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生まれて初めて焼いたパン

私の生徒たちはまだたった14−15歳なので、”生まれて初めて”の経験が日々たくさんあると思う。本人たちは意識せずとも、外から見ているだけでもいいことや、悪いことや、どっちでもないことの初めてがまだまだ日常で目白押しだ。なんと羨ましいことか!(*アメリカの高校で教師をしています)

彼らは時には意図して”初めて”のことをやってみることがある。

昨日はC君にとってはそんな日だった。彼は何を思い立ったか、生まれて初めてパンを焼いたのだ。大人の手を借りずに、Youtubeを見ながら計量カップを使って何時間もかけて焼いたらしい。

朝一番に彼は元気よく教室に入ってきて、”ハイ!これ先生の!” と丸いパンを渡してくれた。ひとしきり初めてのパンにしては上出来で、家族もみんな美味しい美味しいと食べてくれた、見た目もかわいいしまた焼こうと思う、と満面の笑顔でキッチンでのバタバタ劇を話してくれた。

”食べてみて、早く!”

彼が急かすので、普段は朝ごはんを食べない私だが半分に割って食べることにする。

口に入れる前にC君とパンの写真をたくさん撮った。彼にとっては初めてのパン作り、私にとってはこれが初めての生徒が作ったパンを食べる体験だ!

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卵を塗ってつやつやまるまるに焼き上がったパン!前日に焼いたのでちょっと硬い手触り、でも美味しそうだ〜

じゃあ食べるよ〜と声をかけて半分に割ってみると、なんと!!!!

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あんこが入っていた!

びっくりして彼の顔を見ると、サプライズが成功して嬉しそうに照れながら

”日本のパンを調べたらあんこが入っているって書いてあったから、お母さんに頼んでインターネットであんこを買ったんだ” 

と教えてくれた。

日本のパンを調べたら・・・・・彼はひょっとして私のために初めてのパンを焼いてくれたのだろうか、そう思うと胸が熱くなった。彼には聞かなかったので真相はわからない。

半分になったあんぱんはやっぱりちょっと硬くてボソボソになっていた。でも私がこれまで食べた中で最高に美味しいあんぱんだった。

彼は袋いっぱいにあんぱんを持ってきていた。クラスメイトが教室に入ってくるたびに 

”ねぇ!僕が焼いた日本のパン食べる?” と聞き、きゃあきゃあと喜ぶクラスメイトにあげていた。

授業が始まる前に半分を平らげて、残りの半分は何となく食べられずに持って帰って来てしまった。

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これを書き終えたら食べよう。泣くかもしれないな。

シマフィー 

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