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女子会帰りに食べた昔ながらのオムライス

サンドイッチよりもおにぎり、パスタより牛丼。チョコより煎餅。
糖質制限なんてなんのその、お米が大好物であります。
お米を食べるためにおかずを作るといっても過言ではない。

以前友人に誘われて女子会というものに参加した。
人生初の女子会だったので、テレビで見るこてこての女子会をイメージしてしまい、オシャレじゃなかったら色々言われるのかな、ちゃんと会話ができるかな、マウンティングって本当にあるのかなと不安や緊張を感じつつも、お気に入りの柔らかいニットと花柄のスカートを着てオシャレをすると少し背筋がしゃきっと伸びて乗り切れるような気がした。

今回は皆で焼肉を食べようということだったので、美味しいお肉とごはんをいっぱい食べて色んなお話ができたらいいなと意気込んで向かった。

しかし18時からと聞いていたのに誰一人来ていない。
しばらく待っていると全員遅れますの連絡。
女子会というのは遅れて行くものなのか...?
全く何が正解か分からないな。
女子会の常識という本を出版して欲しいわ、と考えながらお店の前で待ちぼうけをした。

しばらくして全員が揃い早速注文しようとしたが、これまた注文の内容にも驚いた。

ねぇねぇ豆腐サラダ食べたくない?
野菜スティックも!
あたしせせり食べたーい!
エビにしようよ!

んん?
これは自分の知ってる焼肉じゃないぞ。
普段ならロースにカルビにホルモン、キムチにナムルなんかを頼むのだが、それを言ってしまうと完全にアウェーな立場になってしまう空気が満杯だったので、今回ばかりは勝手が分からない、しどろもどろになりつつも静かに見守ることにした。
でもお米だけはどうしても食べたかったので、

ライスください。

ぽつりと注文すると、女子たち全員がこちらを向き、お米食べるなんて信じられないという顔をし、

糖質制限って当たり前じゃない。
普通食べないよね。
ねー!

と皆で顔を見合わせていた。

困った。
空気を読み間違えた。
そりゃそうだ、意識高い系と呼ばれる女子たちが丼飯なんて食べるわけがなかろう。
これは完全に場違いの会だ。来てしまったことに後悔しつつも、違う世界の人たちとコミュニケーションをとるのは刺激にもなるし、新しい価値観を知れるいい機会だし、これも勉強勉強。と思い、今回ばかりはひっそりと過ごそう。
こんな焼き肉もあるんだなぁと隅の席で野菜ばかりもしゃりもしゃりと食べて過ごした。

更に驚いたのはデザート。
待ってましたとばかりにお芋のアイスやパフェを注文していく。

一番さっぱりしている柚子シャーベットを食べながら、糖質制限って言ってなかったっけ?と矛盾を感じつつも、口を出してはいけないと学習したばかりなので黙々とシャーベットを食べた。

有難いことに皆綺麗でいい人たちだった。
想像していた女子会とは全く違っていて、最後まで和やかなムードだった。
しかし結局は会話の輪にも入れず、終始視線はきょろきょろ、言葉はとびとびだったのでさぞ挙動不審に見えたことだろう。

ニンゲンニハムキフムキガアリマース。と脳内神様がフォローして下さったので、これはこれでいい経験になったわ、と自分を納得させた。

帰り道、野菜だけではお腹がいっぱいにならず、ハラペコ虫がぐーぐーと鳴き始めてしまった。
せっかく街中に来たし何か食べて帰ろう。と、よく行く和食料理店に向かった。
お刺身定食や天ぷら定食屋、親子丼や鉄火巻きなど、定番の和食が食べられる小さなお店。

メニューのなかにオムライスがあった。
チキンライスを薄焼き卵でくるんでケチャップをかけた昔ながらのこれぞオムライスというフォルムだ。
半熟とろとろも好きだが、昔から食べ親しんでいるのはこっち。
オーソドックスな具のしっかり味のチキンライスにしっとりとした薄焼き卵、酸味の効いたケチャップソースと食べるとちょうどの味わいになる。
懐かしさを感じながら早速いただきます。

スプーンでケチャップソースを広げて、一番太っちょな真ん中にさくっと切り込みを入れて、スプーンいっぱいにすくい、あんぐりと開けた大きな口でぱくり。

うん、これこれ。
やっぱりお米は美味しいなぁと思いつつ、綺麗を保つためには好きなものばかりや美味しいものばかりではなくて、当たり前だけど人一倍日々コントロールをしながら食事しているんだな、と、食事の難しさを改めて感じていた。

食に関係する仕事をしているので、常々美味しいものを提供して、喜んでもらい、それで綺麗になって、目に見えない内側にも自信を持ってもらえるなら本当に幸せなことだと思う。

極端な食事制限や偏った食生活をしている人はたくさんいる。
専門的な知識は分からないし、誰もが毎日料理できるわけでもない。
健康になりたい、痩せて綺麗になりたいと願う人も多い。
次から次へと入ってくる新しい情報と上手く付き合い、日常に取り入れていくことはとても難しい。
それでもただ純粋に美味しいと思える気持ちを大切にしたいな。
と感じた女子会だった。

ぺろりと平らげたお皿を見ながら、
でも食べ過ぎには気をつけなきゃな。
とほっぺたのお肉をむにょむにょしながらごまかし笑いをした。

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