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酪酸は大腸のエネルギー源としてぜん動運動、バリア機能を強化する:ビオスリーの解説(2)


おじさんはなぜ走るのか

天気の中継では、皇居の周りを走るランナーを映し出すのが一つのパターンとしてお決まりになりつつあります。炎天下だろうが雪が降ろうが、平日だろうが休日だろうが、いつも彼らの走る姿が映し出されますが、疑問に思ったことはないだろうか。

なぜおじさんは走るのか


健康維持や体力向上が目的だと彼らはいうかも知れないが走ると疲れる、普通のおじさんはそう思います。しかし、彼らは当たり前のように靴紐を結び、玄関をまたいで走りに出かけます。普通のおじさんと、彼らの違いは何だろうか。

かくいう私も早朝ジョギングを始めて一年が過ぎました。

私が早朝から外へ出たのは、最初は走るためでなく「朝日を浴びる」ためでした。

朝日を浴びるとセロトニンが分泌される、セロトニンは精神を安定させて脳が覚醒する。そのような話しを聞いて本当かと、試してみたい好奇心がきっかけでした。

実際に朝日を浴びると眠気は吹き飛び、精神が安定するどころか気持ちが前向きになりました。

もっと朝日を浴びたい


それからは少しでも長く朝日を浴びようと散歩をするのが習慣になり、現在は体力がついてジョギングができるまでになりました。

走る目的は人それぞれです。健康維持や体力向上が目的の人もいるでしょうが、私の走る目的は明確です。

気持ちが前向きになるから


昨日までの嫌なことやイライラは、朝日を浴びて走り続けているうちに家に戻るころには忘れています。

実際に運動をすることで「やる気ホルモン」のドーパミンと「幸せホルモン」のセロトニンが分泌されることは、多くの実験で報告されています。

朝日を浴びて運動をする。これに加えて私にはもう一つ実践していることがあります。

思考を頭から消す「無の時間」を作る


いわゆる「瞑想」です。呼吸だけに意識を集中してただひたすら、黙々と走り続ける。

無の時間はパソコンの「クリーンアップ」機能と同じように、頭にたまった「ノイズ」を消去する作業です。

これらの習慣を朝に取り入れることで、今日は昨日の延長ではなく、新しい一日の始まりとして快適に過ごすことができます。


酪酸菌の増やし方

1.食物繊維やオリゴ糖は酪酸菌のエサになる
酪酸菌は善玉菌の一つですが、食品から摂取しようと思っても「ぬか漬け」など限られたものしかなくてヨーグルトには入っていません。外からの食品では増やしにくい善玉菌です。

そうなると外からではなくて内から、つまり体内にすでにある酪酸菌を増やしていくしかありません。

食物繊維とオリゴ糖は酪酸菌のエサになる


いつもの食事にもう一品、サラダを加えるだけで酪酸菌は増えていきますが、サラダの身体への影響は酪酸菌の増殖に留まりません。サラダを先に食べる「ベジファースト」には次の効果が期待されています。

・血糖値の上昇が緩やかになる
・食欲が抑えられて食べすぎ防止になる

血糖値の緩やかな上昇は動脈硬化の予防に、食べ過ぎ防止は肥満予防につながります。野菜は食物繊維だけでなく、豊富な栄養が含まれているので、肉や揚げ物を減らしてでも毎日摂取したい食品の一つです。

2.有酸素運動で酪酸菌は増える
酪酸菌の増やし方は食物繊維の他にもう一つ、アメリカの大学の研究チームが2018年に発表しました。

有酸素運動で酪酸菌は増える


6週間で週に3回、ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を60分行ったところ、腸内の酪酸菌が顕著に増加することが研究で明らかにされましたが、研究はまだ続きます。

6週間運動を行って、その後6週間運動をしないと酪酸菌は研究前の元の状態まで減少しました。

運動の効果は先にも触れましたがセロトニンやドーパミンなど脳内物質の分泌による精神面の安定や向上、酪酸菌の増加の他にも血行促進など健康に多大な影響を与えます。


酪酸は大腸の主要なエネルギー源である

酪酸菌は大腸に定着する善玉菌の一つで、食物繊維をエサに短鎖脂肪酸である酪酸と酢酸を産生します。酢酸はビフィズス菌も産生しますが、酪酸を産生するのは酪酸菌だけです。

酪酸と酢酸はともに大腸の上皮細胞のエネルギー源となりますが、酢酸は上皮細胞に吸収されると肝臓や筋肉のエネルギーになるので大腸のエネルギーとしては少ないですが、酪酸は大腸に留まり大腸の主要なエネルギー源になります。

では、酪酸は実際に大腸でどのような働きをするのか。酪酸の主要な働きを6つ解説します。

1.酪酸は酸素を消費することで悪玉菌の増殖を抑制する
乳酸や酢酸は腸管内を弱酸性にして悪玉菌の増殖を抑制しますが、酪酸は産生されるときに酸素を消費することで腸管内の酸素が少なくなります。これによって善玉菌が活性化されて、悪玉菌の増殖を抑制します。

2.酪酸は水分やミネラルを吸収する
酪酸が上皮細胞のエネルギー源になることで水分やミネラルの吸収が向上します。上皮細胞に吸収された水分やミネラルは身体をめぐり、各組織の活性化に貢献します。

3.酪酸は腸管粘膜の新陳代謝を活性化する
酪酸が上皮細胞のエネルギー源になることで腸管粘膜の新陳代謝が活性化します。これによって古い粘膜は新しい粘膜に代わり、傷ついた粘膜も修復されて腸の働きが改善します。


4.酪酸は大腸ぜん動運動の主要なエネルギー源になる
酪酸は大腸ぜん動運動の7割程度、つまり多くのエネルギーを担っています。酪酸が腸管内に増えることで大腸のエネルギー源になり、ぜん動運動が活性化されて便秘改善が期待されます。


5.酪酸は制御性T細胞を増殖する
酪酸が腸管内に増えると、制御性T細胞の増殖が認められたとの報告があります。

制御性T細胞は免疫の過剰反応を抑制する免疫細胞で、制御性T細胞が増えることで炎症やアレルギー疾患が抑制されます。アレルギー疾患の一つである花粉症にも効果があると報告されています。


6.酪酸は大腸バリア機能を強化する
酪酸が上皮細胞のエネルギー源になることで活性化された上皮細胞から粘液が分泌されます。この粘液から大腸は粘液層を作り異物からの侵入を防ぐことができます。次の章では「大腸バリア」について詳しく解説します。

大腸を守る3つのバリア機能

胃や小腸の免疫機能
呼吸や食べ物など、外部から体内に摂りいれるものにはウイルスや病原菌などが含まれている場合があり、細心の注意が必要です。

仮に体内に病原菌が入ったとしても、私たちの身体には各所に「免疫器官」が備わっていて病原菌に対応、排除できるようになっています。


1.胃の胃酸
体内に入った病原菌はまず「胃酸」の強い酸にさらされて、その多くは撃退されます。


2.小腸のパイエル板
胃酸にさらされても生き残った病原菌が次にたどりつくのは小腸です。小腸のパイエル板には、多くの免疫細胞が待ち構えて病原菌を排除します。小腸に集まる免疫細胞は身体全体の免疫細胞の5割だといわれています。

それでも生き残った病原菌やその他有害物質は、吸収されなかった食べ物のカスと一緒に大腸へ送られます。


大腸バリア機能1:善玉菌(環境因子バリア)
腸管の空洞部分(管腔)では酪酸菌やビフィズス菌などの善玉菌やその代謝物が悪玉菌や病原菌の増殖を抑制、排除します。


大腸バリア機能2:粘液層(物理的因子バリア1)
上皮細胞から分泌された粘液は粘液層を作り、病原菌や有害物質から上皮細胞を守ります。また、粘液層があることで便が流れやすくなり、便秘の改善につながります。


大腸バリア機能2:粘膜層(物理的因子バリア2)
腸壁の表面にある粘膜は、上皮細胞の一つ一つが密接につながるタイトジャンクションによって有害物質の侵入を防ぎます。


大腸バリア機能3:粘膜固有層(生物学的因子バリア)
粘膜層の奥には免疫細胞が集まる粘膜固有層があります。粘膜に吸収された酪酸の一部が、粘膜固有層の免疫細胞まで届くと制御性T細胞が産生されるとの報告があります。

以上が大腸の3つのバリア機能ですが、腸内環境が乱れると悪玉菌が増えてバリア機能が崩壊します。バリア機能は次の順序で崩壊していきます。

1.悪玉菌増殖による環境因子バリアの崩壊。

2.善玉菌、特にその代謝物である酪酸の減少による上皮細胞のエネルギーが不足して粘液層、粘膜層が低下する。

3.粘液層が低下すると、有害物質が腸管粘膜まで届くようになり粘膜が炎症する。

4.粘膜が炎症すると、粘膜固有層の免疫細胞による過剰な免疫反応により炎症範囲が広く深くなる。そうなると粘膜のびらん、潰瘍と症状が悪化して、やがてリーキーガット(腸もれ)に至る。

このようにお腹の調子を悪化させないためには悪玉菌を増やさないことが重要で、日々のお腹のケアが大切になります。

ビオスリーの成分他詳細情報


ビオスリーHi錠 270錠3434円(参考価格)
成分
6錠中(成人の1日服用量)、

・酪酸菌150mg:大腸で働いて善玉菌が定着しやすい環境にする。酪酸を産生して、大腸のバリア機能に必要な粘液の分泌を促す。
・ラクトミン30mg:小腸下部から大腸上部で働いて乳酸を産生して腸内環境を整える。酪酸菌を増やす。
・糖化菌150mg:小腸上部で働いて乳酸菌やビフィズス菌を増やす。


用法用量
次の量を1日3回、食後に服用してください。

・15歳以上1回2錠
・5歳以上15歳未満1回1錠


効能
整腸(便通を整える)、便秘、軟便、腹部膨満感

その他ご不明な点は薬剤師や登録販売者にご相談ください。


ビオスリーの解説

ビオスリーの特徴は大腸の主要なエネルギー源である酪酸を産生する酪酸菌を配合していることですが、それだけでなく糖化菌とラクトミン(乳酸菌)を合わせて配合することで、単独摂取に比べてそれぞれの菌の「相乗効果」にあります。

相乗効果とは糖化菌はラクトミンを10倍増やし、ラクトミンは酪酸菌を10倍増やすことが報告されていますが、糖化菌はラクトミンだけでなくビフィズス菌も増やすことが認められました。また、ビオスリーの臨床試験から各症状の有効率を確認できます。


1.幼小児(配合散)
・下痢:症例数約90に対して有効率約95%
・便秘:症例数約25に対して有効率約85%
・消化不良性下痢:症例数160に対して有効率約90%

2.成人(配合錠)
・便秘:症例数15に対して有効率約55%
・過敏性腸症候群:症例数約5に対して有効率50%
※なお、配合散配合錠ともに副作用は報告されていない。


ビオスリーは整腸剤であり、整腸剤は医薬部外品です。医薬品ではないので、効果が出るまで時間がかかります。

また、摂取した菌は2~3日で排出されることが多く、毎日用法用量を守って継続的に摂取することがお腹の調子の改善につながります。

整腸剤と合わせて、食物繊維など食生活の見直しや規則正しい生活、適度な運動など生活習慣を見直して改善することがお腹の調子だけでなく、精神面まで健康になることが多くの研究で報告されています。

整腸剤と合わせて、できることから習慣にしていきましょう。

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