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花過ぎる、四月

その町に住んでいるひとから
写真が届く
帰る場所が見えない
映り込んでいるひとの気配
もう居なくなった影もあるんだね
アンサーはいらないよ
クエスチョンも見えない世界だから

里山から届いた
きちんと箱に収まった山菜の香りのように
律儀なこの月も
果てていくんだ

樹に咲く花が好き
文庫本においた枝折のように
胸いっぱいになって
同じところで
ちがう風に揺れている
あなたに似た花が好きだ、いまも

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