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【小説】あと26日で新型コロナウイルスは終わります。

~繋がらない電話~

トゥルルルル~♪

何回か⚫⚫さんに連絡をしたが、その日は一度も電話に出ることはなかった。

「これから毎日電話をしていきましょう。引き継ぎも忘れずに。」

「どこか他の医療機関にすでに転院して、そこで妊婦健診に通っていればいいんだけど。」

アキナたちは、孤立した妊婦さんが自宅などで一人で出産した後に、新生児を放置または遺棄することを恐れていた。

そういうニュースが報じられるたびに、自院の元患者さんではないかと心配していた。

逆に、警察から当院に、
「最近あった新生児遺棄事件で該当者がいないか。」
と問い合わせがあれば、進んで情報提供した。

まずはそうならないために、患者さんが一人で何か悩みを抱えていれば、傾聴し、自院で解決できなさそうな問題は保健センターや母子医療センターなどに話を繋げていった。

「パートナーと実のお母さんの連絡先も書いてあるから、本人がこのまま来院もせず、連絡もつかなければ、そこにも連絡してみましょう。」

⚫⚫クリニックでは、妊婦さんに対し、必ず、

✔本人
✔パートナー
✔親族1名以上

の連絡先を書かせていた。

もし、3人分以上の連絡先が書けない場合は、余程の事情がない限りお断りすることさえあった。それは、

✅このように行方不明になったり、
✅緊急手術や輸血が必要になったとき、同意書に著名する人がいなければならない

からだ。それと、もう一つのこだわりは、妊婦さんと生涯をともにするであろう相手は、“パートナー”と呼んでいた。理由は、

☑入籍前の人が多いから
☑入籍するつもりがないから
☑お腹の中の父親と結婚相手が違うことがあるから
☑妊婦さんがまだ前の人と離婚していないから
☑300日問題があってまだ入籍できないから
☑お腹の中の父親と離婚予定であるから
☑DVで身ごもった子であり、その夫から逃げているから
☑パートナーは男性とは限らないから
☑16歳未満でまだ入籍できないから

など、ここに書かれているのはほんの一部で、“夫”や“彼氏”ではなく、“パートナー”がいちばんしっくりくる呼び方だと思われるからだ。

「早くきちんとした転院先を見つけてあげなければ。各医療機関は緊張感を維持しながらコロナ対策を継続させているから、早く紹介状を持たせて転院させないと受け入れ先が狭められてしまう。」

新型コロナウイルスが終わるまで、
あと26日。

これは、フィクションです。

 ◆自殺を防止するために厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口


 ▼いのちの電話 0570・783・556(午前10時~午後10時)、0120・783・556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)

 ▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570・064・556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)

 ▼よりそいホットライン 0120・279・338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120・279・226(24時間対応)

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