しもきち

お酒と美味しいものに目がない演劇好き、博物館好き。演劇/落語/歌舞伎/博物館/美術館/…

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お酒と美味しいものに目がない演劇好き、博物館好き。演劇/落語/歌舞伎/博物館/美術館/お庭/謎解き/クラフトビール/日本酒

最近の記事

シェイクスピアの記憶 その25

◾️真夏の夜の夢(2020)@東京芸術劇場プレイハウス 演出:シルヴィウ・プレカレーテ  野田版真夏の夜の夢を、ルーマニア出身のシルヴィウ・プルカレーテ演出で。プルカレーテ演出は、佐々木蔵之介主演のリチャード三世を映像で見て、すごく好みの演出だと思っていた。まさか、野田版をやるのだと思わず、この公演に行こうと決めたので、後で知ってびっくり。え、野田秀樹とテイスト違いますけど…  そして、見てみたら、野田演出と全然違うアプローチで、こんな風にもできるのか、と驚いた。  登場

    • シェイクスピアの記憶 その24

      ◾️薔薇戦争(2019)@シアター風姿花伝 演出:木村龍之介  ヘンリー六世の三部作とリチャード三世をまとめて上演してしまえ!という無謀な企画公演。ヘンリー六世とリチャード三世は、別日に観ることもできたけれど、丸1日かけて両方を観る、休憩含めて8時間超えの耐久戦に参加。役者とスタッフと観客と一緒に走り抜けたような一日。  歴史劇、面白いじゃないか!  長丁場の歴史劇を支えていたのは、何と言っても、リチャード三世でタイトルロールも演じた、河内大和。身体と声の表現の引き出しの

      • シェイクスピアの記憶 その23

        ◾️お気に召すまま(2019)@東京芸術劇場プレイハウス 演出:熊林弘高  坂口健太郎と満島ひかり主演。熊林弘高の演出は、初めて観たけれど、すごくツボだー。  観客をポカンとさせて置いていくような雰囲気がたまらない(褒め言葉)。でも、合わない人がいるのもよくわかる。  今回、早船歌江子が新訳した脚本は、かなり現代的で、大胆に猥雑。シェイクスピアは高尚なもの、と思っている人は、下ネタのギャグ満載で面食らうかもしれない。本来のシェイクスピア自体、かなり下品な面も持っているのだ

        • シェイクスピアの記憶 その22

          ◾️K.テンペスト@東京芸術劇場シアターイースト 演出:串田和美  ほぼ日の学校主催の観劇会。実はこの日、カクシンハンのリーディング公演とダブルヘッダーだった。カクシンハンで圧倒されたので、引きずってしまわないか心配したけれど、そこはさすがの串田マジック。まーったく違う世界で、素直に楽しめた。  K.テンペストは、ほぼ日の学校の串田回で、ワークショップを体験した作品だ。自分も体験して感動したあの世界を観れるなんて。  私は串田和美の演出センスが大好きだ。一言でいうと、洒

        シェイクスピアの記憶 その25

          シェイクスピアの記憶 その21

          ◾️ハムレット×SHIBUYA ヒカリよ、俺たちの復讐は穢れたか(2019)@ギャラリールデコ 演出:木村龍之介  カクシンハンのリーディング公演。とにかく濃密。今なら絶対できない距離感。  ハムレットと秋葉原無差別殺人事件をベースにした、二人の青年の復讐と赦しの物語。  リーディング公演だが、小道具や音楽も使って、俳優も身体を動かして演じながら、物語が進んでいく。5人の俳優はほぼ出ずっぱりで、ト書きから、コロス、効果音も担当する。  俳優が声を張ると、私の膝にのせた鞄が

          シェイクスピアの記憶 その21

          シェイクスピアの記憶 その20

          ◾️ハムレット(2019)@シアターコクーン 演出:サイモン・ゴドウィン  岡田将生のハムレット。オフィーリアは黒木華、ガートルードは松雪泰子。  出演者はみんなよかった。よかった…よかったんだけど。  城というより、塔のある洋館のような舞台セット。廻舞台や高低差を活かした場面転換もあり、スピーディで見た目にもスタイリッシュ。  ただ、このキャストで、この演出で、日本という場所で、このハムレットを上演する意味ってなんだろう。もしかしたら、日本人キャストではなく、キャス

          シェイクスピアの記憶 その20

          シェイクスピアの記憶 その19

          ◾️ロミオとジュリエット(2019)@シアター風姿花伝 演出:木村龍之介  カクシンハン・スタジオ1期生の卒業公演。  芝居って、演技の上手下手で決まるものではないんだよなぁ、と思う。出演者たちは、決して上手くはない。発声も身体の使い方も。でも言葉を、心を伝えようとする意思がすごく伝わってくる。今、この時しかできない演技、作品だった。そういう芝居に立ち会えるというのは、幸せなことだ。  ほぼ日の学校 シェイクスピア講座の同窓会の小林大輝さんが、ロレンス神父とティボルトの二

          シェイクスピアの記憶 その19

          シェイクスピアの記憶 その18

          ◾️ヴェニスの商人(2018)@原宿VACANT 演出:木村龍之介  ほぼ日の学校のシェイクスピア講座の村口和孝氏の講義にインスパイアされてできたであろう舞台。講義に参加した者としては、どんな作品になるか、とても興味があった。  まず、原宿VACANTという、劇場ではないスタジオ空間のスリリングさ。同じ高さ、すぐ目の前を役者が動き回る。それだけでワクワクする。  ヴェニスの商人は、極悪な高利貸しのシャイロックを義に厚いアントーニオが懲らしめる勧善懲悪の話としても捉えられ

          シェイクスピアの記憶 その18

          シェイクスピアの記憶 その17

          ◾️お気に召すまま(2018)@彩の国さいたま芸術劇場小ホール 演出:河合祥一郎 我らが河合先生の演出。 いやー、何と言うか、実に河合先生らしい、研究者らしい舞台。原典に忠実に、言葉を大切に。正統派で奇を衒わず、純粋にシェイクスピアって面白い。  張り出し舞台の割に、正面を意識した芝居だったり、少し安っぽい衣装だったりしたけれど、そんなのは瑣末なことだと思えるくらいに、楽しい気分にさせてくれた。  ロザリンドに太田緑ロランス、オーランドーに玉置玲央、シーリアに山崎薫。三人

          シェイクスピアの記憶 その17

          シェイクスピアの記憶 その16

          ◾️冬物語(2018)@ウエストエンドスタジオ 演出:木村龍之介  演出の木村龍之介が、ほぼ日の学校の講座内で、シェイクスピア作品の中でも、イチオシと話していた冬物語。  「何じゃこりゃ?」が、予習のために戯曲を読んだ時の初めの感想。レオンティーズ、思考の変わり方激しすぎないか?    実際観てみたら、妻と親友の仲を疑いを持ち始めるシーンでは、レオンティーズの心情の変化がよくわかって、目が離せなかった。それでも、「何でそこまで頑ななの? 話、聞きなさいよ!」とは心の中で突

          シェイクスピアの記憶 その16

          シェイクスピアの記憶 その15

          ◾️ハムレット(2018)@シアターグリーン 演出:木村龍之介  初カクシンハン。  シェイクスピアと演劇の面白さとその可能性を十二分に体感させてくれる舞台。今の時代、今の日本だからこそできた「ハムレット」である。  一面黒のシンプルな舞台上には横断歩道のボーダーが走るのみ。 オープニングは、現代の街中。スマホを手にした人々が通りを渡っていく。互いに体がぶつかるほどの距離ですれ違いながらも、誰一人視線や言葉を交わそうとしない。まるで周りのことなど見えていないかのようだ。まさ

          シェイクスピアの記憶 その15

          シェイクスピアの記憶 その14

          ◾️マクベス(2013)@シアターコクーン 演出:長塚圭史  堤真一主演、長塚圭史演出でマクベスなら、絶対行くよね!と足を運んだのだが。  「どうした!?圭史!?」  それまでに観た長塚圭史作品は、悪趣味ギリギリの残虐性と笑いの中に、美しさがあって、抒情性すら漂わせる演出が、すごく好きだったのだけど、これはうーん、空回り感が。  シアターコクーンの可動式の座席を生かして、ホールの中央に舞台を配置したり、廃墟にポツンと残された蛇口を象徴的に使ったり、魔女を客席に座らせて、観客

          シェイクスピアの記憶 その14

          シェイクスピアの記憶 その13

          ◾️マクベス(2010)@世田谷パブリックシアター 演出:野村萬斎  萬斎マクベスの初演。マクベス夫人は秋山奈津子。魔女に高田恵篤、福士惠二、小林桂太。出演者は5人だけ。  マクベスとマクベス夫人以外の人物を3人の俳優が入れ替わりで演じる。そのため、夫妻以外のキャラクター性が排除されて、物語はマクベス夫妻にギュッとフォーカスされる。  同時に、マクベス夫妻をとりまく全ては、魔女が姿を変えて動かしているようにもみえるので、魔女に追い詰められていくマクベス夫妻という構図がはっき

          シェイクスピアの記憶 その13

          シェイクスピアの記憶 その12

          ◾️夏の夜の夢(2005)@東京芸術劇場 演出:グレゴリー・ドーラン  ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの来日公演。これは、ほんっとーにすっかり忘れていた。ほんとに見たのか。  何となく、パペットを使ってた気がするけれど、定かでない。  2000年代は、シェイクスピアからもお芝居からも遠ざかっていた時期なので、観たのはほんの少しで、しかも忘れがちだ。それにしても、すっかり抜け落ちていて、もったいない。

          シェイクスピアの記憶 その12

          シェイクスピアの記憶 その11

          ◾️NIMAGAWA十二夜(2005)@歌舞伎座 演出:蜷川幸雄  歌舞伎座でシェイクスピア、と話題になった作品。尾上菊之助主演。  幕見に並んでいたら、「当日券取ったけど、見れなくなってしまったので、どなたか買いませんか?」という方が現れて、補助席ながら、最前列で観ることができたことが思い出深い。今は、転売防止のため、定価だとしても大っぴらにチケットのやり取りはできない(スタッフに見つかると注意される)のだけど、あの頃は、むしろスタッフさんが仲介してくれたりした。大らかな

          シェイクスピアの記憶 その11

          シェイクスピアの記憶 その10

          ◾️マクベス(1999)@全労済ホール/SPACE ZERO 演出:鈴木裕美  ウェルメイドの名手、鈴木裕美演出のマクベス。マクベスに佐々木蔵之介、マクベス夫人に芳本美代子。  裕美さんらしい現代的で安定感のある演出。でもマクベスならもっと心にささるものが欲しかった。  佐々木蔵之介は、惑星ピスタチオという劇団で、脳筋の悪役ばかりやってた時から観ていて、個人的にテレビで演じるダンディなおじさま役なんかでは、蔵之介の魅力は発揮できないと思っている。舞台を見るたび、(やっぱりこ

          シェイクスピアの記憶 その10