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辞書を引くときは、イモヅル式で

 私は毎日、かなりの回数、辞書を引きます。今日もすでに20回以上(いや、もっとかも。日常のことなのでちゃんと数えていませんでした……)、言葉の意味を調べています。

 知っている、と思っている単語でも、意味を正確に言えるだろうかと自問すると、案外できないもの。WEBの記事や本などを見ていて、あるいは夫と話していて、自分のなかですこしでも意味を正確に把握できていないと感じた単語は、できるだけその場で辞書にあたるようにしています。

 30代の前半頃に始めたもので、もう20年近く続けている習慣です。

 紙の辞書を引く場合は今でもあります。一時期は電子辞書を使っていました。
 でも近年は、WEBで「〇〇 意味」として検索することが多いです。コトバンクやgoo辞書などの辞書検索サービスは非常に頼りになりますし、WEBなら類義語も調べやすいので便利だなあと感じています。

 この習慣を続けて良かった点は、語彙が増えたことと、言葉に対する感覚がシビアというか繊細になったこと。

 まずは単純に、言葉を調べた分だけ語彙が蓄積されていきます。
 ただ、それだけではなく、思わぬうれしい副産物がありました。
 辞書に出ている解説文は、これ以上ないくらい合理的で正しい日本語です。それを繰り返し読んでいるうちに、日本語の感覚が磨かれて、言葉をより繊細に扱えるようになってきたという実感があります。

 私の場合は辞書を引くとき、「イモヅル式」を心がけているので、そのおかげでもあるかもしれません。
 イモヅルとは芋づる、つまり「芋づる式」です。

 たとえばWEBで「芋づる式 意味」と検索してみます。たくさんヒットしてきますが、まずは検索上位に出てくるコトバンクを開いてみると、「芋づる式」には2種類の辞書による解説が表示されています。

 ひとつめは精選版 日本国語大辞典より。

精選版 日本国語大辞典「芋蔓式」の解説
いもづる‐しき【芋蔓式】
〘名〙 (芋蔓をたどっていくと次々に芋がみつかるように)ひとつのことから、それに関連する多くのことが次々に現われること。また、次から次へと手づるを求めること。

 そして、デジタル大辞泉。

デジタル大辞泉「芋蔓式」の解説
いもづる‐しき【芋×蔓式】
蔓をたぐると芋が次々に出てくるように、多くの出来事が関連して続くこと。 

 どちらも、このあとに使用の例文が続いています。長くなるので引用を控えましたが、それらもまた、勉強になります。

 そして、ページのいちばん下には、「関連語をあわせて調べる」という項目があり、「蔓」という単語がリンク付きで出ています。これをクリックして蔓の意味を確かめてみるのも一興です。
 今回、私は上の解説文にある「手づる」がいまひとつ正確に意味を把握できていない気がするので、まずはそちらを調べることに。「手づる」を範囲指定して右クリックすると、いろいろある操作候補のなかに「サイドバーで“手づる”を検索する」があるので、それを選択。

 サイドバーに表示されたリストから、またコトバンクやgoo辞書、あるいは他のものを選んで……というふうに、まさに蔓をたどって芋を次々掘り出すように、言葉を調べていきます。

 コトバンクやgoo辞書は一度開くとページの上部に検索欄がありますから、そこを利用して次々と検索していく場合もあります。

 イモヅル式の辞書検索はとにかく楽しい!
 知っていると思っていた単語に「へえ、こんな意味や用法があったんだ」と新たな顔を発見することもあります。もちろん、知らなかった言葉を知るきっかけになることもあります。

 あまりやりすぎるとそのとき執筆している原稿が進まなくなるため、ほどほどで切り上げるのですが、時間さえあれば飽きるまで続けていたいかも。

 最近はライティング講座の講師をやらせていただいたり、アドバイザーとして関わっている企業の若いメンバーに原稿制作のあれこれを教えたり、自分のスキルを伝えていくお仕事が増えてきました。
 そうしたお仕事の場では、タイミングを見て、イモヅル式の辞書検索をおすすめするようにしています。これまでの経験では、意外とすでに実行されている方がおらず、「やってみます!」と好反応をいただけます。

 あれ? と思った言葉は調べる癖をつける。
 せっかくならその次に、もうひと手間。
 ひとつかふたつ関連して調べてみるだけで、言葉の世界が広がっていきます。


◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから、
てっちゃん(satomigoro)さんの作品を使わせていただきました。
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