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更年期のイライラや不眠、不安定な生理周期に効く漢方薬(3):加味逍遥散の解説

勉強の成果が出てきた?

最近はエストロゲンとかプロゲステロンとか、女性ホルモンの名称がスラスラ口から出てくる今日のこのごろ、あなたのお身体に問題はありませんか。今日は元気に過ごせましたか。

昨日までできなかったことができるようになる。今までわからなかったことがわかるようになった。人生にはこうした「うれしくなる瞬間」がいくつかあったりします。

病院の検査で「異常なし」の症状があるらしい

病院の検査で有名なものといえば「血液検査」や「レントゲン」などですが、医師は専門的知見からその数値や画像を見て「異常」があるかないかを判断して治療を行います。

一方で自宅で、自分でできる有名な検査が「体温計」ですが、私たちは体調が悪いとまず「体温」を測って発熱があるかどうかを確認します。

しかし、自宅と病院の両方の検査で「異常なし」の症状があるらしい。

検査で異常が見つからず、原因がよくわからない症状を「不定愁訴」といいます

不定愁訴の代表的な症状は、

・だるい、疲れが取れない
・眠れない、いつも眠気がある
・イライラ、不安感
・肩こり、頭痛、など

不定愁訴は症状の原因がわからないために「積極的な治療」は行えず、対症療法として「とりあえず様子見」で症状の緩和に努めます。

原因がわからない不定愁訴ですが、一般的には「自律神経の乱れ」が原因だといわれているのは自律神経を整えることで症状が改善されるケースが多いためです。

では、何が自律神経を乱すのか。


自律神経を乱す原因は次の3つが考えられます。

・ストレス
・不規則な生活習慣
・ホルモンバランスの乱れ

エストロゲンが自律神経に与える影響

自律神経が乱れる原因として今回は「ホルモンバランスの乱れ」について解説します。

更年期といわれる40代から卵巣の機能が低下してエストロゲンの分泌が少なくなります。

しかし事情を知らない視床下部はこれまでどおり「GnRH」(ゴナドトロピン)ホルモンを放出してエストロゲンの分泌を促しますが、卵巣からの応答がなく何度もホルモンを放出します。

更年期は全体的にエストロゲンの分泌が減少しますが、分泌したりしなかったりと不規則に「ゆらぐ」ようになります


NHK健康チャンネルより抜粋


ホルモンを放出しているのに卵巣からの応答がない。視床下部はパニックになります。

エストロゲンの分泌がないと次に控える「LHサージ」、つまり黄体形成ホルモンの分泌を増やして排卵ができなくなるからです


視床下部のパニックは視床下部が他にも司っている「自律神経」にも影響を及ぼして、自律神経が乱れてそれが不定愁訴の原因だと考えられています。

婦人科を定期的に受診していれば、かかりつけ医がいればささいなことでも心身の不調を相談できますが、「だるい」「眠い」などは初診でなかなか相談しづらいものです。

そこで不定愁訴を改善する代表的な漢方薬「加味逍遥散」があなたの心身の諸症状を改善してくれるかもしれません。

改善しなければ病院を受診するきっかけにはなるので、どちらに転んでも(薬が効いたほうがもちろんいいですが)、あなたが元気になれるきっかけになります。

加味逍遥散の成分他詳細情報



加味逍遙散料エキス錠 180錠4950円(参考価格)
成分
15歳以上1日服用量12錠中加味逍遥散エキス(3/5量)2460mg

「気」グループ
・柴胡1.8g:理気、自律神経抑制、抗炎症作用
・薄荷0.6g:消炎作用

「血」グループ
・当帰1.8g:補血、活血作用
・芍薬1.8g:補血、筋弛緩作用
・牡丹皮1.2g:活血、清熱作用
・サンシシ1.2g:活血、清熱、消炎作用

「健脾」グループ
・茯苓1.8g:利水、健胃作用
・白朮1.8g:利水、健胃作用
・甘草0.9g:健胃、補気、抗炎症作用
・生姜0.3g:健胃、血行促進作用

用法用量
次の量を1日3回、食前または食間に水または白湯にて服用してください。

・15歳以上1回4錠
・7歳以上15歳未満1回3錠
・5歳以上7歳未満1回2錠

効能効果
体力中等度以下でのぼせ、肩こり、疲れやすく、イライラなどの精神症状があり次の症状がある人
月経不順、更年期障害、不眠症、など

相談すること
・胃腸が弱い人、など

その他ご不明な点は薬剤師や登録販売者にご相談ください。


加味逍遙散がイライラや不安など精神症状に効く理由

加味逍遙散の主な作用は3つあります。

・上昇した「気」を下に下ろして、気を全身にめぐらせる
・頭や上半身にたまった熱を冷ます
・気がめぐらずに不足した「血」を補う

本来全身をめぐるはずの「気」が滞ってしまうと、気は熱に変わって上昇します。エアコンの暖房の暖かい空気が上昇するのと同じ理屈です。

上昇した熱は頭や上半身に集まり興奮状態になってそれがイライラ、不安、不眠の原因になるといわれています。その熱を下へ降ろして冷やして、気が全身をめぐらるように調整する漢方薬がこの加味逍遙散です。

精神症状の「不安」には様々ありますが、加味逍遙散が対応する不安は「陽の不安」です。

お腹が痛い、これってもしかして大腸がん?といった1の不安が10にも大きくなるような不安です。落ち込みや抑うつなどの不安は改めて解説します。

不定愁訴は緊急を要する病気ではないので、日常の忙しさもあり何かと我慢しがちです。

でも身体が楽になれるならそれに越したことはありません。

加味逍遥散は漢方薬なので副作用はほとんどありません。効かなければ病院を受診するきっかけにもなります。

寝ても体調が良くならなければ、新しい行動をしないかぎり改善の見通しは難しいかもしれません。

加味逍遥散はその新しい行動の選択肢の一つになると、私は思います。


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