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オンラインで、いいチームは作れるのか?

オンライン大学で、ラーニングアドバイザーとして、学生のメンターのような立場で関わりはじめ4年。10代~50代以上まで年齢、業界、バックグラウンドの異なる学生が集まるユニークな学びの場。組織論というテーマの中で、どうやっていいチームを作っていくか?がポイントだ。理論を学ぶだけで終わらせず、実践にそれぞれの現場でどう活かすかが重要。ラーニングアドバイザーとして、私の役割はフィードバック。褒めて、承認して、優しく後押しするというよりは、どちらかというと学生が自分では気づいていないような視点から、厳しいフィードバックをする。全く考えもしなかった方からボールが飛んできて、価値観や考え、心が揺らぎながら、自分の軸を作っていくことを大切にしている。正解を追い求めたり、他と比べることなく、自分はどう在りたいか?

今年も開講し、100数十人の学生が10数余りのグループに分かれ、いいチームとは何なのか?自分たちのチーム作りに励んでいく。毎年様々なドラマが生まれ、本気でぶつかり、感動が生まれる。最近の傾向として、チームや全体としてどうか?よりも、個々の思いや意見を尊重するような時代背景も伺い知れる。

あるチームXは、メンバーお互いへの興味関心、共感性が高く、一見うまくいっているように見える。一方で反対意見やネガティブな反応に対する、自分たちを否定されたような拒否感が強い。傍から見ると、承認欲求の強いメンバーがわざわざ自爆的な発言をして、まわりが一生懸命火消しする始末。必要以上に無理してポジティブに振る舞うが、それではメンバーが疲弊し、明らかにチームに悪影響。そのことを指摘したら、思った通り大反発が起きて、SNSいじめのようにたたみかけるような共感の嵐で、総攻撃に遭った。それを見ていた別のメンバーは心を痛め、表面上は私に反発しているのだが、実際は嫌な状況に心理的に耐えられず自己防衛だろう。そんな中、リーダーとして軌道修正し、自分たちを定義し、前を向いて率いていった真のリーダーが出てきた。自分たちの嫌な部分から目を背け、なかったことにするのではなく、振り返って言語化しようと声を挙げたメンバーもいた。

一言だけ言いたくて、真剣に向き合って頂きありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです。しほさんは、私の中で1番のLAさんです!

その人がどれだけ本気で向き合って、成長したか?客観的にみて評価する立場からすると、コミュニケーション能力や対人関係の強さが目立つとしても、特に悪い時にチームで何が起きてどう変化したのか、ちゃんと理解していて、言語化できるかどうかが問われる。もしそれにすら気づかず、なんとなく楽しかっただけでは学びに繋がらないからだ。どれだけ悔しい思いをして、葛藤に悩みながらも自分に素直になって、自分の頭で考え、行動できたか、その成長のプロセスを見ている。

もうひとつ圧倒的な成果をあげ、誰が見てもいいチームになったチームY。まず、コンテンツ自体がすばらしく、LINEで日々の振り返りを共有し、discordというオンラインツールで個人が抱える課題に対する本気のフィードバックをし合う、最終的にはお互いに手紙(ラブレター)を書く姿には心温まるものがあった。全く知らない人同士が短期間で集められた時に、お互いの状況を理解するのは難しい。今日はどんなことがあって、どんな気持ちになったのか、いわゆる日報のような事実報告だけでなく、感情にこそ人となりが表れ、お互いをよく知るきっかけになり、何よりチームに繋がりが生まれる。ひとりひとりが課題だからではなく、真剣にいいチームを作ろうと絶え間ない努力を続けた結果、成果物に落とし込むラストスパートでは一気にチームとして一体感を持って、それぞれの役割を果たし、事を成し遂げてしまった。不思議と、あまりコミットできなかったメンバーも、誰に何を言われなくても、自分にできることは何か?どんどんチームに貢献したくなる。いつもはリーダー格のメンバーが、このチームではフォロワーになり傍から見ているだけで何もできなかったと悔やんでいたが、まわりはその苦しみも彼の良さも十分わかっている。「ただ、あなたがいてくれるだけで、存在にありがとう」自然と感謝が溢れていた。一番学んだのは誰か?あー、うまくできなかった、失敗したと思ったら、必ず次にチャレンジする原動力になるから自分を信じよう。

メンバーひとりひとりが強みを活かして自分らしく輝き、チームとして最大限のパフォーマンスを発揮したい。

10年前、学生時代から少しずつアップデートしながら温めてきた、私の願望。根本にある思いは、人はそれぞれ本来の力がある、それをチームとしてエネルギーを巡らせていきたい。「いい仲間と、いい仕事。」本気で挑んでいきたい。

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