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【地域メディアの作り方⑦】取材編2.読者が人に教えたくなる質問は?

香川県高松市で地域メディアを運営している、元編集者のしかシカです。

本シリーズ【地域メディアの作り方】では、僕が地域メディアを運営するにあたって実践していることや考え方をシェアしています。

今回も前回に引き続き、メディアに独自性を生むための重要コンテンツ、取材記事の作り方について。

前回はこちら。

上記では取材前の「準備」について書きましたが、今回は記事の骨子になる「質問」の考え方について掘り下げていきます。


質問のポイントは、取材後にリリースする記事が、「人に教えたくなるものかどうか」。

ちゃんと「人に教えたくなる記事」になっていれば、読者がSNSにシェアしてくれたりして、コンテンツが圧倒的に早く認知されるようになります。

たとえば僕の事例では、あるローカルな飲食店の取材記事が、「TV番組で取り上げられた」という話題性と相まって、1日で300PV近くにまで伸びました。
(地域メディアの単記事で、この数字は成功といえるんじゃないでしょうか)


|何より「読者の欲求を満たす」記事になるよう質問を組み立てる

僕が取材対象に向けて質問を考えるときに意識していることが3つあります。

1. 個性
2. 想い
3. 話題性

ですが、具体的な解説に入る前に大事なことをお伝えします。それは、

・あなたが知りたいことじゃなく
・取材相手が話したいことじゃなく(もちろん相手の話をねじ曲げることじゃないです)
・読者の欲求を満たすものであること

です。

人間は他人から認められたい自己承認欲求というものを持っています。
自分が希少生の高い情報を持ち、それを他人にシェアすることで、自己顕示欲を満たすんですね。

ですから、「読者の自己承認欲求を満たす」という視点を持つことで、読者にコンテンツを広めてもらえる確度が高まるわけです。


これは取材記事じゃなくても大事な考え方ですが、取材記事は特に相手の言葉に感心してしまって、ついつい読者のことを見失ってしまいがち。

でも、あなた自身も取材相手も、もっと自分のことを知ってもらいたくて記事をリリースするわけですよね?

だから、「読者の欲求を満たす」ことを第一に、質問を組み立てていくんです。


僕が質問の核にしている 1.個性 2.想い 3.話題性 は、すべて「他人にシェアしたい」という自己承認欲求から逆算したもの。

実際に事例を見ていただいた方が、分かりやすいと思います。


|取材事例①地域で珍しい料理を出している人気のカレー屋さん

高松の「カリー屋MARU」さんのインタビュー

1. 個性
飲食店の個性といえば、いわずもがな、「味」ですよね。
どんな料理を出していてどんな味なのかを、読者は記事を通して擬似体験したい。

このお店は「香川本鷹」というブランド唐辛子を使っているんですが、これ自体はネットで事前に情報を仕入れられました。

そこで切り口として光を当てたのが、「ケララカリー」という看板メニュー。
ユーザーさんに人気があるのはもちろん、作り手にも特別な思い入れがあるのでは? と考えて、質問の1つの核にしました。

2. 想い
店主は姉妹で、しかも他県から移住してきてまで香川県でカレー屋をやっているという経歴の持ち主でした。

しかも、他メディアではあまりその経緯について掘り下げられていませんでした。
これは掘り下げると希少な情報になるのでは? と考えました。

3. 話題性
香川県では珍しい、本格的な南インドカレーを提供していること。


1〜3まで、すべてがつながっているといえばつながっているんですが、こんな目算で、具体的な質問を考えていきました。

結果、想定していたことと違ってもいいです。

3つを意識しておけば、いずれかの話題が予想以上に広がっていきます。
記事にするとき、広がった話題を主題として書いていけばいいと思います。


|取材事例②TV番組で取り上げられた骨付鳥専門店

高松の骨付鳥専門店「寄鳥味鳥」さんのインタビュー

1. 個性
香川県のご当地名物、骨付鳥の専門店であること。

2. 想い
話題性ともつながりますが、このお店は取材当時、創業35年という節目でした。
この35年の間にどんなトピックがあったのか、どんな想いでやってきたのか。

やはり他メディアでは掘り下げられていなかったのと、35年という時間に対し、読者も思いを馳せるものがあるのでは?と考えました。

3. 話題性
取材前月にTV番組で取り上げられ、「ジャニーズのメンバーが骨付鳥を食べた」という大きな話題性がありました。


実際に取材してみて、35年のなかのもっとも大きなトピックがTV出演だったので、想いと話題性がつながって、他では聞けない話になりました。


|調べてわかる以上のことを、取材で掘り下げよう

自己承認欲求をベースに考えると、人は希少生のある情報を持ち、それを他人と分かち合いたいという本能がありあます。

逆にいえば…ネットで調べてわかるような情報、飲食店でいうメニュー構成のようなものは、希少とはいえませんよね。

強い訴求点があるのに、どこでも得られる情報までご丁寧に触れていたら、希少生を薄めてしまいます。
(本気で興味を持った読者は、どんなメニューがあるかくらい調べるでしょうし)


ただ、取材記事を読んで、お店ならお店に行くまでの橋渡しになるコンテンツはあった方がいいです。

飲食店に行ってみたレポートなど、客観的な情報があると、読者のタメになりますよね。

実際僕も、取材記事とは別にレポート記事やまとめ記事を連動させて、情報に厚みを持たせるよう意識しています。


|まとめ

質問の組み立て方のコツ、お分かりになったでしょうか?

繰り返しますが、自分でも相手でもなく、「読者」の欲求を満たすこと。
これを念頭に、取材の質問を作っていくことが大事です。


そしてそのためのポイントが、

1. 個性
2. 想い
3. 話題性

になります。

今回お伝えしたことが、これから地域メディアを始められる方のお役に立てばうれしいです。

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