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短編小説

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#短編

大馬鹿野郎

大馬鹿野郎

三つ単語のお題を貰って書いた短い物語です。

「ごはん」「鹿」「花火」静かな町に悲鳴が響き渡っていた。また、この季節がやってきた。窓を少し開けて、外の様子をうかがってみると、町はパニック状態に陥っていた。
鹿が暴れまわっていた。いや、あれは鹿なのだろうか?奈良動物公園にいる鹿を全匹合体させたような馬鹿でかい鹿。山からあいつがまた私の町に降りてきた。何を食べたらあんなにでかくなるんだよ。知ってるよ。

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忘れられない一日

忘れられない一日

三つ単語のお題を貰って書いた短い物語です。

「誕生日」「友達」「ケーキ」

明日は特別な日!明日はあたしの大好きな恋人のたっちゃんの誕生日。そして、あたしとたっちゃんが付き合って一年記念日。たっちゃんの誕生日はあたしたちが付き合った記念日と一緒の日なの!明日はあたしが生きてきた人生の中で一番幸せな一日にするって今からやる気満々なの!
大好きなたっちゃんのためにどんなお祝いをしてあげようかって、ち

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私はキジムナー

彼が浮気した。確実に。合鍵で彼のアパートに入ると私は発見した。つけまつ毛を。彼の部屋の床にぴったりとくっついている、つけまつ毛を。私が普段使っているものとは明らかに別物の、毛虫みたいな、埃にまみれまくった、つけまつ毛を。

私は佇んでいた。彼が大好きなアサヒの瓶ビールが何本も入った重いスーパーマーケットのビニール袋を両手にぶら下げたまま。ビニール袋が手に食い込んで痛かった。でも、それよりも痛い

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