見出し画像

【ミカタをつくる広報の力学】 #34 事実と論拠とPRの話

前回はフェイクニュースの話だったので、今回は真逆の「事実」の話を書きたいと思います。
「事実」であることを証明するためには「論拠」が必要、という話です。
事実はファクト、論拠はエビデンス。分かりにくい横文字だらけのコラムになります(笑)


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


PRでは嘘や誤りは絶対NG

言うまでもないことだと思いますが、PRは「事実=ファクト」を発信するものです。プレスリリースなどを作成する際、嘘はもちろんのこと、誤りもあってはいけません。

虚偽の情報をもとにしたマーケティングで利益を得た場合には、詐欺罪に問われる場合もあります。刑事事件に発展することは滅多にないですが、民事訴訟に発展するケースは割と見られます。
裁判沙汰にならなかったとしても、イメージダウンは免れないと思います。

なので、広告やマーケティングだけでなく、PRにおいても「間違いのない事実」としての発信が必要になります。

それが「論拠=エビデンス」です。
難解なカタカナ用語の代表格ですね(笑)

エビデンスは、情報の発信者自身が誤りを避けるために得ておく場合もありますが、発信した情報が間違っていないことを示すために、資料の中に記載する場合もあります。


なぜエビデンスが必要か

エビデンスというのは、根拠のある数字や有識者による見解を引き合いに出して、「これは確かな根拠のある信頼できる情報ですよ」ということを証明をするものです。

マーケティングや広告などでよく見るケースとしては、「対前年比2倍」、「業界シェアナンバー1」、「3人に1人が選びました」などの数字を使ったもの。こうした表記の傍には概ね「当社調べ」「○○総研調査による」といった記載が見られると思います。

これは「正式な調査機関の調査結果です」という論拠を示すことで、情報の信頼性を担保しています。

なので「当社調べ」では少し心許ないのですが、それでも「個人の感想」ではないことは明確に示すことができます。

プレスリリースやファクトブックでは時々、データやグラフを使ってエビデンスを示すことがありますが、そうすることでメディアに対して情報の信頼性をアピールすることができます。

ところがエビデンスが不確かであいまいな情報の場合、メディアサイドでの裏取りを必要とするため、もし面白いネタだと思ってもらえたとしても、取材の機会を逃してしまうことになりかねません。


エビデンスを得るには

効果的なエビデンスの手段として「有識者の証言」があります。

研究機関の研究者、大学教授など、その分野において学識と権威ある人の証言を得ることで、信憑性が格段にアップします。
もちろん「教授の個人の感想」ではダメですが、研究機関はもともと対象分野に関する研究データをもっていますので、あらかじめ専門分野を確認してオファーすれば相応のデータが得られることでしょう。

民間の協会を頼るという手もあります。
民間の協会には、業界団体などの社団法人のほかに、制度の普及などを目的とした普及協会推進協会といったものが存在します。
これらの協会にはアンケートで得た調査データや加盟企業の持つ調査データがありますので、そのままエビデンスとして使えることも多いですが、協力を得るための交渉や対価が必要になることもあります。

上記はいずれも、コネクションや交渉力、予算を必要とすることが多いケースですが、それらが無い場合でも諦める必要はありません。オープンソースを頼りましょう。

公共のデータを使うのです。

総務省統計局には大量の調査データが掲載されており、誰でも無償で使うことができます

引用する際には「出典:総務省○○調査」といった出所表示が必要になりますが、許可申請もなく商用利用できるのが大きなメリットです。
これは総務省だけでなく、経産省や内閣府など他の行政機関でも同様に活用できます。


最も有効なのは自身で調査すること

ここまで、社外の機関のデータ活用についてい書いてきましたが、他社との差別化も可能で、より有用なデータが得られるのは、やっぱり自社で調査することです。

大々的なアンケート調査を実施しようとすると予算も手間もかかりますが、ネットサーベイであれば比較的低コストでも調査できます。

もちろん、オウンドメディアやメルマガなどで多数の第三者とつながりがある場合には、簡単なアンケート調査を実施しても良いかもしれません。

自社で調査を実施することで、他社が持っていない独自のデータを入手することができるだけでなく、PRおける様々なシーンで活用することも可能となります。


おわりに

今回は、エビデンスの重要性と調査データなどについて書きました。
正確性が求められるリリース情報にとっては、バリューアップの必須条件ではないでしょうか。

研究機関など、社外の協力を得る方法は、また別の機会に書きたいと思います。エビデンスの悪用だけは絶対にしないでくださいね(笑)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
共感してもらえましたら、スキやフォローをいただけると励みになります。

ではまた次回お会いしましょう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?