あなたが出産の後遺症で、社会から差別され断絶されるとしたら?
あなたが出産後、重大な後遺症で、社会から差別されるとしたら?
最近、Instagramで自宅出産の出来事を漫画にして書いている方の投稿をみました。
助産師さんもいない中いきなり家で赤ちゃんが出てきちゃうなんて…
どうなっちゃうの…!?
家の中、血塗れじゃん…!
てか、お股切れちゃったら、誰が縫うの!?
自分はすでに2人の男児を産んでいて、将来的には3人目出産も考えているため、それはそれはハラハラと読み進めていたのだが…(2人目、3人目につれて、陣痛の平均時間は短くなってゆくので、病院まで間に合わない人は、まじで少なくない…!)
無事、救急車がかけつけ、病院とバトンタッチし、その後、赤ちゃんもお母さんも元気に退院しましたとさ。
めでたし。めでたし。
普段、アフリカでの支援活動を仕事にしている私が
自分の出産のときに、強く想ったのは…
妊娠時から定期健診があり、病院で安全にお産し、母子ともに無事でいることはまれな奇跡で、これはワールドスタンダート(世界のどこでも、当たり前なこと)ではない、ということでした。
「出産 後遺症」が発生する社会、そして差別される社会
世界には、自宅出産が当たり前で、そして、出産時の重大な後遺症で、社会から蔑まれ、差別され、断絶されてしまうお母さんもいるのです。
産後、失禁が止まらない。
日本の助産師が習わない出産後遺症:産科フィスチュラ
産科フィスチュラと呼ばれる、産後の重大な後遺症があります。
産科フィスチュラとは、お産が長引いた時
赤ちゃんの頭が産道を圧迫し続け
膀胱・膣・直腸に穴があいてしまうことです。
そのため、産後、尿や便が漏れ続けてしまうのです。
多くは後発開発途上国※1と呼ばれる、東アフリカのエチオピア共和国や、西アフリカのシエラレオネ共和国の農村部などで、多くみられる産後の後遺症です。
産科フィスチュラは医療・インフラの充実した日本では、到底起こりません。
そのため、日本の助産学校は、産科フィスチュラについては、習うことはないのだそうです。
※1:下里は発信するとき、「途上国」という言葉を使いません。現在、後発開発途上国(LDC:Least Developed Country)に指定されているのは、アフリカ諸国をはじめとした世界47か国です。
産科フィスチュラが起ってしまう2つの大きな原因
特に貧しいアフリカの農村部で、産後最悪の後遺症、産科フィスチュラが頻繁に起ってしまうのはなぜでしょうか?
原因を大きく2つ、考察してみました。
ひとつめは、病院にアクセスできず、自宅出産が当たり前で、お産が長引いても、すぐに帝王切開に切り替えられないことが、産科フィスチュラの発症率をあげていると言われています。
私が4年間、様々な支援事業を行うシエラレオネ共和国のとある農村部でも、病院へは歩いて3時間あまり。WHO(世界保健機構)は、産前の妊婦健診で1度はエコーで赤ちゃんの状態をチェックすることを推進していますが、多くの女性は、自分が高リスク出産(逆子や胎盤異常など)であるのかないのか、まったくわからないまま、陣痛を迎えることになります。
2つ目は、骨盤の小さい10代のうちに、少女が妊娠してしまう(若年妊娠)ことも、お産を長引かせるため、産科フィスチュラがおこる原因になっています。
金銭的理由で、売春してしまったり、性暴力にあったが学校での性教育がなく、妊娠に気づいたときには中絶できなくなってしまっていた、という10代の少女も少なくありません。
産科フィスチュラになると
産科フィスチュラを発症したお母さんはおおむね2~3日間、中には1週間におよぶ苦しいお産に耐えますが、結果として、9割の確立で、赤ちゃんは、「死産」となってしまうそうです。
産後、膣や直腸に穴が開き、尿や便が漏れ続けてしまうと…
ずっと匂ってしまうわけですから、周りからは嫌がられてしまいますよね。
農村部の女性は、子どもが産めず、家事や農作業ができないことで、そのコミュニティから「役立たず」とみなされ、差別され、やがては、引きこもり状態になってしまいます。
私が以前ビデオでみたエチオピアの産科フィスチュラの女性は、数年間藁ぶき屋根の小さな小屋に隔離され、社会から断絶されていました。
フィスチュラ専門病院がある都市部に向かうためのバス運賃を貯めるため、バス停で6年間物乞いをした女性もいます。
お腹の中で9か月もの間、大事に育てた、可愛くて愛おしい赤ちゃん。
お母さんは、赤ちゃんが生まれてくるまで、何度お腹に話しかけたことでしょうか。
いよいよ苦しい苦しいお産を終えて、やっとお母さんになれると待ち望んだ女性が、ついには赤ちゃんを失い、産後の後遺症で、社会からも断絶されてしまう。
産科フィスチュラは、身体的な苦痛だけではなく、その後の差別や不妊症など、精神的な苦痛をも引き起こしてしまう、重大な後遺症なのです。
あなたが出産後遺症で社会から差別されるとしたら
私は数年間、西アフリカのシエラレオネ共和国の、社会から取り残された子どもと大人への支援プロジェクトを仕事として続けていますが…
日本で助産師として働きながら、産科フィスチュラの啓発活動を行う、小笠原絢子さんという助産師の友人がいます。
彼女は、ララアース(産科フィスチュラ研究・啓発団体 Lapis Lazuli Earth)という団体を自身で立ち上げ、日本で産科フィスチュラの啓発活動や、実際に、エチオピアの女性たちが「フィスチュラの穴を塞ぎ、再出発するための手術」を行うための支援金を集めています。
大学院博士課程に進学されながら、子育ても、助産師としての仕事も妥協せず、啓発団体ララアースを両立する彼女から(((パワフルすぎる!)))
本当に心を打たれた、胸がぐっと熱くなる言葉をもらったことがあります。
「祈ったり、願ったり、信じても
世界は何も変わらない
行動を!」
産科フィスチュラについて知ったときは、本当に衝撃でした。
あの苦しい妊娠期間
死ぬほど痛い思いをした出産
産後のボロボロの体
でも、元気に出てきてくれた可愛い赤ちゃん
そんな当たり前の苦痛と幸せを味わった後は、なおさらです。
「もし、産後あなたが、出産の後遺症で社会から差別されるとしたら??」
こんな世界は、なかなか想像できないかもしれません。
でも
産科フィスチュラを発症した女性は世界で200万人
毎年10万人が、新たに発症しています。
想像ではない「現実」が、今もまだ起こっています。
女性たちが、尊厳を取り戻し、再出発できるように!
産科フィスチュラ修復手術に、寄付を届けることができます。
私が、ララアースを本当に素晴らしいと思うのは、産科フィスチュラ問題の啓発活動とともに、実際にフィスチュラ修復手術費用を寄付で集め、女性たちの再出発を後押ししているところです。
女性たちの再出発を後押しするために、具体的に行動をして下さる方は、この記事のnoteに投げ銭頂けると嬉しいです。
私の投げ銭を集計(記事の下に今後集計を書いていきますね!)→ララアース公式寄付先「Ayako LaLaEarth Japan」ページに寄付する形で→キャサリン・ハムリンフィスチュラ基金に、私が責任をもって届けます。
ご支援は…
産科フィスチュラ修復手術
術後ケア+リハビリ
栄養価の高い食事(鉄分・ビタミンサプリ)
新しいドレスと帰りのバス運賃
などに役立てられます。
さらに関心を持った方は、とてもユニークな支援方法もあるので、ぜひララアースのHPもみてみてください。
今後もnoteでは自分の好きな活動家を応援していきます!
私、下里はというと本業では、NPO法人アラジというNPOで、西アフリカシエラレオネ共和国での支援事業をしていますが…
もっと活動や、支援や、国際協力に興味があるよという方は
1対1オンラインお話会も毎日開催しているので、ぜひお気軽にお声かけください。
今後もnoteでは私が大好きな活動家の皆さんを紹介します!
社会課題は一人では解決できないので、自分の団体の寄付集めだけではなく、他の社会活動家を全力応援することは、私の生きる理念に繋がります。
また読んでもらえたら!
下里夢美(しもさとゆめみ)
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