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私たちは繊細に生きている。             『HSPなのか、繊細なのか、それが問題だ』

《なぜ、HSPになりたがるのか》


繊細という概念を履き違え、弱者思考に逃げてしまう人が多い。
自己防衛が強いと、都合の良いあり方を選びやすくなる。

構ってほしいから、大事に扱ってほしいから、親にも叱られたことが
ないからなど、経験したことのない扱いを受けると免罪符のように
HSPを使っていませんか。

HSPは5人のうち1人いるというならば、他の4人は自己肯定感が高い
と言うこと。
日本人は、外国人と比較しても自己肯定感が低いと言われている。
そのなかで、HSPであると自己主張するのならば、自らレッテルを張り、
優位な立ち位置になろうと受け取る事ができる。

《HSPの概要》

ハイリーセンシティブパーソンとは、高敏感性傾向を持つ人たちのことを
表した総称。日常生活に支障をきたすほどの精神障害ではないものの、
典型的な人よりも、敏感に物事や感覚を感じとることができるタイプの
人たちの傾向を指しています。

HSPという概念は、アメリカの心理学者エイレン・アーロン博士が
提唱した概念であり、HSPとは人間の「感覚処理感受性」、「環境感受性」という心理的特性です。

人は環境から影響を受ける存在なのですが、
刺激に対する影響の受け取り方の違い――より正確に言うと、
知覚や処理の個人差があります。

《私たちは、繊細さをすでに備えている》


日本人は、古来より、自分のことを多少後回しにしてでも他者を尊重する、思いやりや礼儀を大切にする感情(美意識)を有していると言われている。例えば、明治時代に、新渡戸稲造は、こうした日本人の感性(美意識)を
整理し、「武士道」としてまとめている。

また、奥深い感性(美意識)として、取り上げられる「侘び、寂び」は、
簡素で静寂な中に美しさを感じると言う意味で使われている。
例えば、具現化したものとして「茶道」が有名である。

茶道は、武将にとって自分自身を冷静に見つめるための時間であり、
古典文学や和歌を学ぶのと同じように、自分自身の教養を深めるための
手段でもありました。

茶道を発展させた千利休が大切した心得に「四規七則」という言葉が
あります。
四規」とは和敬清寂の精神。
①和やかな心であること
②お互いに敬い合うこと
③清らかであること
④動じない心を持つこと

七則」とは客人をもてなすときに大切な7つの心構え。
①心を込めてお茶を点てる
②本質を見極める
③季節感を大切にする
④命を尊ぶ
⑤心にゆとりを持つ
⑥柔らかい心を持つ
⑦互いに尊重し合う

さらに、茶道の大切なポイントとして次の三つがあります。

①相手への心配りを忘れない
茶道で大切にしたい1つめのポイントは相手への心配りを忘れないこと。お互いが思いやりの心を持てるようになると、周囲の方たちも温かい気持ちで接してくれます。

②ものを大切にする
茶道で大切にしたい2つめのポイントはものを大切にすること。何事も本質を見極めて、自分が本当に必要なものだけを身の回りに置きましょう。

③出会いや時間を大切にする
茶道で大切にしたい3つめのポイントは出会いや時間を大切にすること。出会いや誰かと過ごせる時間に感謝し、一期一会を大切にしましょう。

調和や協調を重視する姿勢も、日本人の特徴的な感性(美意識)であると
言われている。例えば、江戸時代の長屋における生活に見受けられる。
女性たちの井戸端会議や生活必需品の貸し借り、一つのコミュニティ
として、相互扶助の精神により成り立っていた。

《日本人の気質とは》


日本人の性格的特徴は、礼儀正しさ、謙虚さ、他者を尊重する傾向、
自己主張が少ないというものが挙げられます。

意識調査から見る日本人の傾向についてこんなデータもあります。

2014年に内閣府が実施した意識調査では、欧米諸国の約8割の若者(13歳〜29歳)が「自分自身に満足している」と回答した一方、日本の若者(同)は5割弱に止まった(以下グラフ参照)。


上のグラフが示しているのは、「次のことがらがあなた自身にどのくらいあてはまりますか。」との質問に対し、「私は、自分自身に満足している」に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した若者の数。出典は内閣府による意識調査「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(平成25年度)。

アメリカ人の傾向としては、自己肯定感が高く、競争心があり、社交的で、意外にも感情的であり、移民国家であるために自己主張をする傾向があり、人種のるつぼと言われる所以とも言えます。

《文化の違い》


HSPは生まれつきの気質であり、後天的に発症するものではありません。
そして、日本人は、単一民族であり、繊細で独特な文化を育んできた
国民なのです。

挨拶、日本人特有の優美な雰囲気、切なる気持ちの表現、四季折々の言葉の彩り、文化に息づく想い、日本の食など。
日本には色々な角度から、日本語でしか表現できない微妙なニュアンスを持つ言葉がたくさんあります。

日本の言葉には日本人らしい美意識がそこかしこにあり、その背景には、
日本人が昔から営んできた生活の中で、言葉では表現できないものも含めて、長年にわたって蓄積されてきたのです。

日本人に潜在的に兼ね備えている明らかな姿勢の違いは、謙虚さです。
これはまさに、非言語コミュニケーション文化で養った
察する意識がもたらす繊細さの一片といえます。

被験者のいるアメリカは、多国籍文化であるため、言語によって共通理解をすることが必要となる関係性が多い。曖昧な表現は日本と比べると少なく、忖度などはせず、言葉を交わしてします。

日本と比べると明確な答えが多く、考え方や判断もはっきりしている傾向が強いです。つまり、自分の意見や考えを主張をする言語コミュニケーション文化と言えるでしょう。

《日本は繊細に溢れている》


日本語が曖昧さを有していることで、言語に奥深さを表現しています。
私たちは人とのコミュニケーションにおいて、繊細な捉え方を身に
つけているのです。

世界は言葉で作られているように日本語の曖昧さが、繊細な視点を育んできたのです。多感な感情とそれを表現する言語が漢字、ひらかな、カタカナ
など数多く扱われている為、私たちは言葉に対して、HSPと言うよりも
繊細なのです。

「侘び寂び(ワビサビ)」という美的意識こそが繊細たる所以であり、
不十分なままであることで想像力を掻き立てていたのです。
正解はなく、感じたままの世界観を表現できることこそ
私たちが持ち合わせている唯一無二の才能と言えるでしょう。

諸行無常とは「万物はいつも流転(るてん)し、変化・消滅がたえないこと」であり、私たちが自然界から学んできた死生観こそ、深く考える想像力を育んだ能力も繊細な方の為せることかもしれません。

私たちは、すでに繊細な存在であり、西洋の実存的な視点・価値感で
作られた枠組みにとらわれることなく、ましてや『私は、HSPです』などと
自己主張しなくても細やかな視点・思考を備えているのです。

私たちは、HSPではなく、「繊細」なのです。

自ら「HSP」などと公言する必要はなく、それ以上に繊細な感受性を
持ち合わせているのです。

恥ずかしがることなく、誰もが持ち合わせている本能とも言える感性で
自分を信じて、充実した人生を楽しんでいただきたいと思います。


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