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鉛筆で詩を書くひとは

鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
中央線で西にむかって
麦畑につづく道に迷ってしまい
途方にくれて四月の雲を眺めるひとだ

鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
死んだ恋人が忘れられなくて
来る日も来る日も
記憶を茶筅でかき混ぜるひとだ

遠い故郷の防波堤のうえを
ぼくは全速力で走った
潮風を全身であびるために
居なくなったひとに会えるかもしれない

子犬たちを連れて散歩に出たまま
それっきり帰って来ない
歌のなかのひとを思って
きょうの午後にギターを弾いてみる

鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
ゲームに夢中になって
高尾山口まで乗り過ごすこどもたち
きみの敵だけは見失わないでね

鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
公園前のレストランで
野菜と肉を食べて
さっと恋人の手をにぎるひとだ

革命も戦争も災害もわれ関せずで
明月を昂然と凝視したひと
四月の読書は昼寝とともにある
みどりの風をこの胸に呼びこむために

ひどい鬱病から立ちなおった
「旅人かへらず」を読み継いだひとは
隣の部屋に駆けこんだ
画家のファーストネームを知りたくなって

鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
大地震のあとで
デジタルの砂嵐のなかを走る
危ういネットサーフィンをつづけたひとだ

鉛筆で詩を書くひとはどんなひと
三月がすぎ、四月もすぎる
咲き残る小花が胸につきささっても
歌うことを忘れないひとなんだ

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
◎国立ランブリング「創作ノオト」
四月の花も遠ざかっていく。
ちびた鉛筆を引っ張り出して、記憶の器をくるくるかき混ぜる。
さようなら、四月。
いろんなことがあった、四月に、さようならを。
咲き残った小さな花たちを胸にかざって。
さようなら、四月。

http://ameblo.jp/kunitachihappyspot/entry-12155301388.html

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