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興奮して雪の中

私と夫の共通の趣味の一つに合気道があります。

夫に誘われやってみたものの、体の動きや姿勢、技など覚えることが多く、さらに変化する環境も影響したのかさほど楽しいと思えず、フィットネスの一環から抜け出せずに長年過ごしていました。

しかし5年前に再びに夫の誘いで合気会合気道本部道場に通うになってから世界は一転。

素晴らしき先生の元、国内外問わず終結する生徒さんたちの高クォリティーな稽古に触れてから楽しくて仕方がありません。

最初は「週3回行ければいいね」が気が付いたら所属道場も含め3つの道場で稽古をする身、週6楽しむようになっています。

いつもは冬の時期、夫の母国であるニュージーランドで過ごすのですが、コロナになってから訪れることが出来ていません。

さらに以前に投稿した「ニュージーなクリスマス:家族のみ編」ではやっとの思いで2月下旬にニュージーランドに飛び立てるようになったことをお伝えしましたが、なんと12月下旬、“オミクロン、ニュージーランド上陸”のせいで再び政府が隔離ホテル理由の規制をかけてしまい、航空会社が私たちの大切な航空チケットを自動キャンセルされてしまいました。

トホホ・・・なんてこった。

隔離ホテルが必要という割にはその後、政府からのアナウンスは一切ありません。

振り回されっぱなしで疲れますが、チャンスがあれば行きたい思いに変わりなくチャレンジはまだまだ続きそうです。

話が飛んでしまいましたが、そんなこともあり昨年から日本での寒い冬を「寒い、寒い」と言いながら過ごしています。

おととしは行事などはキャンセル続きでしたが、昨年は結構開催され、年末には越年(年越し)稽古にも参加させてもらいました。

大晦日、23時半に集まり元日0時半に終わります。始まる前と終わった後は寒さに震えるが、稽古中は汗かくほど夢中でおこなうことが出来ました。

そして年初め通常稽古は1月6日です。

当日、朝起きて、シーツや枕カバーを洗って干した後、天気予報を見てびっくりです。

「都心部に雪が降る」

ーーおいおいおいおいっ

ずっとお天気が良かったので、そんなことになるなんてとアタフタ。

慌ててネット天気予報で確認しましたがどうやら間違いなさそうです。

それもちょっとでは済まず、積もるとか言っています。

他の曜日は午前中に行く稽古ですが、木曜ばかりは夫の都合で15時からの稽古に参加しています。

雪はなんと10-21時まで降る予想になっているじゃありませんか。

ーー大変なこった。

仕事上、外に出ないといけない用事は朝早くに済ませます。外は1℃しかないから凍えながら移動。

だけど雪降る午後は0度のようです・・・。恐ろしやっ。

11時ごろ外を見たらちょっとした雪が待っているという感じ。

12時には視覚で確認できる雪が降り始めましたが、その量は多くないのでこの程度から大丈夫だろうと勝手な判断です。

そしてなぜか興奮している私。

振り続ける雪に変ないつもはどこかに旅しているやる気根性が湧きたちます。

13時そして14時が近づくとと状況が変わり雪が強くなり、木の上や地面に降り積もっているじゃないですか。

夫は仕事が忙しいこともあり、行くがどうか悩み始めていましたが、だけどもう私は行く気満々。

「行かないって言わなかったからもう準備しちゃったよ」

「わかったよ」

そして雪が降る中、用意を済ませ、レインコートを着て互いに自転車に乗り道場へと向かいます。

雪粒は大きく、自転車を漕ぐとたくさんの粒たちが自分に向かって突進してくるように見え、それがまたナイス迫力感。

夫に言われて眼鏡をかけておいたせいで、それが目に入ることは免れました。

道にも雪が積もっており、点字ブロックの上は非常に滑るので注意しながら漕ぎ続けます。

どうにか道場に辿り着き、一安心。

雪降る中、興奮して集まったのは私たちだけではなく、多くの人の姿。

外は0度、換気のため窓はいくらか開いていて、雪が道場に入り込みます。

そんな時に私たちはといったら、道着に袴という真夏と変わらぬ恰好で正座しながら稽古開始を待っています。

ーー寒い。あっ、足つっちゃった。

しかし稽古が始まると素晴らしきパートナーと共に夢中になり止まることなく動き続けます。

息はあがり、稽古が終わるころには汗びっしょり。

そして思うんです。

ーー今日も来てよかった。

稽古の時はマジックがかっているので、温度なんてどうでもいいのでしょう。

だけど終わると別です。

袴を畳みながら寒さを覚え、更衣室に行くまでの通路で汗かいた道着は冷めきり、「死んじゃうよ」などとたわ言を言いながら足早に歩きます。

仲間と互いの健闘を褒め合い、がんばって道場に来たことを先生に伝えると微笑んでくれたら嬉しさも倍増です。

ただし残念ながら外に出ると雪はさらに積もっており、道場前でも指導員たちが雪かきをしています。

ーーありがとう。ご苦労様です。

レインコートに着替えて、帽子と手袋をして自転車にまたがる私と夫に声がかかります。

「自転車、気を付けてくださいよ」

自分たちもそうするつもりだったけど、こう気を使ってもらえることは嬉しい限り。

「はーい」

元気よく答えます。

「ゆっくり走ろうね」

互いに確認し合い、自転車を漕ぎ始めます。

それはソロリソロリ、ノロリノロリと。

下り坂では歩行者通路を自転車を引きながら歩きましたが積もった雪にハンドルがとられるので、車道へと出て車が溶かしてくれた道を進むことに。

車もゆっくりだから問題ありません。

曲がり角で二度ほどタイヤが滑ってしまったが、とりあえずは問題なく家へと到着。

「さみぃ、さみぃ」と言いながら部屋へと急いで、一息つく。

「行ってよかったね。」

「うん」

自然に挑むことはあまり好きではないです。

だけど今日の雪が私を突き動かしました。

「この体験を楽しんで」と。

お陰様で充実した時間を得られました。

苦境の中、行くのか楽ではありませんがやり遂げた感はひとしおです。

昔から冬は体調を崩しやすい苦手でした。

だけど規則正しい生活を続けていたら健康的になり、寒い日でもちゃんと起きて充実した一日を過ごせるようになりました。

がんばっている自分を褒められる機会に満ちた季節。

思ったほど、冬も悪くないですね。


無空真実の電子書籍です。よろしくお願いします。


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