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観光は自転車操業?「人との関係性」を構築するために

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

いま、noteさんの #創作大賞2024 #ビジネス部門 という企画に参加しています。『「仕事っぽいシゴト」が社会の課題を解決する』というタイトルの本を作るイメージで毎日お話しています。1本目、目次はこちらです。

昨日は、「移住は「どこかが増えればどこかは減る」ゼロサムゲーム」というお話をしました。

今日は、「観光は自転車操業?「人との関係性」を構築するために」というお話をしていきます。

音声はこちらです。

かつて、あまり関心がなかった「観光」

地方における人口減少対策は3つあります。

  1. 移住(定住人口を増やす)

  2. 観光(交流人口を増やす)

  3. 関係性の構築(関係人口を増やす)

僕、新潟県妙高市という観光地に住んでいます。この記事をお読みの方の中にも、スキーやスノーボード、トレッキングなどでご来訪いただいた方もいらっしゃるかもしれません。

僕自身は観光を商売にしているわけでもない、普通のいち住民です。これまで、観光にそれほど興味関心を抱いたことはありませんでした。知り合いにホテルをやっている知人もいるため、観光によって「お客さんがたくさん来ればいいな」とは思います。ですが、自分ごととして捉えたことはありませんでした。

ただ、人口減少・少子高齢化に関心を持ち、危機感を抱き、関係人口という言葉を知ったとき、「観光の位置づけとは、何か?」を考えるようになりました。

観光とは何か?

まず、移住と地域の関係性は、すごく濃いなと思っています。そこに住まいやコミュニティがあるわけですからね。移住するまでのハードルは高いけれど、地域に馴染んだら、終の棲家……ではないけれど、ずっとそこに生活するのが移住です。

一方で、「観光とは何か?」をとらえ直した時に、観光は「自転車操業」みたいな感じがしました。どういう意味かというと、観光は、地域との関わりの濃さや深さが、移住に比べるとそれほど濃くありません。関係性が浅いです。

観光とは、そこに何か「いいものがある」とか。「いいことがある」とか、「自然がいい」とか、そういった「人」とは違う理由で地域に訪れます。そのため、人とは直接的な関係性がありません。

僕自身、あるところに観光に行ったとき、2、3回行くと「もういいかな」って思います。「前も行ったし、次はどこがいいかな」「もっといい場所ないかな」のように、ほかの場所を探します。

このように考えると、観光を地域側から見ると、関係性が薄いし、一度来ても、すぐに去っていくという関係性です。ずっとその地域に関係性を持つわけではありません。そのため、すぐに次の場所に移ってしまいます。

観光は「自転車操業?」

そうすると、新たなお客様を呼び込む必要があるから、またそこに、何かしらの予算とかイベントとかを投じる必要があります。つまり、「去っていっては、また、次の新たなお客様」「去っていっては、また、新たなお客様」のように、ずっと自転車をこぎ続けるような感じです。

「自転車操業」って言うと、なんとなくお金の「入ってきたら、すぐに出ていく」みたいな、永遠に漕ぎ続けなければならないようなイメージがあるために、なんとなくネガティブな感じがするかもしれません。ここでは、それがいいとか、悪いとかという話は、いったん置いておきます。

ただ、関係性が薄い分、来訪者を増やすためには、常に新たな顧客を呼び続けなければなりません。

観光が、人口減少・少子高齢化に与えるインパクトは?

もちろん、観光が悪いと言っているわけではまったくありません。新たなお客様が増えれば、観光の事業者はもちろん潤います。観光は観光で、何かしらの施策はやるべきだと思いますし、観光客が増えることに対して、個人的には、悪いことだとは思いません。

一方で、人口減少や少子高齢化という問題を考えた時、「観光だけでいいのかな」とは思います。なぜならば。来訪してくださるのはとても素晴らしいことですが、「人と深い関わりができるわけではない」からです。

観光は「美味しいものを食べて、いい宿に泊まって、さようなら……」という感じ。そこに関係性が生まれるわけではありません。

いや、もちろん何度も通っていて、そこの宿の女将さんと仲良くなる……みたいな方も、もちろんいらっしゃいます。でも、僕の経験では、観光によって、そこまで深い関係性を構築できた経験はありません。

ですから、「人が減っていく」ということに対して、「大きな影響を与えるか?」というと、人という観点ではインパクトが少ないな……と思っています。

人口が減少すると、観光客のおもてなしができなくなっていく

加えて、ここからが重要です。今後、人が減っていくと、どんなに観光のお客様がいらっしゃっても、地域側がお客様をおもてなしすることが今後できなくなっていくだろうなと思っています。

なぜならば人が減っていて、働き手が減っているから。

また、これは統計をとったわけではなく、周囲で観光事業を行っているみなさんのイメージでお話しますが、たとえば、ペンションや民宿を経営されている方々の年代を考えてみた時、僕は50代前半ですが、僕より上の方が多いです。

そう考えると、10年後は何かしらの世代交代が行われるか、あるいは、廃業か……って感じになってくると思います。

そう考えると、観光客を増やすことによって、地域としての人口減少・少子高齢化の問題に対して、直接的なインパクトを与えるか? というと、インパクトは少ないなと思います。

なので僕は、移住でも、観光でもないところに興味があります。

そこで、関係人口という話になってくるわけですが、明日は「関係人口に対して、僕が期待したこと」についてお話します。

次の記事:「仕事を通じた関係性って、どうすればできるの?」―関係人口に期待したこと

#創作大賞2024 #ビジネス部門

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