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シェイクスピアの記憶 その21

◾️ハムレット×SHIBUYA ヒカリよ、俺たちの復讐は穢れたか(2019)@ギャラリールデコ 演出:木村龍之介

 カクシンハンのリーディング公演。とにかく濃密。今なら絶対できない距離感。
 ハムレットと秋葉原無差別殺人事件をベースにした、二人の青年の復讐と赦しの物語。

 リーディング公演だが、小道具や音楽も使って、俳優も身体を動かして演じながら、物語が進んでいく。5人の俳優はほぼ出ずっぱりで、ト書きから、コロス、効果音も担当する。
 俳優が声を張ると、私の膝にのせた鞄が振えるのがわかる。小さな空間だからこその感覚。物理的な感触を持って音が迫ってくる。

 芝居を構成するモチーフ自体は、そんなに目新しいものではない。でも、なんでこんなに胸に迫ってくるんだろう。言葉がよく練られていて、密度が濃い。役者から吐き出される言葉の温度が常に高く、観客も気が抜けない。
 役者の熱量に圧倒されて、終わってもしばらく動けなかった。

 英語版の脚本が出版されたそうで、今回のリーディング公演は、その記念だったのだが、これは日本語版の脚本も出してほしい。

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