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詩の場所

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小山伸二の詩の置き場所です。
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2014年11月の記事一覧

ランブリングする十一月

ランブリングする十一月

ランブリングする十一月   

秋の声が届いた
図書館で借りた物語のなかで
登場人物は
自分のノートを破り始める
お行儀のいい生活はやめにします
これからは本気で生きたいから

言葉にならない感情を
埃まみれのフラスコのなかでかき混ぜる
ランドセルを背負ったギャングたち
爆発もなければ
煙も出ない
世界なんてウンコだよ
わざと声に出して
はしゃぎながら中央線に飛び乗ってくる

国立五小を卒業した

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十一月のランブリング

十一月のランブリング

聴こえないはずの鳴き声
実験室の午後のなかで
遠くからはブラスバンドのチューニングの音
聴こえないはずの鳴き声
惑星の秋って、いつものおおげさな詩人の物言いのなかで
聴こえないはずの鳴き声
秋の山に鳴く鹿のように
白いヘッドフォンのなかから微かに
銀杏の町を歩く人の
歩いて来た時代をなぞって

この季節が好きだ
もうじき異国の神の生誕の知らせが届く
この季節の風が好きだ

あやしげな影たちを追い払

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映画「インターステラー」より

ディラン・トマスの詩が、この映画のなかではずっと通奏低音のように流れていた。

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Do not go gentle into that good night

Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day;

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十月の記憶

十月の記憶

十月の記憶    小山伸二        

夜の道は淋しい
言葉にしてはいけない約束だから
地面に落ちた果肉を
臆病な猫たちに食べられないように
用心深く拾い集める

甘い蜜の秘密の壷
人差し指を濡らして
しずかにかき混ぜたことを
忘れない

計画された道で
地中に根を張る
街路樹たちの影の濃淡を数えて
蛇行する自転車と
黒ネクタイの男たちを
器用にすり抜けながら
寄り添うふたりも
どこかへゆら

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