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心はずっと痛かった

やわらかいふわふわした布のようなもので
そっと包んで触らないようにしているけれど
心の奥の心がずっと痛い
子どものころからずっと
焼けただれたみたいになってひりひりしている

ことばの矢とか激烈な感情とか
そういった負のものをぶつけられすぎて
たぶんもう、もとには戻らない
そんな焼け野原が
心の奥にずっとある
ふだんは奥の奥の静かな湖の底のような場所に
そっとしまって触れないようにしているけれど
痛くないわけがなくて
たんに痛みを抱えながら
生きるのになれてきただけ

心が揺れたり はっとしたり
ふとしたはずみに
痛みは大きな翼を広げて
私の胸を包んでしまう
いっそ沈んでしまえたら
とも思うけれど
痛いまま生きようとする
だから苦しい いや きっと
沈んでしまったらなお苦しいのだろう
だから 痛いままでも生きようとする

そして
私は痛みにささやきかける
ずっとそこにいていいんだよ
消えてなくならなくていいんだよ
あなたは私自身
抱えて一緒に生きていくから

だけど できるなら
あまり苦しめないで
手をつないで生きていこうよ
痛みが強みになるときだって
あるかもしれないんだから

憎しみはいさかいを引き起こし 愛は背きのすべてを覆い隠す。

箴言10:12 旧約聖書 聖書協会共同訳


◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから
あい(ai_kotoba)さんの作品を使わせていただきました。
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