やっぱり疲れているんだ 私-空想会話
えー慣れているのよ。
都会での生活。
だって生まれは新宿よ。
自然あふれる田舎生活とコンクリートジャングルの都心、どっちが故郷かって言われればもちろん後者よ。
だから私は慣れているよ。
こういう鬱屈した社会に。
慣れていないとおかしいはずなのよ。
だってカブトムシは本気でデパートで購入しないと手に入らない虫だと信じていたんだから。
なのに・・・
フッ
おかしいわよね。
私、自分の居場所で生活してきたのよ。
生きてきたの。
普通にね。
会社の同僚から山に行こうって誘われたの。
えーっ、どうして何もない場所行って疲れることしないといけないのぉ~。
声を高らかに反抗したわよ。
でも本気で誘ってくれたから私だって「わかったわよぉ」ってなったのよ。
そしたらこれよっ。
この景色。
何なのよ、やっぱり何もないじゃない。
何もない空と山の間に囲まれた小さな町が見えるだけの景色よ。
・・・・・・・
なんだか私、支配されていのかな。
余計な感覚に。
ずっとこの景色を見て言葉を失い、心に空間ってものが生まれたの。
そんな私を同僚はずっと後ろから見守ってくれたのよ。
私が振り向いたときは笑顔でうんうんっとうなずいていたりして。
何よ、何様よ。
でもありがとうね。
私のこと気遣ってここに連れてきてくれたんだね。
はーっ、やっぱり疲れているんだ 私
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