マガジンのカバー画像

COVID-19

37
新型コロナウイルス関連の記事をまとめました
運営しているクリエイター

#免疫

オミクロン株に対するT細胞応答 ー 抗CD20モノクローナル抗体で治療中の多発性硬化症患者での研究 ー

オミクロン株に対するT細胞応答 ー 抗CD20モノクローナル抗体で治療中の多発性硬化症患者での研究 ー

 今日はこの論文をご紹介します。少し免疫について復習したあと、論文の解説をいたします。この論文から得られるいちばん重要なメッセージは、抗体が作られない状況でも、ワクチンによって新型コロナウイルスと戦うT細胞ができるということです。しかも、抗体より長続きするようです。

抗体が減少すると?

 ワクチンによって作られた中和抗体が血液中にたくさんあると、侵入してきたウイルスが抗体により排除されるため感

もっとみる
コロナウイルスと免疫の話

コロナウイルスと免疫の話

免疫の話 

新型コロナウイルスの抗体は3か月しかもたない、抗体ができにくいなどというニュースで不安になっている方々は多いと思いますが、いやいや免疫ってもっとすごいんだよって話をします。

免疫は常に侵入してくる病原体から人体を守っています。もし免疫のはたらきがなかったら、抗生物質や抗ウイルス薬があっても生命を維持することはできません。

病原体が侵入すると、まず自然免疫がはたらきます。自然免疫系

もっとみる
免疫記憶について

免疫記憶について

新型コロナウイルスに対する抗体が減ったらどうなる?
ワクチン接種後にコロナウイルスに対する抗体ができることはご存じだと思います。この抗体がウイルスを中和し、感染を防いだり、重症化を抑制したり、感染症を治癒させたりします。抗体が半年で低下するという情報が出ておりますが、「そんなに早く効果がなくなっちゃうの」と不安になっている方は多いのではないでしょうか。

免疫記憶
抗体が減少しても、コロナウイルス

もっとみる
新型コロナウイルスワクチンの抗体は3ヶ月で低下する?

新型コロナウイルスワクチンの抗体は3ヶ月で低下する?

藤田医科大学から、新型コロナウイルスワクチンの接種から約3カ月後に血液中のIgG抗体価が4分の1に低下したとする発表がありました。今までの報告とおおむね同程度です。これはワクチンの効果が4分の1になったっていうこと?いえいえ、そうではありません。

IgG抗体価を測定した時期は①ワクチン接種前、②1回目接種後約14日目、③2回目接種後約14日目、④1回目接種約3カ月後です。抗体価の平均値は、②の1

もっとみる
新型コロナウイルスとT細胞

新型コロナウイルスとT細胞

 今日はコロナウイルスに対する免疫の少しいい話。抗体は下がっても、新型コロナウイルスをやっつけるT細胞はしっかり反応しているよという内容です。2つの論文を紹介します。少し専門的な内容ですので難しいところがあってもご容赦を。

 メディアではウイルス中和抗体ばかりが取り上げられますが、免疫はそれだけではありません。テレビなどで解説する専門家が「抗体が減るから免疫が低下する」という言い方をすることがあ

もっとみる