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はいっ 混雑しております-空想会話

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団子A:ちょっとぉ~、なんでこっちに入ってきたのよ。火にあたれないじゃないのよ。

団子B:知らないわよ。旦那が勝手にこっちに動かしたんだから。
私の焦げ具合みて、もう大丈夫だって思ったんでしょ。
全然、大丈夫じゃないわよ、焦げ目がついた部分なんて下のほうだけよ。
上なんでまだまだ白いのに。
「へいっ、らっしゃない」なんて言いながら、カッコつけて移動させただけなのよ。
どうせ私の焼き具合よりその仕草で客惹きつけようって魂胆でしょ。

団子A;そんなこといったって私まだここに入っていて一分もたってないよの。
そんな私の前にあなたが来たんじゃ、私だって焦げ目つかなくなっちゃうわよ。

団子B:だから知らないって言っているでしょ。
動けるならわしだって動きたいわよ。隣の居眠りが私に傾いてきているんだから。
自分の重さに耐えるのも必死な串にしか刺さっていないのに。

団子A:本当何よ、こんなに差し込んじゃって。
粋になりすぎよ、いつもと数が違いすぎるじゃない。
こんなに刺すからみんなの面倒、見られなくなるのよ。

団子B:確かに旦那いつもより張り切っているわよね。
なんだか客の量も違うみたい。

団子C:休日だよ、休日。

団子A:あぁ~、どうりでね。
にしても嫌だわ、こんなに混雑した場所で焼かれるの。
もっと手間かけて、大切に育ててほしいのに。
私、いついい頃合いに色づくのかしら。

団子D:君なんていいよ。
それでもまだ火にあたれる。
僕はどういうわけか最初に刺された時から輪の端で・・・・。
僕はもうずっとここに刺されているのに旦那に見向きもされないで焼き目もつかない。
忘れられている。

団子A:あぁ~、確かに乾きはじめれているわねぇ~。
お気の毒様。

団子B:ふふっ・・・。
でもなんだかこの姿、カルトの集会みたいね。
みんな同じ形して、同じ色合いで、同じように突き刺され、同じ方向に願いを込めて。
前のほうの傾き加減なんて、世界に入っているみたいじゃない。

団子C:ふふっ、そしてみんな捧げられ、食べられるとは知らずして・・・。

団子A:怖っ、現実。

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