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社員のおすすめビジネス書③

こんにちは、志高塾です。

本日は、社員によるビジネス書の紹介文、第3弾です!

今までビジネス書と聞くと、「こうしたら成功する」というような「手段」が詰めこまれた書籍を連想していました(だから苦手だったのかも……)。しかし、彼女たちの選書や紹介文はいずれも、もっと根本的な、「なんのためにそれをするのか」という「目的」をしっかりと教えてくれています。


徳野のおすすめビジネス書『熱狂のデザイン 楽しく結果を出すチームのつくり方』

「優れたリーダー」とはどんな人物でしょうか。そのずば抜けたスキルを尊敬される人?皆をあっと言わせるようなアイデアを生み出して、メンバーを牽引していくカリスマ?思い浮かべるイメージは様々でしょうが、「チームを良い状態にできる」というのは共通しているようです。そして、「良い状態」とは「メンバー全員が共感し合っていること」であると認識することが、低成長時代に突入していると言われている日本経済の新たな道標となります。

タイトルにもある通り、本作の趣旨はチームビルディングの方法を紹介することです。それと同時に、著者の岸昌史氏は個人が日々を充実させるための思考のプロセスを説くのに全頁の半分近くを割いています。なぜなら「共感」を呼ぶには、まずはリーダーが自身の仕事に熱中していることが第一条件になるからです。そのために重要になってくるのが、己の弱さを無理に隠そうとしないナチュラルさと、「ビーイング(ありたい姿)」「ビジョン(実現したい未来)「バリューズ(行動基準)」という3本柱の定義であり、いずれも根幹には「好き」という感情があります。逆に、利益の追求しか眼中に無い組織に滅私奉公する真面目さを求めるのは、自己充実感を重視する令和の若者世代にはそっぽを向かれてしまいます。

たとえリーダーとしての立場やチームビルディングに今は興味が無くても、人生を楽しみたいという願いは誰もが持っているはずです。また、それは必ず仕事を通してである必要はありません。例えば子育てや部活動においても、上で挙げた「3本柱」に向き合い続ける時間は物事を良い方向に導いてくれるに違いありません。とにかく、まずは個人として幸せになることから始めて、そこから周囲を巻き込んでいくことが大切です。

三浦のおすすめビジネス書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』

現代の企業は「サイエンス」、つまり「論理」に比重が置かれており、「アート」や「直感」は蔑ろにされる傾向にある。数値化できるもの、根拠を説明できるものが優先されているが、世の中が「合理的に解を求める」ことを目指していけば、その工程や解には差別化が図れず、レッドオーシャンと化す。変化が大きい世の中において、基軸にするべきはそのような「サイエンス」だけでなく、より「アート」、「真・善・美」を追求したリーダーシップである。何が優先されるべきか、正しいか、美しいか。その基準を心によって定め、共有する必要がある。その軸を突き詰めることがかえって最も効率的だ。

本書で述べられている「アート」とはいわば美意識であり、そしてステレオタイプからの脱却、システムを俯瞰する力、現状を疑う視線である。欧米の名門校では文系理系問わず哲学教育が行われているというが、テクニックなどよりも美意識を磨く力が根底に据えられているのは、その必要性が自明であるからだろう。

竹内のおすすめビジネス書『あしたから出版社』

「夏葉社」という「ひとり出版社」を吉祥寺に立ち上げた著者が、その経緯や初期に刊行した本ができるまでを振り返ったエッセイである。著者である島田氏は、20代の頃は作家を志し、それゆえにまともに就職活動をしていなかった。しかし、かけがえのない存在であった従兄や大学時代の後輩の死に直面し、その後ある詩集の一篇に魅せられたことで、30代に入り、その復刊のためにたった一人の出版社を始めたのだ。当初は最愛の息子を亡くしたその両親に本を届けることだけが目的だったが、知人の編集者や書店員、本づくりに協力してくれる人々との関りによって「良い本」をもう1冊、もう1冊と増やしていくことができた。「それしかできない」から「それをするべき」という自分の役目を見出すまでが綴られている。

起業、そしてその継続のために彼はかなりの借金をしていて、家族をはじめとした周囲の助けがなければ社の未来は危うかった。だから、「自分で事業を起こしたい」という意欲に対して具体的なヒントを与えうるハウツー本とは言い難い。ただ、「こういうものを作りたい、人に届けたい」という思い自体は紛れもなく自分で何かを始めるためには一番持っておかなければならない信念である。それが、人を巻き込み、動かす行動力として現れ、実際に本という形あるものを生み出してきた。まっすぐに仕事をしよう(「労働」に限らず、自分がすべきことすべて)という気持ちを駆り立ててくれる一冊。

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