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小売業用語=VMDってさて何でしょう?Eコマースに足りない訴求概念。その1

AmazonやZOZOなどのEコマース事業者の市場が拡大してるので、小売業というとオンライン販売に明るい未来があるように見えています。
しかし、ことデザイン性やライフスタイル性の強いファッション商品や生活雑貨などは、実店舗で起こっている(起こしている)購買行動がオンラインショッピングでは起こっていないのが実情。現状のEコマースサイトには、実店舗には全く肉薄できてないポイントがあります。
それがVisual Merchandising 略称でVMDと呼ばれる手法です。

なんじゃそりゃ?と一般のヒトは思うのではないでしょうか?
で、ちょっと質問します。
実店舗で洋服とか生活雑貨商品を買うとき、あなたは予め買う商品を決めてますか?来店した目的とは全然違う商品を買ってしまった経験はないでしょうか?
また店舗に入ってから、特定の商品群(特に色や素材)が目に焼き付いた経験はないですか?店員さんから接客されなくても、棚の前に釘付けになった経験は?

だれでも上記のような経験があると思います。そもそもファッションや生活雑貨などの実店舗での目的買い比率って40%以下ですから。
その実店舗の来店時にあなたを魅了した方法論や陳列された棚に釘付けにした方法論がVMDという手法です。

簡単にイメージしてもらうと以下のような店内の陳列や演出。
IP=アイテムプレゼンテーション、PP=ポイントオブプレゼンテーション、VP=ビジュアルプレゼンテーションの略です。

ファッションや生活雑貨の場合。

パソコンというデバイスがインターネットアクセスの主流だった5~6年前の通販会社は、これらのVMD的な手法を何とかEコマースでも実現しようと努力してました。特集記事という形でそのシーズンのライフスタイル提案やシーズンイベント、品揃え訴求=品群訴求をチャレンジしてたのです。
しかし、それらオンラインにおける編集記事のレベルでは、
編集の手間がかかる割に、
来店客にその商品群に取り囲まれる喜び、魅力的な世界観・生活観、そして自分の生活シーンが変わってゆく予感……を伝えて
衝動買いしてもらうことはできなかった。

その当時のフロントエンドの表現技術が不足していた…という原因もあるでしょう。
が、やはり
実店舗で来店客の心にどんな変化が起こってモノが買われるのか?
理解してるEC担当者が少なかったことが原因でしょう。

時が変わってスマホがデバイスの主流になってくると。益々もってVMDはやりにくくなりました。スマホの画面が狭すぎて、PCの基本機能を押し込めるだけでも一苦労。サムネールの大量表示すらおぼつか無い有様では、とてもVMDどころではありません。ユーザー側も、じっくり売場を楽しむというモードではなくて、移動中の隙間時間=細切れ時間にチラ見するような心理状態です。
売場を“劇場化して感動させて商品を買って貰うのがVMDですから
今のスマホのEC売場のやり方では到底感動まで行かないでしょう。

この話は奥が深くて長くなるので、その2に続きます。
最終回までには、ではどうすればデジタルでVMDが実現可能か?描きたいと思っています。