのは苦痛だ。たとえば、1時間半待つと最初からわかっていれば、ゲームをして待つこともできるが、次呼ばれるかもしれないと緊張しながらゲームをしても集中できない。結局無意味にスマホをいじって時間を潰すことが常だった。

歯医者や内科はすぐにさぼってしまう私が、メンタルクリニックだけは欠かさず通い続けているのには理由がある。
怖いからだ。
クリニックに通って薬を飲み始める前の私は、一晩中眠れずに起きていたり、肥大した被害妄想に苦しんだり、座っていることができず家の中を熊のように歩き回ったり、とにかく半分人間じゃないような有様だった。

いまはそれなりに人間らしい生活ができているが−–14時まで寝るのが人間らしい生活かどうかはさておき−−、病院をさぼり薬が切れたら、またあの半狂人に戻ってしまうのではないかと怖いのだ。

だから私は今日も病院に通う。合皮のソファも、オルゴールの音楽も、隣に座る人の気配も、到底好きにはなれないけれど。

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