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わたしの推し映画

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特に人にお薦めしたい映画作品をまとめたマガジンです。 「#私の推し映画」でタグをつけています。 好き=推したいとは微妙に違ったりします。このマガジンを読んでもらえば、私の趣向が…
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#映画感想文

【怒りを拳に込めてぶっ飛ばせ!】映画『ポライト・ソサエティ』感想

【怒りを拳に込めてぶっ飛ばせ!】映画『ポライト・ソサエティ』感想

凄く好きな映画だった。

最初、ボリウッド映画と勘違いしてたけど、物語の舞台はロンドン、南系アジアの移民コミュニティが題材となっている。

製作をつとめたのは『イエスタデイ』、『ラブ・アクチュアリー』など有名作品で知られるワーキング・タイトル社。
本作もこうした映画と同じ質感、良い意味でライトで明るい。
こうした作品が好きな人にこそ本作を観て欲しい。

物語は姉の結婚を阻止するために奔走する妹が婚

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【狂気はアナタのすぐ傍に】映画『Chime』感想

【狂気はアナタのすぐ傍に】映画『Chime』感想

これは怖い!!

映画『Chime』は『蛇の道』、『スパイの妻』、『散歩する侵略者』など幅広いジャンルの作品で知られる黒沢清監督が手がけた中編作品だ。

「チャイムの音がきこえませんか?」
料理教室で講師を務める主人公はある時、生徒にそんな質問を投げかけられる。耳を澄ますがそんな音は聴こえない。

しかし、その日を境に主人公の周辺は徐々に不穏な出来事に侵食されていき…というあらすじ。

SNSでも

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【都会女子生態観察】映画『ナミビアの砂漠』感想

【都会女子生態観察】映画『ナミビアの砂漠』感想

何はともあれ河合優実に尽きる。

可愛さ、格好良さだけじゃない。
強かさや無邪気さ、弱さを含めた人間味ある人物として魅力に溢れていた。劇中、何かが起きる訳でないけど彼女の動きに見入っていた。

映画は都会に生きる女性の日常を通じて現代に生きる若者たちの姿を描いていく。

タイトルの『ナミビアの砂漠』の由来は、劇中にも登場するナミビアの砂漠に設置された定点カメラの映像からきているらしく、本作は「都会

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【今年の台風の目はこの作品で決まり!!】映画『侍タイムスリッパー』感想

【今年の台風の目はこの作品で決まり!!】映画『侍タイムスリッパー』感想

『侍タイムスリッパー』という映画を知っているだろうか。
監督、脚本をつとめる安田淳一はじめ10数名の有志によって製作された自主映画だ。今一番話題になっていると映画といっても過言ではないだろう。

この映画、もともとは全国で1館だけの上映だったが作品内容の素晴らしさが話題を呼んでSNSを中心に絶賛の嵐となっている。

さらに9月13日からはギャガが共同配給につき新宿ピカデリーほか全国50館以上で順次

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【はちどりの前日譚】映画『リコーダーのテスト』感想

【はちどりの前日譚】映画『リコーダーのテスト』感想

1980年代の韓国、ソウルの団地に住むある少女の日常を描いた短編映画『リコーダーのテスト』。2018年に公開された『はちどり』の前日譚に当たる作品である。

映画配信サービス『JAIHO』にて先日まで配信されており配信終了ギリギリに何とか鑑賞することができた。この作品を観るのはこれが2回目なのだが、改めて素晴らしい作品だと思ったので感想を挙げておきたい。

家父長制、社会格差、男女格差…『はちどり

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【ちゃんと生きるのって難しい】映画「時々、私はかんがえる」感想

【ちゃんと生きるのって難しい】映画「時々、私はかんがえる」感想

何で自分は皆のように振る舞えないんだろう

そう思ったことがある人には何かしら刺さるかもしれない。そんな映画だった。

『時々、私はかんがえる』はオレゴン州のアストリアを舞台に1人の女性の成長を描いた人間ドラマだ。

「スター・ウォーズ」シリーズのデイジー・リドリーが主演、プロデュースをつとめる。監督は2023年インディワイヤー誌が発表した注目の女性監督28人にも選出されたレイチェル・ランバート。

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【キュート×残酷=混沌?】映画『ユニコーン・ウォーズ』感想

【キュート×残酷=混沌?】映画『ユニコーン・ウォーズ』感想

魔法の森を舞台に繰り広げられるテディベアとユニコーンの仁義なき戦い。
「キュートな見た目に騙されるな」というキャッチコピーに偽りなし。可愛い見た目とは裏腹に繰り広げられる残酷絵巻。

監督はスペイン出身の漫画、アニメーション作家のアルベルト・バスケス。
自らが2013年に手掛けた短編アニメ『Unicorn Blood』を長編アニメーション化したものとなる。本作は第37回ゴヤ賞で最優秀長編アニメーシ

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【思い出は美しい、それが後悔だとしても】映画『美しき仕事』感想

【思い出は美しい、それが後悔だとしても】映画『美しき仕事』感想

話の内容よりビジュアルに浸る…

舞台はアフリカのジブチに駐留する外国人部隊。
主人公ガルーはその舞台の上級曹長。話自体はとてもシンプル。
「上官に強い憧れを持つガルーが上官に気に入られた新兵に嫉妬し彼を破滅させようとする」

ただ映画はガルーの回想視点で時間も場所もバラバラ。「物語る」というよりガルーの回想に浸るといった印象を受けた。

本作が撮られたのは1998年、監督は『ショコラ』、『パリ、

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【この映画、劇薬につきご注意を】映画『HOW TO BLOW UP』感想

【この映画、劇薬につきご注意を】映画『HOW TO BLOW UP』感想

面白い!環境活動家によるテロ行為を題材にした話だけど社会色とエンタメのバランスが絶妙。

本作を配給したNEONは『パラサイト 半地下の家族』、『落下の解剖学』など社会派な題材をエンタメと融合させる映画を手掛けてきたが、本作もそうした作品に通ずるものを感じた。

硬質的な雰囲気かと思いきや撮り方はスタイリッシュ。
ひとつひとつの構図がキマってるし暗闇から浮かぶパトカーとか思わず目を引くカットが多い

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【社会に居場所がなくたって】映画『システム・クラッシャー』感想

【社会に居場所がなくたって】映画『システム・クラッシャー』感想

ドイツを舞台に、社会に居場所がない少女の行く末を描いた映画『システム・クラッシャー』。

2019年に公開され、ベルリン国際映画祭の銀熊賞を始め30を超える受賞と20を超えるノミネートに輝くなど世界各地で話題となった作品だ。
日本では4月27日よりイメージフォーラムにて上映中となっている(全国順次公開予定)。

タイトルになっている『システム・クラッシャー』とは、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こ

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【圧巻!これぞ本当の異世界体験】映画『デューン 砂の惑星 PART2』感想

【圧巻!これぞ本当の異世界体験】映画『デューン 砂の惑星 PART2』感想

3月15日から公開予定の『デューン 砂の惑星 PART2』。
デューンと呼ばれる砂漠の惑星を舞台にしたSFアドベンチャーで、2021年に公開された『DUNE デューン 砂の惑星』の続編にあたる作品だ。

3月8日から3日間、全国のIMAX、Dolby Cinemaの劇場で先行上映をしていたので自分も観に行ってきました。鑑賞したのはミッドランドスクエアシネマの3月8日の19時30分からの回。客入りは

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【観たらあなたも虜になる!】映画『赤い糸 輪廻のひみつ』感想

【観たらあなたも虜になる!】映画『赤い糸 輪廻のひみつ』感想

昨年の12月22日から公開されている『赤い糸 輪廻のひみつ』。
現代の台湾を舞台に、死んでしまった主人公が再び人間に転生するために、縁結びの神様「月老(ユエラオ)」になって奮闘するファンタジーだ。

この作品、観た人の感想が熱い。
年末くらいからSNSで本作の感想が流れてきたのだが、「多くの人に観て欲しい」、「本当に面白い!」などみんなのハマり具合がとにかく熱い。

経験上こういう感想が熱い作品は

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【教訓の物語として観る】映画『イノセンツ』感想

【教訓の物語として観る】映画『イノセンツ』感想

先日、『イノセンツ』のDVDが届いた。
『イノセンツ』とは昨年公開された映画で、ノルウェーの団地を舞台に超能力に目覚めた子供たちによる戦いを描いたサイキックスリラーだ。

設定など1983年に刊行された大友克洋先生の『童夢』に影響と受けており(エスキル・フォクト監督もインタビューで影響を受けたと語っている)、「北欧版童夢」という風に例えられていることが多い。

自分が昨年観た中でも特に好きだった作

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【奇妙な旅の果てに自由を得る】映画『哀れなるものたち』感想

【奇妙な旅の果てに自由を得る】映画『哀れなるものたち』感想

エロとグロに彩られたダークファンタジー
この作品を一言で表すならそんなとこだろうか。映画が始まれば性と性にまみれた2時間22分の異世界体験。見たこともない世界へ連れて行かれる。

映画『哀れなるものたち』は『籠の中の乙女』、『ロブスター』などの作品で知られる奇才ヨルゴス・ランティモス監督の新作だ。

主演は『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーン。
『女王陛下のお気に入り』につづいてランティモス監督との

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