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ASD・ADHDの娘が「加害者」になるとき、親はどうするべきか?

5児の母、shiiimoです。
9歳女子(不登校)、7歳女子(ASD・ADHD)、
5歳双子男子(双子兄はADHD疑惑)、1歳の三男(重い)を絶賛子育て中です。

これを書くまでにすごく悩んだ。
でも、これは記載しておかなくてはいけないし、
いつどの親にも起こり得る話だと感じるので、記載する。

我が家の7歳の次女は、ASD・ADHDだ。
とても素直で、心底やさしく、愛情にあふれている。
障害によって苦手なモノやコトは色々あるけど、そんなの問題ない。
私はそれも含めて愛している。

次女は基本的に癒し系である。


これはまぎれもない、私の気持ち。
夫(MyLove)も同じ気持ちであると思う。

けれど。
不登校の長女に気をもんでいるうちに。
次女も不安定になっていることに気づきながら、
私たちはフォローがうまくできていなかったのかもしれない。

「次女ちゃんが最近、Sさんに攻撃的なことを言っているんですね」

先日の次女の担任からの電話は、そこに気づかせるには十分すぎた。

やさしい次女が「加害者」になるとき

Sさんは1年生の頃からいっしょに個別学級に通う女の子。
いつも、三男を連れてお迎えにいくと
「わあーーーかわいいわねっ💛」
「私のこと、見てるじゃない!」
「ねぇ、私のこと、好きなのっ?」

そういってとても可愛がってくれる。
やたらと演技がかった話し方は特徴的だが、とても愛らしく面白い。

けれど、どうやら彼女は、発狂する癖があった。

なにかがうまくいかなかったりすると、教室で発狂して授業を妨害してしまう。大きな声を出したり、立ち上がって教室の前に飛び出たり廊下に出たり。
「はいはい、みんな私が悪いんでしょう!?」なんて叫んだり。
それが起こったときには当然、別室に移動するなどの対処はあったようだが、それを毎日聞いている側には不満があったようで……

「Sさんはちょっとうるさいんだよね」と、次女がこぼすようになった。

親友のHちゃんはとくにハッキリしているので
「Sさん、すぐ叫ぶから耳がいたいの!」と帰り道が同じときには怒ったりもしていた。


これはいかんな、と思って、私はそのたびに言った。


「次女ちゃんも我慢できない!ってこと、あるよね。
あのね、次女ちゃんたちの教室は、そうやって苦手なことがたくさんある子が自分の苦手に向き合いながら、ゆっくりゆっくり勉強するところ。だから、Sさんもがんばって、自分のそういうところ、直したいとおもって教室に来ているからね。
ここだけじゃなくって、世の中、そんな人はたくさんいるんだよ。だから、少しだけ我慢してあげられたら、ママも嬉しいんだけどさ……」

そうだね、わかったよ。と、次女はいつも答えた。
そして私はそんな言葉を伝えただけで。

「次女ちゃんは大丈夫。だってこんなにも優しいんだもの」と、
問題は去った気になってしまっていた。


そうして、そんなこともありながら、みんな仲良く過ごしていた1年生が終わり、2年生になった。
2年生になってからの次女はとくにがんばっていた。
でも、担任からの個別の話が増えた。
不登校の長女と同じように、次女もまた戦っていたのだった。


そんな中。先日の担任からの電話。

次女が最近Sさんに対し、攻撃的なことを言ってしまうこと。
ただそばを通っただけで『Sさんこっちに来ないでよ!!!』と、
Sさんがなにをするにも気に入らないような態度をとること。
耳をぎゅーーっとおさえて、『もう。うるさいんだよーーー!!!』と、不快感を強く示すこと。

保育園のお迎えの後でバタバタしていて電話に出れず、実際に出たのは夫だったが、話を聞いた内容はこんな調子だった。

夫は、ショックを隠し切れない様子だった。
でも、その気持ちが痛いほどわかった。


私たちが大切に大切に育ててきた娘。
家族をいつも全力で愛してくれる彼女が。
加害者に……?

そんなはずはないよ。と、言いたいところだが、
これがASD・ADHDの特徴でもあるのだ。

一度思い込んだら気になって仕方がない。
つい感情が空気をよまずに、声に出てしまう。
行動にもそれが顕著に出てしまう。

そこをぐっとこらえるのが、人間関係の構築。
でも、それをぐっとこらえることが、彼女らにとっては人一倍、難しいのだ。

当の本人はいつもすごい格好でゲームしておりますけども


次女はできる子!できることを少しずつ。


まずはなにをすべきか。
担任と考えた結果、まずは物理的に声が気にならないようにイヤーマフを導入することになった。(名称これであってんのかしら)

「次女ちゃん。こんなカワイイのがたくさんあるみたいだよ。どんなのにする」

電話をもらった日の夜。
さっそく夫は、次女にまずはイヤーマフを調べて見せてみる。

かわいいー💛いろんなのがあるなあ、どれにしよっかなあ。
と、次女もまんざらではない様子。

他のクラスにも、イヤーマフを使用している学生が数名いることは、私も懇談会や授業参観で見ていたので、なんとなくイメージはついた。

のちに届いたときに私も試してみたが、なるほどと思った。
音は思っていたよりも聞こえる。でも、すごく遠くに遠くに聞こえる。
気にして聞けば会話も問題ない。
耳をしっかり固定してくれて、一段階、外界と隔たりをつくってくれ、守られているという感覚があった。

「ぼくはこれにする!」

次女は、ユニコーン柄のかわいいものを選んだ。

その後届いたヤツ。うんうん、かわいいね。


寝室に移動して、夜のトークタイムのとき。
次女に伝えることを試みる。

「Sさん、やっぱり気になっちゃうの?」
「うん……」
次女は私の耳を触りながら、指しゃぶりを続ける。

「声が大きいとびっくりするよね。でも、イヤーマフがあれば、これからはびっくりしちゃうときは、つけるといいよ。
Sさんも声を出したいわけじゃなくって、出ちゃうんだろうね。次女ちゃんもそういうことあるけど……難しいよね。

でも次女ちゃんは、いっちばん優しいって、ママ思ってるから。
あのさ、Sさんに怒らないように、どうしようか」

次女は、んんーーーーーと言いながら、母の耳のふにふにを加速させて、言った。


「じゃあ、明日『Sさんに怒らないチャレンジ』してみる!」


おお、チャレンジにするのか!なるほどね。
次女らしいな、と思った。
根本的には解決に至っていないのかもしれないけれど。
自分に今できることの範囲内で、即日有効な手立てとして、次女が自分で考えたのだ。

やはり彼女は天才であったのだ。(確信)


「すごくいいと思う。じゃあ、また結果を教えてね」


次女はにこにこしながら、やがて眠りに落ちた。
私はその寝顔を見ながら、少しドキドキしていた。


我が子が「加害者」側にまわってしまうとき。
親ができることはなんだろう。
今はまだきつい言葉だけ。
でも今後、さらに人を傷つけるようなことがあったら……
私が伝えたことは果たしてあっているのか。
次女への伝え方に問題はなかっただろうか。

そんな考えが頭の中を忙しなく駆け巡っていた。


親が見せるべき姿で、次女は変われる


翌日。
「怒らないチャレンジ、ちゃんとできたよ!」

仕事後に私が帰宅した頃、次女は笑顔で報告してくれた。
すごいね!さすがだなあ。えらいよ。
私はしっかりほめたたえた。
担任からのファイルにも、「チャレンジがんばっていました」との記載があった。

意識しているうちだけだろう、とも思う。
彼女は物事を失念してしまいがちだし、定期的に伝えていかないといけない。
Hちゃんを仲間につけて、気も大きくなりがち。

けれど、彼女の優しさを、もっと多くの人にも渡せる人であってほしい。

母は願い、ひたすらに伝えていくしかない。

それは言葉にするよりも、おそらく
親である私たちが、彼女たちに身をもって伝えていくべきことだろう。



子どもは、本当に親の姿をよく見ていると思う。

同時に、教員の全てもよく見ている。

次女はかつてこう漏らしていた。

「先生もSさんが叫ぶと迷惑そう」
「Sさんはいつも先生を怒らせてて、先生困ってる」

都合のいい部分だけ見ている可能性もある。
しかし、やはり先生たちも、「やれやれ。またか」という態度に出てしまうこともあったのかもしれない。

だからといって。
そういう人には私も怒っていいんだ!
だってSさんはうるさいから。
だってSさんは先生を困らせるから。

そういう考えには結びつけないでいてほしい。

「人の役にたとう!」
ASDやADHDの子って、そんな考えを自然ともつ子が多い。
そしてそれが思わぬ方向に働くこともある。
今回の次女のように。


道を間違えないためには、まずは親である私たちが。
改めて、彼女の優しさを認めて、広げて、あたためて、引き伸ばしてあげなくてはいけない。

きっとまだ喧嘩もするし
我慢もきかないし
怒ってしまうこともあるだろう。

繰り返してばかりだけど。
何度も伝えていかないといけない。

次女ちゃん。
あなたがなるべきは「加害者」じゃなくって
「加愛者」なんだ。

もっともっとその愛を
与えられる人であってほしいな。


そのために母も
日々、正しくありたいと思うよ。
正直まだ、手探りだよ。
でもいっしょにさ。
がんばろうね。


ヤンヤンつけボーは最後まで指で楽しむタイプ


悩みつつ。これでいいのかわからないなあと思いながら
記事に吐き出している週末です。
プールをおおいに楽しんだ子どもたち。

明日も楽しくすごせますように。
みなさんもお疲れ様でした🍀

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