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ファミレス

 男ともだちと一緒にファミレスに行く。お昼だったのに店内は空いており適当にお座りくださいという店員さんに従い適当に座る。お腹空いてないかと男ともだちに聞かれさっき起きたぶんだしで空いてないよというと、なんだそれと笑いじゃあデザートにすればといわれ、メニューに手をのばす。
「これにする。315番」
 iPadのような機械が席に置いてあり個々で注文をする。進化なのかコロナ対策なのかはどっちでもいいけれど便利だとはおもう。そういえばちょっと前にいった焼き肉屋さんでもタッチパネルだった。
「なんで番号でいうの?」
 レアチーズケーキを食べたくてその横に番号があったので番号をいうと男ともだち(以下 友)が不機嫌そうにいう。
「だって、番号が書いてあるもん」
「そうだけど、」
 友はそこで言葉を切り、口を開け、また口を閉じ、また口を開く。
「……い、いやさ、この機械だと番号でいってもわからないんだよ。デザートなのか? 食べ物なのかが」
 なるほど。そういうことかと納得しレアチーズケーキだよとメニューを広げて指先で示す。
 友はメニューを見、今度はわたしを見て、また? これ? とまた不機嫌そうに声をあげる。
「なんで? ダメなの? ダメなのか、おい!」
 ついそうやっていいそうになるも
「だってね。おいしいんだよ。何度食べても飽きないの」
 ふふふ。とほほ笑む。
「お前さ……」
 目の前にいるカップルがベンチシートでイチャイチャしている。まだ学生のようだ。男の方はなぜか学生ズボンを脱ぎヒートテックらしきパッチになっている。股間が、膨れている。
「ほほ笑んでもかわいくないから」
 そんなつもりなど皆目なかったけれど友は真顔でいい、真顔でメニューを見続けている。どうせ、またハンバーグの目玉焼きが乗ったやつに決まっているとわたしはおもう。いつもそうなのだ。友も。
「別に……いいじゃん」
 またほほ笑む。友は黙ってしまう。目の前にいるカップルはだんだんエスカレートをしてきてとうとうキスをしだす。友の裏でまさかの事件。けれどいえない。友が急に席を立つ。
「ドリンクバーいってくる先に」
 あ、うん。わたしはうなずき、お冷持って来てくれると嬉しいですとほほ笑む。友は黙ってうなずいた。キスの現場を見れなかった友。友は今恋をしている。結婚をしているのに、すぐに恋におちる。わたしとは落ちないけれど。友はわたしをほんとうになんでも話せる友達とおもっている。わたしもそうおもっている。友はSEで尊敬している大先輩だけれど、すぐに誰かを好きになり、勝手に恋を終わらせる。切ないなぁといいながら。
「お待たせしました~」
 頼んだものを持ってくる店員がとても覇気がない。もう少し軽やかになれないのだろうか。笑顔が大事だぞと内心でつぶやく。
 案の定、ハンバーグに目玉焼きが乗ったものだった。
「また、それだね。やっぱり」
「……」
 友はまた黙ってしまう。何秒か経ち、何分が経ったころ目の前にいるカップルの方の女の頬が紅潮しており、もう、やだぁ。ダメだってぇ。と猫のような小さな声で鳴いているのが店内の空気にのってわたしの耳に届いてくる。男が女のスカートの中に手を入れているのがなんとなくわかる。きっとショーツの間から指であそこをいじっているのだろう。こんな昼間のファミレスで。声が出せない場所での背徳感。女は間違いなく興奮をしている。残念なことは女はひどくブスだということ。男はわりといい男だ。
 男の指がわたしの豆を転がす。あ、そ、そんなぁ。といいつつも愛液は濁流のように溢れ、びちゃびちゃになりショーツから溢れ出てしまい、ちょっとトイレと立ち上がりショーツを脱ぎ愛液を拭う。こんなに……。ああ、もっと、触ってほしい。わたしは懇願する。けれど我慢出来ず自分の指で慰める。指じゃイかないから【ヒメロス】を塗り手繰る。あっ、あそこがぁ、あつ、い。わたしの中から熱い液体が滑り落ち、いよいよ果ててしまう。トイレの個室で。
「なんだぁ、こんなところで! 自慰をするならギャラリーがいたほうがいいだろ?」
 男が急に女子トイレに入ってきて下半身まる裸のわたしの手を引き、店内の椅子に座らす。
「ここで、やれ」
 自慰をしろ。と命令される。わたしはいやですというけれど本当はみせたくて仕方がない。バカみたいに泣きじゃくりバカみたいに淫らになりたい。
「ご主人様ぁ……、こ、こうですかぁ」
 潤んだ目と濡れた唇で男を見つめる。そうだ。もっとほら。開いてみろ。そうだ。ああ、なんて赤いんだ。なんだぁ。ぐっちょりじゃないかぁ。この淫乱が! 

「なぁ、」
 はっとわたしは顔を上げ、友の顔をみる。
「な、なに……」
 今さ、友が誰かと電話で話している間の数分でわたしは目の前のカップルの男の方とエロいことをしていたらしい。今さ、ほら、好きだった女のコから電話だったの。でさ、まあ仕事のことなんだけれどね、その、声聞くだけでもさぁ……、友の声がだんだん遠さがってゆく。わたしは一体どうしたいのかわからない。とにかく誰かにあそこを舐めてもらいたい。もうどうでもいいしどうにかなりそうだ。
「トイレ行ってくるね」
 友の顔がとてもいい男の顔に見えてくる。あまりいい顔ではないのに。わたしはたぶん、いや絶対に欲求不満に違いないとおもう。友はもうハンバーグを食べ終えている。

※官能小説って難しいなぁ~。笑

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