ドラマに出てくる建築:フランク・ロイド・ライトと遠藤新
「建築と家具のデザイン」マガジン
建築および家具に関連した記事はこちらにまとめています。建築について詳しくなると街を歩いているだけで美術館を歩いているように楽しくなります。家具について詳しくなると映画で創造されている空間の意図を知ったり、レストランやホテルのデザインの意図を汲み取れたりします。つまり生きているだけで楽しくなります。
建築とドラマ
最近ではドラマはテレビで、というよりもアマゾン・プライムやネットフリックス、HULUといった動画配信サービスで観る方のほうが増えてきているのではないでしょうか。わたしもときどき観るのですが、ドラマのなかに何かと素敵な建築や建築家が登場するのが楽しいんです。今回は、よく見かける建築家としてフランク・ロイド・ライトと遠藤新に触れてみたいと思います。
どんなドラマにどんな建物
2023年の5月に映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が公開されるドラマ『岸辺露伴は動かない』。このドラマで(漫画でももちろん)取り上げられたニコラ・ド・スタールという画家についてもこちらのブログで触れています。
さてドラマで岸辺露伴が住んでいる建物は、玄関周りには、フランク・ロイド・ライトが気に入り、多用していた栃木県の大谷石が多用されています。この建物を設計したのは、フランク・ロイド・ライトの弟子の遠藤新(えんどう・あらた)。
近代建築の四大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライト
フランク・ロイド・ライトは、近代建築の三大巨匠または四大巨匠のひとり。以前あった東京帝国ホテルの設計も手掛けた日本にも縁ある建築家です。妻、子供、弟子たちを元使用人に斧で惨殺されるという悲劇を体験しています。
ロイド氏についてはこちらの記事で詳しく書いています。
遠藤新
フランク・ロイド・ライトに師事した日本の建築家。遠藤新氏は、1917年、帝国ホテルの設計を引き受けたフランク・ロイド・ライトの建築事務所に勤務し、ロイドについて渡米したり、帝国ホテルのために帰国したりしていたのですが、フランク・ロイド・ライト氏は帝国ホテルの設計に時間もお金もかけすぎたため解雇されてしまう。そのあとを遠藤新氏が引き継いで当ホテルを完成させています。
彼らの設計した帝国ホテルは現存していませんが、こちらの動画でCGで復元されています。
また現在の帝国ホテル(東京)のバーインペリアルには、当時のホテルの一部が使用されており、なんとなく在りし日の姿を偲ぶことができます。
閑話休題。岸辺露伴が住む家は、神奈川県葉山にある「葉山加地邸」。宿泊することが出来る施設で一泊22〜26万円です。
『舞妓さんちのまかないさん』
小山愛子による漫画を原作としたNetflixのドラマ『舞妓さんちのまかないさん』。総合演出が是枝裕和、企画が川村元気。このドラマのなかに、実物は出てこないものの、若き建築家が橋本愛演じる百子を東京に連れて行くための呼び水として口にするのが自由学園明日館。このドラマ以外にも『名建築で昼食を』にもこの建物が登場します。
自由学園明日館
自由学園明日館は、東京池袋に所在する施設で、もともとは女学校でしたが、規模拡大に伴って学校は移転し、その後は文化財として開放され、結婚式場などにも利用されて、見学もできます。詳しくは下記の公式サイトを参照ください。
この幾何学的な窓などの意匠、水平に広がる作りは、フランク・ロイド・ライトの特徴です。そしてやはり大谷石が使われています。
自由学園明日館は、フランク・ロイド・ライトと遠藤新によって1921年に着工、1922年から1923年に竣工。施設は4つの建造物からなっており、そのうちの中央棟と西教室棟がフランク・ロイド・ライトの設計、東教室棟と行動は遠藤新の設計です。
この施設は、羽仁 吉一(はち よしかず)氏と羽仁 もと子(はに もとこ)氏によって設立された学校でした。羽仁氏らは婦人之友社を設立した方々。現在も自由学園明日館の向かいに婦人之友社が所在しています。
まとめ
ドラマや映画では、構築した世界観に合う場所をロケ地として使用することがあります。そのとき選ばれる建物が知っているものだとものすごく楽しいです。ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』は、わたしが住んでいた街が舞台だったので、風景も楽しく観ることができました。それにしても岸辺露伴の家は、秀逸だなぁ。
関連記事
参照
※1
よろしければサポートをお願いします。サポート頂いた金額は、書籍購入や研究に利用させていただきます。