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その仕事そのものを楽しみ、自分の動機づけを加速させるために


先日、「年度末に向けてあわただしくなりますね」と以前の記事をSNSでシェアしました。


これから春まで、私たち地方公務員は議会の予算委員会の対応や各種事業の年度末の締めなど、慌ただしく過ごす時期になります。

そんな中でオミクロン株による感染拡大まで重なって……。


この時期、部署の窓口担当(お客さん用の窓口ではなくて)や庶務・総務の担当をしていると、内部での依頼や照会などの流通量が増えるので、一層あわただしくなり、余裕もなくなります。

そんなときでも忘れないようにしたいのが、仕事を振ったらそれで終わりではなく、その仕事が自分の部署の中でちゃんと遂行されることに責任をもつという意識です。


例えば、この時期(1月中旬)、2月議会に上程する予算書や対外的に公表する予算案の説明資料などの校正が各部署に依頼されます。

依頼を受け取ると、各部署の窓口担当は部署内の各事業担当にその校正を依頼します。
〆切を設けて、「修正すべき箇所があれば、ファイルに赤字見え消しで指摘して指定のフォルダに格納してください」といった感じでしょうか。(仕事のやり方は現場によって様々ですが)

そこで窓口担当は、部署内の各事業担当に校正を「頼んだ」ことで自分の仕事が終わったことにしていませんか、ということです。


その部署として求められている成果は何でしょうか?


それは、「その部署が担当する事業に関して、最終的に誤りがないことを確認し、誤りがあればその修正箇所と内容を回答する」ということです。

そんな状況で窓口担当は「事業担当に作業を頼むこと」、事業担当は「それをチェックすること」と役割分担をしっかり線引きすることは、ある意味自然な意識かもしれません。

でも、他の仕事に追いやられて事業担当が、ちゃんと校正のための時間を確保できないこともあります。

私も窓口担当の経験がありますが、担当している事業のことに時間を使いたい事業担当にとっては、部署内のその手の依頼は煩わしいものです。
あとでやろうと思って、目を通してもらえないまま期限を迎えてしまうことも珍しくありませんでした。

そんなとき窓口担当として、「私は事業担当に〆切を設けて頼んだのだから、ちゃんと校正をしたかどうかは事業担当の責任。私は知りません」で終わらせれば、作業としても気持ちとしても楽でしょう。


ただ、そういう考えで取り組むと、仕事が単なる「作業」になります。

単なる「作業」は、自分の時間、つまりは命を切り売りしてお金に換えているだけ。だからその時間に多くの作業を押し付けられれば迷惑に感じますし、同じ時間でも暇であればあるほど得した気になってしまいます。(暇な部署に本気で憧れるひとがいるとしたら、同じ発想が根底にあるのかもしれません)

それは、働き方研究家の西村佳哲さんが著書『自分の仕事をつくる』の冒頭で言及している「こんなもんでいいしょ」という仕事です。


少し違った考え方をしてみたいと思います。

その部署として求められている成果は「その部署が担当する事業に関して、最終的に誤りがないことを確認し、誤りがあればそれを修正して提出する」ことでした。

もし、窓口担当としての仕事を、自分の部署がこの成果を挙げるために必要な「結節点」の務めを果たすことだと意味付けたらどうでしょうか。


窓口担当は、情報や依頼などが出入りする「窓」であると同時に、他の部署との「結節点」でもあります。単に出入口なのではなく、両者をつなぐのが役割。

であれば、どうしたら自分たちの部署内でちゃんとチェックをして、校正の結果を回答できるのか考え、実行するのが仕事です。

事業担当が煩わしいと思うなら、どうしたらその負担を小さくできるかを考えてみる。
チェックが必要なところに付箋を立てたり、その範囲をマーカーで示すことで、「ここだけ確認してもらえればいいですよ」と範囲を限定するだけでも、負担感はかなり小さくなります。
また、窓口担当として貢献するなら、その部署内の各事業について理解を深め、校正として修正すべき箇所の有無やその修正内容を「こういう修正が必要だと思いますが如何ですか」と提案できれば、確認する事業担当の負担はますます小さくなります。

もしかしたら事業担当も、そういう工夫を重ねる窓口担当に対して「○○さんが窓口担当になってから、担当業務に集中できて助かる」と思ってくれるかもしれません。


こんなふうに、どうしたら自分の部署(チーム)として必要な成果を挙げられるかを考えたり、どうしたら相手の負担を小さくできるかを考えたりすることは、とても創造的な仕事ですし、本当の意味で相手に価値を届ける仕事、つまりは“働く(=傍を楽にする)”ことにならないでしょうか。


自分の裁量での創意工夫、部署(チーム)に貢献できている実感、相手からの感謝。何より、その仕事を自ら考え、工夫するという主体性の発揮。

これらはその仕事そのものを楽しみ、自分の動機づけを加速させるとても大切な要素です。

もちろん窓口担当に限らず、私たち市役所の現場は、隅から隅まで誰かの仕事で出来ています。それらのどこを担うことになったとしても、同じ考え方の応用で、自分の動機づけを加速させることができるはずです。


皆さんは、どのように考えますか?




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