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昔もいまも、絵本が大好き ~読んで空想にふけった、想像力をかきたてられる名作

 私は昔から絵本が大好き。これまでにも、お気に入りの絵本をnoteで紹介してきました。今回は、子どものころに読んで想像力をかきたてられた名作をピックアップしてみます。

 まずは、『ももいろのきりん』(福音館書店)。
 中川李枝子・作、中川宗弥・絵、1965年に刊行された作品です。いまでも手に入るロングセラー。

 主人公の少女るるこは、お母さんから、部屋いっぱいになるくらいの桃色の紙をもらいます。その紙でるるこが作ったのは、大きなももいろのきりんでした。キリカと名付けられたそのきりんは、おしゃべりできるし、動けます。るるこを背中にのせて走ってみせたり。
 でもある日、雨でキリカの桃色がはげてしまい、塗り直すためにふたりは「クレヨン山」へ向かいます。そこで動物たちと出会い――。
 紙で工作したきりんが友だちになってくれて、背にのって遊べるなんて、うらやましかったです(笑)。
 私だったら水色の紙で馬をつくって……それとも大きな鳥がいいかな、と、ひとりで勝手に想像の世界を広げていました。
 クレヨン山での冒険ストーリーもユニークだし、ちょっと不思議な魅力のある絵本です。

 次は、『モチモチの木』(岩崎書店)。
 斎藤隆介・作、滝平二郎・絵、1971年初版の有名な作品です。これも、いまでも手に入るロングセラー。
↓現状、amazonで試し読みができます。

 峠の小屋で、おじいさんとふたりで住んでいる豆太は、夜中にひとりでトイレにも行けない臆病な少年。小屋の外には気味の悪い大木、モチモチの木がそびえています。その木には年に一度、灯がともり、勇気のある子どもだけがそれを見られるという言い伝えが。
 ある晩、おじいさんが腹痛で苦しみ始め、豆太は医者を呼びに行くために、怖くて泣きながらも夜の山道を走ります。そこで目にしたのは――。
「誰かのためにやらなければ」という気持ち、すなわち優しさから勇気は生まれるのだというテーマが美しく、それが、クライマックスで出てくるモチモチの木の灯の美しさから、静かに、深く伝わってきます。
 枝いっぱいに灯をともしたモチモチの木の絵は、とても神秘的で大好きでした。いまでも記憶に刻まれています。

 同じく斎藤隆介&滝平二郎コンビの絵本は、ほかにも何冊か持っていました。『花さき山』(岩崎書店)も、好きだったなぁ。

 この物語も、優しさがテーマです。ヒガンバナに似た、幻想的な花が山奥に咲く場面の絵がきれいでした。1969年初版だから、『花さき山』のほうが『モチモチの木』より先なんですね。
 モチモチの木に灯がともるところや、花さき山に咲く花を、実際に見てみたいと思いつつ、私はイメージのなかで再生して楽しんでいました。

 最後は、『おおきな木』(あすなろ書房)。
 シェル・シルヴァスタイン著の、よく知られている作品だと思います。私が子どものころに読んだのは、ほんだきんいちろう訳の1976年版でした。
 現在は、村上春樹の翻訳で新版が出ています。

↑このamazonのページに出ている、村上春樹のあとがきがまた、心に沁みます。
 成長していく少年と、それを見守る1本の大樹の物語。少年は求め、木はすべてを与え――。
 私は小学校高学年か中学生くらいで読みました。それからずっと大切にしていた一冊です。何度か人にプレゼントしたこともありました。
 はじめて読んだころは、この大樹のように生きたいと思い、大人になるにつれて、それはとても難しいことだと気づき、いま読めばきっといまなりに別なことを考える。あとがきで村上春樹が書いているとおり、そのときの自分を映す鏡のような絵本だと思います。



◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから、あい(ai_kotoba)さんの作品を使わせていただきました。ありがとうございます。

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