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我々は人間なのか? デザインと人間をめぐる考古学的覚書【BNN新社】

ビアトリス・コロミーナ マーク・ウィグリー 著 牧尾晴喜 訳
A5変型判/320頁/3,000円+税

本書は、先史時代(石器)から現代(ソーシャルメディア)に至るまでの、人間と人間が作り出した人工物(artifact)の関係性を照らし出すことで、現在の私たちが理解している「人間」と「デザイン」の意味に揺さぶりをかけます。
ダーウィンやプレストウィッチらによって発見された、生物学的・考古学的な「人間」。
その人間像や工業化に影響を受けた、実はポスト・ヒューマン思想への反応である近代デザイン。
こうして19世紀に見出されたデザインから、アメリカでつくられたグッド・デザイン、そして20世紀を代表するデザイナーであるル・コルビュジエやチャールズ&レイ・イームズたちへ......
デザインの変遷をたどることで、よいデザインは「なめらかさ」という麻酔であること、そこには「欲望」や「亡霊」が隠されていることが暴露されていきます。著者の歩みはそこで終わることなく、生命すらデザイン可能なバイオテクノロジー、携帯電話とソーシャルメディア......と、現在私たちが生きる「デザインの帝国」を問い直します。
第3回イスタンブール・デザイン・ビエンナーレのエッセンスを凝縮して新たに展開させた本書は、デザインという鏡に映る私たち「人間」の姿を追い求めます。その導き手となる問いこそが、 “are we human?”(我々は 人間 なのか?)なのです。

プリンストン大学建築学部で教鞭をとるコロミーナと,コロンビア大学GSAPP学部長のウィグリーが,第3回イスタンブール・デザイン・ビエンナーレの準備期間中に考えたことをまとめた本書.
本のタイトルにもなっている問いかけは,ビエンナーレのテーマとも呼応するものだ.先史時代の石器から,人間の身体,バイオテクノロジー,ソーシャルメディアまで,本書で語られるデザインの範囲は広い.

「デザインを語ることは人間という種の状態について語ることである」
という彼らの主張通り,デザインを鏡として人間の本質をあぶりだそうとする1冊.(n)


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