【ミカタをつくる広報の力学】 #16 社内広報メディアをつくる
前回は広報の効果を社内に理解してもらうために、社外の人の反応を見える化する方法について書きました。
今回は人の反応ではなく、広報として社内に発信するための「社内広報メディア」について書きたいと思います。
紙媒体だけでなくデジタルメディアや、掲載するコンテンツなどについても書いていきます。
※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。
社内メディアは積極的に活用
社内広報メディアといえば社内報が代表的ですが、印刷のコストや手間を考えると頻繁には出せないものです。
社内報に関するある調査によると、半数近くが年に4~6回発行、つまり季刊か隔月刊という発行ペース。掲載される情報も、従業員やイベントなど社内全体に関わることが多いため、そのくらいの更新頻度が妥当なのかもしれません。
最近は社内のネットワークとしてイントラがあるので、従業員向けのサイトを開設している企業も増えています。
デジタルメディアであれば、ネットメディアのように旬のニュースを即時的に発信でき、誤字の修正なども簡単。紙媒体のように印刷コストもかからないため、頻繁に更新することが可能です。
私のいた会社では、エレベーターホールにデジタルサイネージを設置して情報を発信していました。壁新聞やポスターと違って、画面の変化がアテンションにもなるので、割と注目を集めることができます。
エントランスホールには展示スペースがあったので、実物を見せたいときなどに仮設ショールームとして展示したり、社内イベントを実施したり、かなり積極的に活用していました。
無料で使える媒体は、遠慮しないでどんどん利用させていただきましょう(笑)
メディアインサイトも理解できる
社内メディアはの多くは従業員向けの情報発信を目的としていますが、例えばエントランスに設置されたサイネージなどは、来社されるお客様も対象となる場合があります。最近では、フロアや部門ごとに表示を変えられるサイネージもあるかもしれません。
その人たちに対して、何を発信していくか。
私が担当していたデジタルサイネージでは、毎週新しい記事を2つほど更新していたので、1つは新聞や雑誌の記事に頼っていました。いわゆる「まとめ記事」のようなものですね(笑)
もう1つは展示会や新商品などのマーケティング・経済に関する情報で、そちらは自分で調べてピックアップしていました。
社内のメディアは定点観測をすれば反響がわかり、相手は社員なのでヒアリングも可能なわけですが、誰もが注目するような特ダネを掲載するのはなかなか難しい。これを続けていると、徐々にネタに対する審美眼が鍛えられてくるんですね。
実はこの作業、メディアインサイトの理解にとても役立ちます。
自分がメディアとなって読者ニーズを追いかけるわけですから。
そして社内メディアが浸透してくると、「社内に発信してほしい」といって情報を持ってきてくれる人が出てきます。
正に広報活動を社員がバーチャルに体験しているわけなので、広報に対する理解の深化はもちろんのこと、自然と情報が集まるようになれば、こんなに素晴らしいことはありません。
メディア側の視点で情報を見ることで、どうすれば露出を獲得できるかが分かるかもしれませんね。
社内外の広報を連動させよう
社内メディアをつくったら、社外の広報活動と連動させていきましょう。
取材されたことをSNS等に投稿するときには、同時に社内メディアでも発信することで、拡散を促すことができます。
SNSでは一次シェアが後の拡散に大きく影響しますので、この段階でのミカタは多いに越したことはありません。
メディア露出があったときや社会からの反響があったときも、どんどん社内に発表していきましょう。
これは広報活動の成果のアピールでもありますが、同時に「ウチの会社は社会から見られていますよ」という牽制にもなりますので、コンプライアンスに反するような行動を慎むよう促す効果もあるかと思います。
広報において社内外を連動させることにより、社内をパブリックの一部と捉えたガバナンスを意識するようになるので、「会社の常識、世間の非常識」といった「内集団バイアス」の抑制にも役立つかもしれません。
ウィズコロナ、ポストコロナで、在宅ワークが増えてくると、社内広報もデジタル端末やSNSへの発信になり、ますます社内外の差が無くなっていくことでしょう。
おわりに
社内メディアの一番の魅力は、どんな記事でも「絶対に掲載される」ということですよね。
なにしろ自分たちが編集してるわけですから(笑)
今回は社内メディアの位置づけや効果などを総論的に書きましたが、それぞれのメディアの運用方法や、コンテンツのつくり方については、別の機会に書こうと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。