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執筆秘話① 転職先は『うらめし屋』


0. この記事の内容

私が文学フリマで頒布してきたオリジナル小説が生まれたきっかけ・テーマなどを語っていきます。
第1回目の作品は、「転職先は『うらめし屋』」です。エブリスタで公開し、エブリスタ編集部のオススメ作品として新作セレクション10月22号に選んでいただきました。

別の記事にあらすじを書いているので、よろしければそちらもどうぞ~。

1. 書いたきっかけ

1-1. メンタルのリハビリ中だった

この作品を書き始めたのは2020年。
当時は鬱の症状が出ていて、メンタルクリニックに通っていました、仕事は週5日8時間のフルタイムではなく、時短で勤務する生活でした。
会社の理解や治療の甲斐があり、気分の浮き沈みはあるものの、活動する力が戻ってきました。
元気が出てくると、「とりあえず何かしたい」という思いになってきます。こういう時に何もしないと、かえってメンタルに良くないんです。ただ、労働時間をいきなりフルタイムに戻すと症状が悪化する可能性があり、その活動力を仕事にぶつけることはできません。
そこで、小説執筆にエネルギーをぶつけることにしました。

1-2. 心の整理

ストレスの原因はいくつかあったのですが、仕事・家庭環境・生い立ちなどが影響しているように感じていました。感じるのだけど、うまく思考がまとまらない。自分の感情の本質に近づこうとすればするほど、靄で覆い隠されてしまう。そんなもどかしい日々が続いていました。
無意識の自己防衛反応だったのだと思います。
そこで、自分の心と向き合う意味でも、物語という形で自分の抱えている問題をキャラクターに背負わせて言語化してみよう、と思ったのです。

1-3. 過去に執筆経験があった

時間と活動力があって、心の整理がしたいのは分かったけど、なんでその手段が「小説を書く」だったの?
という問いに答えるならば、昔やったことがあったからです。

2007年~2016年の間、「モバゲータウン」(現:Mobage)というサイトで小説を書くことができたのです。
※現在は「エブリスタ」に移行しました
サービス開始まもなくの頃、そこで小説書いていました。「事務局注目作品」といって、モバゲー事務局で推しの作品が毎日1作ピックアップされていたのですが、なんと私の作品がそれに選ばれたのです。あの時の感動は、今でも忘れていません。だって、小説など書いたことのない素人が、初めて書いた作品が注目されたんですから。
書いた内容がグロ系だったので、今では非公開にされていますが(笑)

あれからしばらく遠のいていたけれど、当時の経験が後押ししてくれて、またやってみようと思い至りました。

2. テーマ

2-1. 理不尽

この作品に限らずですが、私の作品にはほぼこのテーマが入ってます。
作中に男子高校生の幽霊が登場するのですが、この子にテーマを背負ってもらってます。ちなみに、彼が物語の中で経験することの半分は私の実体験をもとにしています。

2-2. 過去との決着

一部の記憶を失っていた主人公が思い出した過去、それは自己嫌悪に陥るような酷いものでした。酷い過去には違いない、それは疑いようのない事実。
けれど、事実と真実は違う。記憶のパズルを完成させてみると、印象が変わって見える。
誰しも嫌な過去はあるもの。でも、決着はつけられる。つけたい。つけてほしい。そんな思い(願い)を込めました。

3. 執筆で得られたもの

3-1. オリジナル作品を生み出すことの楽しさを思い出した

10年以上執筆から離れてしまいましたが、自分の世界観を自由に表現するのって楽しい! この感情を思い出せたことが一番の収穫でした。
鬱のせいでメンタルにダメージをくらってたわけなので、鬱になってよかったとは絶対に言えないです。が、鬱になってなかったら執筆していなかっただろうし、文学フリマにも出店していなかっただろうし、少なくともマイナスを帳消しにすることはできたのかな、と。結果論ですけどね。

3-2. 10年の時を経て、オススメに選んでもらえた

モバゲータウン時代に「事務局注目作品」に選ばれた話をしましたが、エブリスタでも「新作コレクション」に選んでもらえました。最初は自己満足で公開した作品が、こうして誰かの目に触れて。ましてやそれが運営側の方で。もうね、救われた思いでした。書いてよかった。

3-3. 文学フリマに出会えた

文学フリマに出会えたのは、『うらめし屋』を書いていたからなので、そういう意味でも書いてよかったなぁと思いました。

私が執筆していることを知った友人から文学フリマを教えてもらい、出店を勧められて、単純な私はやる気になりました。
そして、1年前の2023年9月10日に開催された文学フリマ大阪11。ここでデビューを果たしました。最初の1冊目を買ってくださったのは、男性の方でした。「Web版を読んで、自分の好きな作風だと思った」と仰っていました。もう……泣くかと思いました。

拙作を買ってくださった方に感謝。
出店を勧めてくれた友人に感謝。
文学フリマを運営してくださってる方々に感謝。

4. 最後に一言

文学フリマ大阪12に参加します。私の人生のターニングポイントとなった1年前の文フリ。そこから成長した姿を見せられたらと思っています。全力の感謝を込めて。

体重も成長してしまったのはご愛敬ということで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたひとの紹介

エブリスタNOVEL DAYSカクヨムで作品を公開している野良物書き。
2020年にエブリスタで公開した「転職先は『うらめし屋』」が新作セレクション10月22号に選出される。
2023年、同作品を自費出版し、文学フリマにて販売を始める。
吃音症で、緊張したり急な質問を受けると症状が出る。
「心を擦り減らした誰かに寄り添う」物語を書いていきたいと思っている。

◆作品
2023年9月10日発行「転職先は『うらめし屋』」
2024年5月19日発行「裏路地レトロ喫茶店~お食事おまかせにて承ります~」
2024年9月8日発行予定「みあれ! 神ガチャ」

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