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部下に"お願い"はしません。上司としてするのは…

「お願い」ではなく「言い切り」で任せる

前回のnoteでリーダーとしての位置が理解できたでしょうか。
まだ読んでいない方はこちらもチェックしてみてください。

ここでは部下の位置について説明していきます。部下にも「自分は今、どういう位置に身を置いているか」を正しく認識させることが大切です。それは、「誰から評価されるのかを理解させること」です。

「今、自分が評価を得なければいけない存在は誰なのか」を正しく認識する必要があります。

組織においては、通常の社員は直属の上司に評価される存在です。その上司はそのまた上司に評価されます。トップにいる社長を評価する人は、組織の中には存在しませんが、社長は、お客様や株主など「社会」から評価されます。

当たり前のように聞こえますが、問題を抱えている組織では、この当たり前のことができていないのです。

評価という言葉を聞くと、次のようなことを思わせないでしょうか。

「正しく評価なんかされるわけがない」
「上司は全然、自分を見てくれない」

大抵の部下の人たちはそのような意見が返ってきます。なんども言ってきているように、それはリーダーが感情による評価をしていることが原因です。
リーダーは「平等に見ること」が求められます。つまり、仮面をかぶって事実だけで評価を下せているかどうかが問われるのです。

リーダーはお願いをするな

平等とは、対等という意味ではありません。

「位置を明確にしたコミュニケーション」を部下たち全員にできているかが大事です。

例えば、部下に仕事を任せるとき、次のような言い方をしていませんか?

「時間があるときに、資料まとめてくれる?」
「やりたくなかったらいいんだけど、この仕事できるかな?」

これらは、典型的な「位置」を間違えた言い方です。平等と対等を混同しています。特にプレイヤー気分が抜けない若手リーダーが言いがちです。

これらのいい方が間違っている理由を2つ説明します。

1:「決定権が部下にあること」
→これはすぐに分るでしょう。「いま、ちょっと忙しい」「やりたくないです」と、簡単に断ることができてしまうからです。

2:「責任の所在」
→大事なのはこちらの理由です。本来は、指示に対しての実行責任が部下にもあり、実行の結果責任は上司にあります。

部下に決めさせるような言い方なので、結果が悪かった時に、「実行することを決めたあなたが悪い」「引き受けたのに、なぜ上手くいってないんだ」と、後から部下に責任を押し付けることができてしまいます。

先ほどのいい方だと、指示ではなく「お願いごと」になります。対等な関係、もしくはお願いされた方が上になってしまうような言い方です。

こういった位置を間違えたコミュニケーションを、徹底的になくさなければいけません。

「言い切ること」に慣れよう

部下の気を使い、「お伺い」を立てる人が多くいます。

「この仕事、できるかな、どう?」という言い方です。そしていざ、部下が引き受けると、好きなようにやっていいからと丸投げにします。

そうすると、部下達は責任の所在がどこにあるのかわからなくなるので、更に上の上司に直接アプローチしたり、リーダーとしての役割が全く機能しなくなるのです。

ここで、識学の考えを使うと
「上司からは言い切り口調にする」ということです。

「この仕事はAさんに任せた。契約に結び付けてほしい」
「来週の火曜の15時までに資料をまとめておいてください」

と、一つ一つの指示を言い切るようにしました。

初めは「あまり偉そうにしたくない…」という心理的抵抗が起こりますが
責任をもって部下に仕事を任せない限り、仕事は回りません。

徐々に言い切り口調にも慣れてくると、最終的にはチーム全体の仕事のスピードが上がるようになるのです。

よくあるダメな言い方を紹介します。「メリットを提示する」言い方です。

「今度飲みに連れていくから」
「次からは他の部下に任せるから」

など、ご褒美を提示し、モチベーションを上げるような仕事の任せ方です。

この例のように部下のやる気を気にする必要はないのです。役割と責任に応じて上から下へ仕事が下りてくるだけです。

ご褒美を上げる必要はありませんし、たとえ達成できたとしても、必要以上に褒める必要はありません。逆にご褒美を上げるようなことをすると、まるで自分はすごいことをしたと勘違いしたり、次に何もなかった時やる気を損ねたりします。

部下を子ども扱いしてはいけないのです。ここでも仮面をかぶり、「いい人」を演じるのはやめましょう。

「あれってどうなった?」を言わないルール設計

部下に指示をするときに、必ずやるべきことがあります。

それは、「締め切り」の設定です。

よく聞くのが、「時間があるときでいいから」といったお願いの仕方ですが、絶対にNGです。指示に期限を入れていないと、上司から部下へ「あれって、どうなった?」と確認しなければなりません。

指示は「上から下」で、その後は必ず「下から上」になるようにします。

「これを来週水曜の11時までに仕上げてください」

このように伝えます。

もし、部下ができないと思えば、期限の延長を求めることができます。こういった事実ベースのやり取りは、部下が自分の職務を果たす上での発言なので、問題はありません。情報は常にオープンにし、その都度判断しましょう。

こうした仕事の任せ方ひとつで、「位置」は正しく認識させられます。この仕事の任せ方こそが、「日々の行動のズレ」です。

ダメなお願いの仕方が、組織をダメにしていきます。リーダーの位置を間違えない言い方を身につけましょう。