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小山伸二
2016年4月30日 22:11
鉛筆で詩を書くひとはどんなひと中央線で西にむかって麦畑につづく道に迷ってしまい途方にくれて四月の雲を眺めるひとだ鉛筆で詩を書くひとはどんなひと死んだ恋人が忘れられなくて来る日も来る日も記憶を茶筅でかき混ぜるひとだ遠い故郷の防波堤のうえをぼくは全速力で走った潮風を全身であびるために居なくなったひとに会えるかもしれない子犬たちを連れて散歩に出たままそれっきり帰って来ない
2016年4月5日 01:33
その町に住んでいるひとから 写真が届く 帰る場所が見えない 映り込んでいるひとの気配 もう居なくなった影もあるんだね アンサーはいらないよ クエスチョンも見えない世界だから 里山から届いた きちんと箱に収まった山菜の香りのように 律儀なこの月も 果てていくんだ 樹に咲く花が好き 文庫本においた枝折のように 胸いっぱいになって 同じところで ちがう風に揺れている
2016年4月4日 00:28
花のかげにすわりこむひとのいる大学通り足もとをみつめるこどもそぞろ歩くひとたちの声がきえていく風がまだ冷たい三月にあまりにたいせつなものを失った声が見えなくなった空を見てもなくなったものの影がきえてしまったしろくあかくきいろく春の咳がひとつふたつみっつと響いているベンチに読みさしの本を置いてすこし歩いてみようか樹に咲く花は淋しいここにいないひとを思い出さ