見出し画像

ゴシップを追わない週刊誌編集は何をしているのか | 出版社入れたあとどうなの

こんにちは。光文社新入社員のKBです。
「女性自身」という週刊誌に配属になりました。
今回は #出版社入れたあとどうなの の第5回を書かせていただきます。
出版社の採用面接で、週刊誌志望ではない場合「週刊誌に配属になったらどうする?」という質問は聞かれがち。
この記事が対策の参考になればよいなと思います。

山あり谷ありの就活の話はこちらで↓


ゴシップを追うとは限らない!


私が配属になった女性自身の2折ニュース班では「張り込み」「直撃」は、基本行っていないようです。半グレとのヒリヒリするやり取りを期待していた方すみません!

※折…印刷する際のグループのようなものです。雑誌の外側の方のページを1折、内側の方のページを2折、さらに内側のページを3折というふうに呼んでいます。

そもそも女性自身は芸能ゴシップだけで構成されているわけではなく、節約術とかレシピとか美容とかインタビューとか美男美女のグラビアとか、心が潤う(!?)コンテンツもたくさん掲載されています。

そしてこの2折ニュース班は、政治、お金、医療系のニュース、芸能人インタビューなどを扱う班。具体的には「宝くじの当たる番号」「菅政権の動向」など――要するになんでも。そういうわけで、取材をする際はきちんと「取材依頼」を提出し、時間や場所を決めて行います。最近ではZOOM取材も多いです。

画像1

宝くじはめったに買わないのですが、周りの人が宝くじの企画で盛り上がっているので買ってみました。見事に外れ…。当たっても言いませんが。

仕事の面白みは「知らないことを知ること」

2折ニュース班の仕事は、大きく

❶企画を立てる
❷取材をする
❸記事の形にする

の3つに分けられます。
個人的には、❶と❷が一番大変で一番楽しいです。

└❶企画を立てる


2折ニュース班の企画会議は毎週月曜日の昼に行われます。そこに、編集者・記者が企画を提出。企画を考えるのは大変ですが、人のプランを読むのは「そんなニュースあったのか」とか「そういう結びつけ方をするのか」と面白く、毎週楽しみな日でもあります。私も早く面白い企画をばんばん出せるようになりたい!

この班だけで、だいたい毎週60本近くの企画が出されますが、その後実際に企画として生き残るのはだいたい4~6本。さらに、その4~6本には、デスクや編集長の神アイデアがトッピングされ、かなり強さが増した状態となって戻ってきます。時にびっくりするような方向性になっていることもありますが、面白くなっているので問題なしです(一度、占いではない企画が占いになっていた)。

最初のうちは、全然通らなかった企画ですが、少しずつ通るようになってきました。(今も通らない週はありますが…泣)
これが正しいのかわかりませんが、私の企画の作り方は

(A)「読者が興味ありそうなこと」を探す
(B)「自分が気になること」について読者が興味を持てそうな切り口を探す

の2パターン。

どちらも「読者」が大事なのですが、これをなんの参考もなく想像するとなると詰みます。往々にして想像とは全く違うためです。

たとえば書店にいくと、最近は「つみたてNISA」など、投資の本がたくさん売っています。では、老後資金に悩む女性自身の読者に、投資の記事がうけるかというとそうではない。実際は「投資はやっぱり怖い、私には投資するような余剰資金はない」と思う方が多いのです。

「世間と読者は、違う」ことにしばらく気づかなかった私。何本も投資の企画が消えていきました……。(私の投資知識はかなりついて、つみたてNISAをはじめました!)

このギャップを埋めるのがいわゆる読者調査といわれるもので「そうなんですか!?」の連続です。読者調査についてはシカマルさんが詳しく書いていますので、ぜひ読んでみてください。

└❷取材


晴れて企画が通ったり、記者さんが通した企画の担当編集になったりすると取材をします。私が、一番純粋に楽しいと思うのはこの取材です。どんな意見であれ、その道のプロの方のお話を聞くのは、知らないことばかりで楽しい!

「不妊治療の保険適用」について取材した際には、世間的には喜ばれているこの動きにおいてスルーされている問題点を教えてもらい、個人的にも勉強になりました。また、先日行った「膝痛」の取材では記者さんが膝の痛みを取ってもらっていましたし(私の膝が痛くなかったのが悔やまれる)、レシピ系の企画ではその料理を実際に食べさせてもらうなど、超面白いです。

女性自身の場合、基本的に取材を進行してくださるのはベテランの記者の方なので、だいたいうまくいきます。でも、どんな人と組んでも「自分がディレクションすれば質の良い記事にできる」ことが大切だと思うので気を抜かないことを意識する日々です。

いい質問ができて議論が深まったときは心の中でガッツポーズ。一方で、「これ聞き漏れていた……」ということが取材後にわかると「なんて無能なんだ……もう二度としないぞ!」と反省……。

画像2

手作りマスクの作り方の記事を作成した際は、実際に記者の方とマスクを作成。柄は鬼〇の刃にあやかりました。

└❸記事にする

 第1回のモリ―の記事にあるとおり、タイトル決め→レイアウト作成→原稿作成、という流れで記事を作ります。どれも大切ですが、一番大事なのはきっとタイトル。「読まれない記事に価値はない」と言われたことがあるのですが「えっ?」と思うようなタイトルじゃないと確かにスルーしますよね……。WEBニュースのタイトルに過激なものが多いのはそのためではないでしょうか。
 私は文章を書くのがとても苦手なので、配属当初の原稿は地獄だったのですが、上司の丁寧な指導のおかげで、最近はかなりマシになってきた…と思っています。

記事作りについて詳しく書かれたモリ―の記事はこちら↓


 そういうわけで、宝くじを買ったり、膝の痛みを取る体操をしたり、マスクを作ったりしているのが、ゴシップを追っていない週刊誌編集者の仕事です。記者、読者、専門家……とかかわる人も多く、毎日、新たな発見の連続です。もともと狭い心が、ちょっと広くなったかもしれません。


いろんなテーマや人に触れられる週刊誌は、「知りたがり」の人には、楽しい職場ではないかなと思っています!

この記事が参加している募集

オープン社内報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?