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shibasakishinzo
2024年1月21日 13:30
〈英雄〉になりたかった人のたくらみ 三島由紀夫の〈蹶起〉と自裁の日から半世紀が近づいた秋、その現場となった東京・市ヶ谷の陸上自衛隊東部方面総監部の旧庁舎、現在は敷地内を移転して再構築した「市ヶ谷記念館」の旧総監室を訪れる機会があった。 「あの日」に駆け出しの記者がそのバルコニーの前にたどり着いた時、すでに壇上に三島たちの姿はなく、集まった自衛官らはその場から三々五々散って、蹶起の主張を書き連
2021年12月17日 22:55
〈英雄〉になりたかった人❸ 終戦の年に20歳の三島由紀夫が書いた短編小説『岬にての物語』では、11歳の彼が家族とともに避暑に出かけた外房の鵜原の海岸を舞台に選んで、白日夢のような奇譚が語られる。 母と妹と書生とともに避暑で訪れた房総の海辺で、11歳の主人公の少年は散策の途中、別荘の廃屋から美しいオルガンの旋律が流れてくるのを聞く。誘われるように中へ入ると、ひとりの青年と美しい少女に出会い、か
2021年11月21日 00:16
〈英雄〉になりたかった人❷ 毎年師走が近づくと、半世紀前の〈あの日〉の市ヶ谷台を包んでいた異様な熱気と興奮を思い起こす。 現場に到着した時、上空ではまだ取材ヘリの爆音が響いていたが、すでにことは終わっていた。バルコニーに立った三島由紀夫の最期の演説を聞いた自衛官たちは三々五々前庭から立ち去り、東部方面総監室の前の壁面に〈楯の会〉の檄文の幟が垂