マガジンのカバー画像

短編小説

160
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

サーフィン

サーフィン

 修一さんに会う。昨日メールをくれていたけれど全く気がつかなく気がついたのが夜中だったけれど『明日ってゆうかもう今日だけれど良ければ連絡ください』あまり重くなくかといってくどくもなく今気がついたよ的なメールを打っておいた。
 案の定午後3時ごろにメールがあり『16時にそっちにつく』と来る。『わかった』と打ち返し、いつもの待ち合わせ場所に車で行く。
 
 いつもいつもおもうことなどだけれど、メールが

もっとみる

切りすぎた髪

「こんなふうにしてください」
 わたしは美容師にスマホの画面を見せる。
「結構短くなるけれどいいの?」
「はい。いいです」
 即答だった。いいのだ。もう。切りたい。切って楽になりたい……。髪の毛を切れば楽になるわけじゃない。けれど、楽にとにかく楽に楽になりたい。
「じゃあ、切るね」
 ザクッと髪の毛を切る音と共にわたしは目をつぶる。もう、何も見たくないように。なにもかもから目を逸らすかのように。

もっとみる
すれちがう

すれちがう

 頭が痛すぎ、吐き気がし、そうなると寒気もしだして、これはまずいとおもい熱めのお風呂に入る。寒気はややなくなったけれど頭は相変わらず痛くまるで孫悟空の頭に乗せている輪っかがきゅっと絞まったような痛さ。という妄想をしお風呂から上がったあとでお湯を沸かしカップのコーンスープを飲む。飲んでいたら直人が仕事から帰ってくる。台所にいたのでどうしたの? という顔をしたので、寒くて、スープ飲んでるのと声を出す。

もっとみる
深夜2時・早朝5時

深夜2時・早朝5時

 いつも本当に遅く帰ってくる直人が金曜日。だらしのない顔をしチキンラーメンをすすっていたら突然会社から帰ってきた。時計を見る。午後7時半を少し過ぎたところだった。帰ってくるなり「土曜と日曜茨城に出張だから」と嫌そうな声を出していう。
「え? じゃあ、じゃあ一泊二日で?」
 土日というからにはそうであろうと質問形式をとると
 一泊二日って旅行じゃないしと笑い、そうだよ。一泊でとまた笑う。
「いやダァ

もっとみる
ファミレス

ファミレス

 男ともだちと一緒にファミレスに行く。お昼だったのに店内は空いており適当にお座りくださいという店員さんに従い適当に座る。お腹空いてないかと男ともだちに聞かれさっき起きたぶんだしで空いてないよというと、なんだそれと笑いじゃあデザートにすればといわれ、メニューに手をのばす。
「これにする。315番」
 iPadのような機械が席に置いてあり個々で注文をする。進化なのかコロナ対策なのかはどっちでもいいけれ

もっとみる
「ちっぽけだよ、ホント」

「ちっぽけだよ、ホント」

 彼は最近仕事が忙しく帰宅をするのは22時過ぎだ。朝はまだ薄暗い6時半くらいにはうちを出る。別にご飯を作って待ってる訳ではない。彼はローソンに寄り適当にビールとおつまみを買ってくる。
 ホットカーペットの上に毛布をかけうたた寝をしていたらガサガサと音がし、顔をあげるとくたびれている横顔の彼が帰ってきていた。
「ただいま」
 え? 彼がわたしの方に顔を向け、ただいま。と少しだけ笑いながらいい、それ、

もっとみる